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GACKTがゲーム実況をYouTubeで開始。ネスレがスポンサードする理由

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です。

「GACKTなゲーム!?ガメ先手ル!(ガメセンテル)」と読む
「GACKTなゲーム!?ガメ先手ル!(ガメセンテル)」と読む

2014/07/01から、歌手のGACKTさん(41歳)が、ネスレプレゼンツの「GACKTなゲーム!?ガメ先手ル!」で1年間365日、毎日19:00よりゲーム実況の動画配信を行っている。

http://nestle.jp/entertain/gamecenter/

「ゲーム実況」とは、ゲームプレイヤーが、ゲーム画面に顔出ししながらトークするネットでの実況番組。

「ピューディパイ(PewDiePie)」のフェリックス・シェルベリ氏は、個人のゲーム実況で2013年に400万ドル(4億円)もの売上を広告費で稼いだ。個人製作で経費は、ほとんどかからず、世界的にも動画再生で2,700万人の登録数を誇る。フェリックス・シェルべリ氏が所属するユーチューバー(YouTuber)と呼ばれるYouTubeを配信する人たちのネットワーク組織「マルチチャネルネットワーク(MCN)」の「メーカー・スタジオズ(Maker Studios:月間55億万超のビデオ視聴数と3億8,000人の登録数)」は、ウォルト・ディズニーに5億ドル(500億円)で買収されることも決定している。さらに、ゲーム画面共有サービスのツイッチhttp://www.twitch.tv/(4,300万人以上の月間視聴ユーザー)は、Googleに10億ドル(約1,000億円)で買収される予定だ。

世界でもエンターテインメント・マーケティングの中で、「ゲーム実況」というコンテンツは立派に成長しているジャンルといえよう。

そして、日本では、なぜか歌手であるGACKTさんのゲーム実況が開始された。

実況内ではGACKT兄さんと呼ばれながら、いつものトーンの会話でゲームを淡々と行う。お世辞にも「ゲームの達人!」というレベルではなく、唄やステージ、演技にも完璧を求める彼とは真逆の不得意さを露見させている。しかも、これを1年間365日毎日19:00に更新していくというから不思議度は倍増する…。思わず、1年間もホントに大丈夫なのか?と心配になった。さらにだ、スポンサード企業が、「ネスレ」であるという違和感でさらに疑問が一杯になった(笑)ので直接伺ってみた。

ネスレアミューズの多彩なコンテンツ
ネスレアミューズの多彩なコンテンツ

Q.なぜ、ネスレがゲーム実況番組をサポートし、歌手のGACKTさんがプレイヤーなのか?

A.ネスレは、ウェブサイトで「ネスレ アミューズ」というエンターテインメント・コンテンツサイトを運用しており、多彩な消費ユーザーとの接点のあるコンテンツの一貫としてゲーム実況を選択させていただいた。GACKTさんのどんなことにも真剣に取り組む姿勢と、ニコ生などの動画サイトでのパフォーマンスにも注目させていただいたからだ。

Q.失礼だが、GACKTさんはあまりゲームが上手そうではないし、365日毎日も持つのだろうか?

A.確かにGACKTさん、ゲームがすごく得意なわけではなさそうだが、真剣に取り組んでくださる姿勢には好感が持てるのでは?。普段のGACKTさんイメージとのギャップも楽しませてくれる。365日毎日撮影している訳ではないので、何本かをまとめて撮影させて頂いている。まだまだ、試行錯誤状態で我々もユーザーのみなさんの評判を期待しながらも、走りながら企画を進行できればと考えている。

【回答】ネスレ メディアリレーションズ室 森本正樹さん

初回放送分は、30万視聴数を越え、まあまあの滑り出しだろう。懐かしのゲームの登場に、老いも若きも新鮮な感覚を感じとれることでもある。

ゲーム実況の画面の中で、GACKTさんの手には、ペリエやネスカフェの飲料が持たれている。このあたりからジワジワと、ゲームユーザーにも、ネスレファンが増えていることを期待しているのかもしれない。また、GACKTさんサイン入りのネスカフェ・ドルチェ、プレゼントなどは想定できたが、それにしても、1年間毎日のゲームネタ×GACKTさんのスケジュールなども含め、どのように軌道修正をしていくのかも期待したいところだ。

2015年の6月末日まで、毎日19:00に動画がアップロードされる。

公式サイトはこちら、

http://nestle.jp/entertain/gamecenter/

YouTubeサイトはこちら、

https://www.youtube.com/user/nestlewmc

日本のゲーム実況サイトの挑戦としては非常に意欲的なチャレンジには間違いはない。現在、ネスレ日本公式チャンネルの登録者数は、2万6,877人。同じく毎日19:00に更新している日本の代表的なYouTuber HikakinさんのHikakinTVの登録者は149万330人

YouTube動画のマスの世界は、このまま有名人化する個人がシェアを維持するのか?はたまた企業&有名人が踊りでるのかに非常に注目したいところだ。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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