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北朝鮮はサッカー韓国代表を平壌に招き入れるか?! カタールW杯アジア2次予選で南北コリアが同組に

金明昱スポーツライター
2022年カタールW杯アジア2次予選で同組になった韓国と北朝鮮(写真:田村翔/アフロスポーツ)

 2022年のカタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選の組み合わせ抽選会が17日、マレーシアのクアラルンプールで行われた。

 7大会連続7度目の出場を目指す日本代表はキルギス、タジキスタン、ミャンマー、モンゴルともにグループFに入った。一部メディアが「天国組」と表現するほど、日本の実力からすれば、全勝も可能なグループに入ったのは間違いない。

 一方で、あまり日本では話題にならないが、グループHに入った韓国代表は、個人的にはやや厳しい組み合わせと見ている。

 というのも、もう一つのコリア、朝鮮民主主義人民共和国代表(以下、北朝鮮)と同組になったからだ。

 グループHは韓国(37)、レバノン(86)、北朝鮮(122)、トルクメニスタン(135)、スリランカ(201)という顔ぶれ。※( )内の数字はFIFAランキング。

 抽選前から日本でも「なるべく中東勢や北朝鮮との同組は避けたい」という論調が多く見受けられたが、確かに平壌ホームの試合はスタジアムに自国民で埋まり、独特で異様な雰囲気を醸し出す。

 そもそも北朝鮮は国際Aマッチの少なさから、実力通りにFIFAランキングが反映されていない未知数な部分が多く、“やりにくい”相手であることは確かだ。

韓国では注目の“南北対決”

 韓国国内でもやはりこの“南北対決”に大きな関心が集まっている。まずは10月15日、北朝鮮のホームで開催される。韓国のホームは来年6月4日だ。

 ほとんどの韓国メディアは「悪くない組み合わせ」と受け止めているが、こればかりは試合が始まってみないと分からない。

 ちなみに、韓国と北朝鮮がW杯アジア予選で対戦するのは、2009年以来10年ぶり。

 2010年南アフリカW杯アジア3次予選と最終予選で同組になったのだが、平壌でのホームゲームはすべて“第3国”の中国・上海で開催された。

 当時の南北関係は緊張状態にあり、「平壌で韓国の国歌吹奏と国旗掲揚はできない」との政治的理由によって、中立国での開催となった。

 11年前の2008年に上海で開催されたアジア最終予選の北朝鮮対韓国の取材に行ったが、殺伐とした雰囲気はなかったと記憶している。

静かな4度目の南北コリア対決 2010年W杯・南アフリカ大会アジア最終予選

 それに当時は、共同取材エリアで足を止めて取材後の感想を話す元北朝鮮代表FW鄭大世(清水エスパルス)が、韓国の記者たちの間でもブレイクしていたもの懐かしい思い出だ。

世界水泳に不参加の北朝鮮の動きをどう見る?

 今後の動きで期待したいのは、今回のカタールW杯アジア2次予選では、平壌に韓国代表を招き入れて予定通りに試合を行うことだ。

 現在の良好な南北関係が持続していれば、スムーズに事が運ぶと信じたい。

 ただ、最近の出来事で気になることがある。現在、韓国の光州で開催されている世界水泳(7月12~28日)に北朝鮮が参加していないのだ。

 こうした動きが今後のW杯アジア2次予選の南北戦にどのような影響を及ぼすのかは注視したいところ。

 それに今後、来年の東京五輪に向けたテストイベントとして、今年8月の世界柔道選手権(東京・日本武道館)や来年4月には体操ワールドカップ(東京・有明体操競技場)など、北朝鮮選手が参加予定の世界大会が開催される。

 サッカーだけでなく、他競技において北朝鮮選手団が参加するのかどうかの動向を見守る必要があるだろう。

理想は両国同時のW杯出場

 ちなみに、サッカー国際親善試合を含め、韓国の北朝鮮との過去の対戦成績は、8勝8分け1敗。

 今年1月、UAEで開催されたアジアカップで北朝鮮はグループステージ3戦全敗したのを見ても、現時点では韓国のほうが実力は上と言わざるを得ない。

 アジア最終予選には各組1位の8カ国と各組2位のうち上位4カ国が進出できる。そのため、北朝鮮としてはグループ2位通過で最終予選進出を狙うのが現実的だ。

 そして理想の形は、韓国と北朝鮮の両国が共に最終予選に進出し、最終的にはW杯出場権を手にいれることだろう。まずは南北対決が、3カ月後に平壌で開催されるのを楽しみにしたい。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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