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第33エンド「MD世界戦5日目エストニア戦、クロスゲームを制し3勝3敗。最終戦勝利でタイブレークへ」

竹田聡一郎スポーツライター
小笠原「久しぶりに勝った」。2日ぶりの勝利を阿部とハイタッチで分かちあった。

カーリングのミックスダブルス世界選手権グループリーグ6戦目のvs.エストニア、日本代表のチーム阿部は敗れるとグループ上位3チームからこぼれてしまう状態で迎えた。相手は日本が昨日敗れたベラルーシから星を挙げているエストニアだ。

阿部晋也が「ここまでくると、どこが強いとか関係ない。目の前のショットに集中して、目の前のゲームで勝つだけ」と語ったように序盤は高い集中力でショットを繋げ、後攻で2点、続くで先攻1点を与えるプラン通りの展開となる。

しかし、3エンドに小笠原歩のドローgガードをかわせずにハウスを塞いでしまうと、エストニアは自分の石を守るためにガードを置き続け、阿部はそれを払うのに手一杯となる苦しいエンドマネジメントを強いられる。ラストロックもガードをかわせずに2点スティールを喫した。

4エンドで同点に追いつき後半戦に入るも、5エンドでも小笠原の1投目がガードに引っかかる。本人も「そこから取られているので、まずは1投目に集中しないといけない」と反省しきりだったが、悪い形を挽回できずに3点を奪われた。

3-6で残り3エンドという厳しい状況になったが、試合後、勝因を聞かれた阿部と小笠原は「諦めなかったこと」と異口同音に答えたように、ここで崩れなかった。

6エンドにパワープレーを選択して複数得点を狙いにいくと、一度は相手のダブルテイクアウトでチャンスが潰えたように見えたが、ここで気持ちを切らせることなく、阿部の3投目のヒットロールでチャンスを蘇生させ、2点を返した。

続く7エンドは相手にミスが出て2点スティールしリードを奪うと、最終8エンドは完璧なエンドセーブを見せた。おそらく今大会で最もショットが繋がったエンドだろう。

小笠原のほぼ完璧なカマーを足がかりに、阿部がフリーズレイズフリーズという3投で相手のN0.1を確実に包囲し1点を取らせる形を作った。それだけではなく相手のレイズで自軍のNo.2に中央へのアングルが生まれると、小笠原はすかさずそれをタップし、No.1を作ってスティールに成功。石を縦に積んでゆき、相手No.1ストーンを身動きできなくする。ミックスにおける先攻チームの理想といった構成を見せ、3勝目を挙げた。

この1勝で星を3勝3敗のイーブンに戻し、明日のグループリーグ最終戦vs.フィンランドで勝てばタイブレークとなり、まだ決勝トーナメントへの望みが繋がる。

最終8エンドのようなゲームを持続できれば、十分に勝機はあるはずだ。崖っぷちからは1歩、前進したが、負けられない戦いは続く。

また、フィンランド戦はNHK-BSで生中継予定(日本時間27日木曜日22:55-)だ。みなさま、スイーパーとして獅子奮迅の活躍をしている阿部晋也は疲れが出始めているので、ぜひテレビの前で「イエス」を連呼してあげてください。きっとレスブリッジまで届くはずです。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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