【前頭側頭型認知症の特徴3選】規則正しい生活に隠された病気【介護福祉士が漫画でわかりやすく解説】
こんにちは!認知症の支援サポーター『夢 はるか』です。わたしは15年以上介護現場で働く介護福祉士です。子どもの頃から好きだった漫画を描くことを通して、一人でも多くの人に介護や認知症のことを知ってほしいと願い、執筆活動を続けています。
毎日必ず同じ時間に起きて、身だしなみを整え、お散歩に出かける高齢の女性がいます。
一見、とても規則正しい生活を送る、模範的な高齢者のようです。
しかし彼女の規則正しい行動は、『前頭側頭型認知症』の典型的な症状だったのです。
同じ行動を繰り返す『常同行動』が特徴的な前頭側頭型認知症について、今日は紹介します。
これから紹介するのは、実話に基づいたストーリーですが、プライバシー配慮のために、いくつかの創作を加えています。
散歩が好きなおばあちゃん
近所に、元気なおばあちゃんがいました。
年齢は80歳くらいです。
毎日10時ちょうどに、家を出かけます。
近所の人が、おばあちゃんの姿を時計代わりにするくらい、毎日正確なお出かけの時間です。
毎日同じ時間に家を出て、公園を通って、スーパーによってから、家に帰ります。
毎日同じなのは、時間だけではありません。
肩から下げた袋には、必ずお茶とバナナが入っていました。
もともと10時のお出かけは、スーパーにお茶とバナナを買いに行くためだったのです。
しかし最近は、お金の計算や、自分で財布からお金を出すことも難しくなってきました。
そこで、家族がお茶とバナナを家から持たせて、前と同じコースを一人で散歩しているそうです。
近所の人も皆『○○さん家のおばあちゃんね』と、温かく見守っています。
常同行動
最近は温暖化のせいか、一年中日差しの強い日が増えました。
普通なら、あまりにも暑い日や、風雨の日は散歩を休んでもよさそうですが、おばあちゃんの散歩に休みはありません。
状況に応じて臨機応変に行動を変えることができないのが、前頭側頭型認知症の常同行動の特徴です。
おばあちゃんは、雨の日も雪の日も、どんなに猛烈な日差しの日にも、散歩を欠かしたことがありません。
数年前までは色白だったおばあちゃんが、なんと最近はガングロになってしまいました。
脱抑制
前頭側頭型認知症には、『脱抑制』という特徴もあります。
『脱抑制』とは、周囲への迷惑を顧みず、わが道をいく行動のことです。
おばあちゃんの散歩は、はじめは近所の人にも好意的に見られていました。
しかし、そのうちに道端で排尿をしたり、スーパーでお金を払わずに商品を持ち帰るようなことが起こり始めました。
これらは、前頭側頭型認知症によくある『脱抑制』の症状だと考えられます。
運動障害
そのほかにも、前頭側頭型認知症が進行すると、平衡感覚の消失や運動障害が見られることもあります。
転倒による事故には、十分に注意をしなければなりません。
おばあちゃんも散歩の途中で、ふらふらと道の真ん中を歩いて、車にひかれそうになったことが何度もあるそうです。
まとめ
若々しく日焼けして、規則正しい生活を送るおばあちゃん。
健康なお年寄りだと思われていたおばあちゃんに隠された、『前頭側頭型認知症』についてご紹介しました。
一日に一回は太陽の光を浴びて、外の空気を吸うことは、健康づくりのために大切なことです。
しかし、天候や自分の体調を考慮して、回数を増減することができなくなるのは、認知症の症状です。
外出に適さない天候の日や、体調が優れない日にも、家でできることを見つけておきましょう。
家の中で楽しめることを見つけて、それもルーティーンワークにできたらいいですね。