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あと1アウトでノーヒッターを逃したのは21世紀13度目。では、あと1ストライクまで迫ったのは?

宇根夏樹ベースボール・ライター
S.ニューカム(手前)はノーヒッターを逃したところで降板 Jul29, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月29日、9回表2死までノーヒッターを続けていたショーン・ニューカム(アトランタ・ブレーブス)が、クリス・テイラー(ロサンゼルス・ドジャース)にヒットを打たれた。打球は三遊間を破り、レフトへ抜けていった。

 ミネソタ・ツインズのホーム・ゲームで公式記録員を務めるステュー・ソーンリーのサイトによると、2001年以降に9回2死からノーヒッターを逃したのは、ニューカムが13度目だ。そのうち、5投手による継投が1度。テキサス・レンジャーズ時代のダルビッシュ有(現シカゴ・カブス)は、完全試合が9回2死で途切れた2013年4月2日に続き、翌年5月9日もノーヒッターまで1アウトに迫ったが、後者は7回表2死からのエラーがヒットに変更されたため、ここには入っていない。一方、2010年6月2日に起きた「幻の完全試合」は、後に一塁塁審のジム・ジョイスがセーフではなくアウトだったと誤審を認め、アーマンド・ガララーガに謝ったものの、記録は内野安打のままなので、こちらは13度に含まれている。

 ニューカムはカウント2-2から、ヒットを許した。その前の12度をベースボール・リファレンスで調べたところ、ノーヒッターまで1ストライクと迫ったのもニューカムが初めてではなく、2001年9月2日のマイク・ムシーナ、2011年7月9日に5番手として投げたルーク・グレガーソン(現セントルイス・カーディナルス)、2013年9月6日のユスメイロ・ペティート(現オークランド・アスレティックス)がそうだった。グレガーソンは二塁打に続き、次の打者にヒットを打たれ、サヨナラ負けを喫して敗戦投手となった。

 なお、この13度のなかに、ノーヒッターを達成したことのある投手はいない。ただ、彼らの直前、1998年9月27日に9回2死からノーヒッターを逃したロイ・ハラデイは、それから12年後の2010年5月29日に完全試合を成し遂げ、その年のポストシーズンでもノーヒッターを演じた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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