オートバイのあれこれ『リトラのバイク!』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今宵は『リトラのバイク!』をテーマにお話ししようと思います。
「リトラのバイク」…20代のナウでヤングなバイクファンにはよく分からないテーマかもしれません。
「リトラ」とは、「リトラクタブルヘッドライト」(=格納式ヘッドライト)のこと。
クルマの分野では、昭和〜平成にかけての時代にスポーツカーへよく使われていましたが、オートバイにはほとんど採用されたことがありません。
リトラクタブルヘッドライトを備えたバイクは、かなりレアといっていいでしょう。
今回はそんな珍しい「リトラのバイク」をご紹介します。
◆スズキ GSX750Sカタナ
リトラのバイクといえばやはりコレ。
『GSX750Sカタナ』です。
もっと厳密に言うと、1984年(昭和59年)式のナナハンカタナ、世間的には「3型カタナ」と呼ばれているモデルですね。
カタナシリーズは元々、ドイツのデザイン会社・ターゲットデザイン社が手がけた『GSX1100S カタナ』に始まりますが、スズキはこの3型カタナへは自社デザインを投入しました。
そしてこの時にスズキが用いたのが、リトラクタブルヘッドライトでした。
一見ヘッドライトが付いていないように思える外観が新鮮ですね。
燃料タンクやシート周りの造形に従来のカタナらしさが残っていた一方、リトラならではのツルンとしたフェイスデザインやゴールドに塗られたフレーム&ホイールなどが独特な雰囲気を放っていて、3型カタナはカタナシリーズの中においても際立つ個性を持っていたといえるでしょう。
◆ホンダ スペイシー125ストライカー
皆さんご存知でしたか。
実は3型カタナが出てくるより前に、リトラのバイクがあったのです。
1983年登場の『スペイシー125ストライカー』。
二輪車初のリトラ採用車でした。
ファミリーバイク(原付スクーター)ブームのなか生まれた『スペイシー』のハイグレード版のような立ち位置のモデルで、フロントカウルの内部にヘッドライトが格納されていました。
このスペイシー125ストライカーにはリトラ以外にも興味深い機構が備わっていて、ウインカーの戻し忘れを音で教えてくれるウインカーアラームが付いていたり、ラジエターからの放熱を活用してライダーの足元を温めてくれる温風吹出口が設けられたりしていました。
アナログな便利装備が盛りだくさんの、いかにも80年代らしいスクーターですね。