今朝の北朝鮮のミサイル発射で軍事偵察衛星発射の日は近い!
北朝鮮が今朝、また弾道ミサイルを1発発射した。北朝鮮は北京冬季五輪期間中(2月2-20日)のミサイル発射を控えていた。実際に前回(2月27日)の発射は五輪終了後に行われていた。それが、今回は事もあろうに北京パラリンピックが開幕(4日)した翌日に行っている。中国から事前に了解を得た上での発射かは定かではない。
北朝鮮のミサイル発射は今年に入ってからこれで9回目だ。昨年の1年分(8回)を早くも3月5日の時点で上回ってしまった。
防衛省によると、最高高度は約550km、飛翔体は約300kmで、前回のミサイル(最高高度約600km、飛翔距離は300km)とほぼ同じだ。ならば、前回と同じ準中距離弾道ミサイルを発射した可能性が高い。
北朝鮮は当時、「偵察衛星を開発するための実験だった」と発表していた。実際にミサイルに装着したカメラで撮影した地球の画像を送信していた。
北朝鮮は「偵察衛星に装着予定の撮影機(カメラ)で地上を撮影し、高分解能撮影体系と資料伝送体系、姿勢操縦装置の特性と動作の正確性を立証した」として「偵察衛星開発で重要な意義を持つ実験」と強調していた。軍事偵察衛星は北朝鮮が昨年1月の党大会で提示した国防発展戦略の重要目標の一つである。
北朝鮮は2018年に核実験や大陸間弾道ミサイルの発射中止を宣言したが、衛星についてはこれまで一言も言及してない。衛星発射は一貫して「自主権の権利行使である」と主張している。
北朝鮮の衛星は1991年から93年にかけて「月光計画」の名で極秘に行われ、「光明星1号」(1998年8月)、「光明星2号」(2009年4月)の打ち上げを経て2012年からは第一次国家宇宙開発5カ年計画(2012~16年)を基に本格的に始まり、この期間に「光明星3号」を2回、「光明星4号」を1回発射しているが、第二次国家宇宙開発5か年計画がスタートした2017年以降はまだ一度も発射していない。
仮に今回のミサイル発射も偵察衛星を打ち上げるための実験で、成功したとするならば、偵察衛星発射は時間の問題となってくる。来月(4月)15日は建国の父である金日成(キム・イルソン)主席生誕110周年である。韓国では10年前の100周年の時も衛星が発射されているのでこの日に合わせて北朝鮮が発射するのではとの見方が広まっている。
商業衛星であれ、偵察衛星であれ、衛星は「テポドン」と称されている長距離弾道ミサイルで打ち上げられる。前例に従えば、衛星は平安北道鉄山郡・東倉里にある西海衛星発射場から打ち上げられている。
飛行ルートは、沖縄、グアム、ハワイの三つのルートがあるが、ハワイに向かう場合は青森上空を通過する可能性が高い。前回は沖縄ルートで、石垣島、宮古島など南西諸島の上空を通過し、フィリピンの東方190kmの公海に2段目が着弾していた。東倉里を起点にすると米本土西海岸まで距離にして1万2千km、ハワイは7,800km、アラスカは7600kmとなる。
衛星発射ならば、国際機関に事前通告しなければならない。北朝鮮は金正恩政権(2012年~)になって3回(12年4月、同12月、16年2月)発射しているが、いずれも朝鮮宇宙空間技術委員会が国際民間航空機構(ICAO)や国際海事機構(IMO)、国際電気通信連合(ITU)に事前通告していた。
例えば、2012年4月の時は約1か月前の3月16日に「4月12~16日の間に発射する」と予告し、4月13日に発射していた。予告から発射まで28日間を要していた。
また、同年12月も朝鮮宇宙空間技術委員会が12月1日に「12月10~22日間に発射する」と通告し、12日に発射していた。 予告から発射までの期間は12日だ。
そして、6年前の2016年は2月2日には「8~25日の間に発射する」と一旦は通告したものの4日後の6日になって「7~14日に」に変更すると通告し、翌日の7日には発射していた。予告から発射までは前回よりも1週間も短縮されていた。
米国による妨害、あるいは迎撃を恐れてか、回数を重ねる度に予告から発射までの時間が短縮されているものの仮に北朝鮮が衛星を発射するならば必ず宇宙空間技術委員会の名による予告があるはずだ。前例に従えば、最長でも28日前、最短で5日前には発表がある。だが、商業衛星ではなく、軍事衛星なので1998年8月31日に日本列島を飛び越えた「光明星1号」のように不意に発射する可能性もゼロではない。