人類は宇宙のどこまで行ける?限界点はある?
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「人類は宇宙をどこまで探査できるのか」というテーマで動画をお送りしていきます。
●現時点での探査実績
人類が訪れたことがある唯一の星は地球の唯一の衛星である月です。
1969年7月20日、アポロ11号は人類初の月面着陸を果たしました。
その後も月の有人探査は継続的に行われ、通算6回の月面着陸に成功しています。
地球から月までの距離は約38万kmあり、時速80kmの自動車で向かったら、6ヶ月もかかる距離です。
38万kmも離れているものの、月は宇宙規模で考えればすぐ隣の星です。
また、1972年12月7日に打ち上げられたアポロ17号の月面探査を最後に、人類は月に降り立っていません。
有人探査の実績は、今から40年以上前のアポロ17号で更新が止まっているのに対し、無人探査はどれほどの実績があるのでしょうか。
最も遠いところに到達している探査機はボイジャー1号です。
1977年9月5日に打ち上げられ現在も運用されています。
2010年には、太陽風の速度が0になる地点、つまり太陽圏の端に到達し、現在は星間空間を移動していると考えられています。
ボイジャー1号は、2022年1月時点で地球から約156auの地点に到達しています。
auは地球から太陽までの距離を1auとした距離の単位で、1au≒1億5000万kmとなります。
つまり、地球と太陽の距離の約156倍の地点まで到達しているのです。
現在でも17km/sで移動を続けており、これは音速の50倍というとてつもない速さです。
しかし、この速度でボイジャー1号が移動し続けたとしても、太陽系に最も近い恒星系のケンタウルス座α星に相当する距離にまで到達するのに、約7-8万年もかかってしまいます。
宇宙がいかに大きいかがわかります。
●近い将来期待されている宇宙の探査範囲
将来、有人探査する可能性がある惑星は火星です。
地球と火星の距離は、5500万~4億kmと幅があり、これは地球と火星が共に太陽の周りを公転していることに起因します。
地球を脱出する際に、最低限必要な初速度である11.2km/sで地球から火星に向かったとすると、最短距離の5580万kmだとしても、約58日かかる計算になります。
つまり火星に向かうには約1~2ヶ月間の宇宙旅行が必要になります。
火星の大気圧は750Paと非常に低く、これは地球平均の約0.75%程度に該当します。
大気圧が異常に低いのは、火星の重力が地球に比べて弱いからです。
大気を火星表面に引き寄せる重力が弱いため、火星大気は地球に比べるとかなり希薄です。
表面温度は平均で-63度で極寒の星と言えます。
このような過酷な環境ではあるものの、金星などの他惑星と比較すると環境は良い方であるため、移住先として、火星は最有力候補です。
しかし、乗り越えなくてならない技術的な壁は高いのも事実です。
有人探査は火星まで行ける可能性がある一方、無人探査はどのような未来が待っているのでしょうか。
無人探査はブレークスルースターショットと呼ばれる計画が進行しています。
これは、光速の5分の1で移動する小型探査機を作成し、わずか20年ほどでケンタウルス座α星に送り込む計画です。
カメラや通信機器・推進システムなどが切手サイズの超軽量宇宙船「スターチップ」に搭載される予定です。
ブレークスルースターショット計画の画期的な点は、化学燃料を燃やすのではなく、レーザー光によって推進力を得る設計にあります。
1辺が1m程度の極薄の帆をスターチップの取り付け、地球上から帆に向かってレーザーを照射することで、光速の20%の推進力を得る仕組みです。
冥王星まではたったの3日で到達し、20年かければケンタウルス座α星に到達すると言われています。
ボイジャー1号でも約8万年かかると言われているケンタウルス座α星に、たった20年で到達するのは驚異的です。
スターショット計画はまだ始まったばかりで、具体的な打上げスケジュールは未定です。
実現するために必要な技術もまだほとんど存在していないため、実現できるかどうかまだ分からないのが実情と言えます。
スターショット計画の実現に期待がかかります。
●理論上人類が探査できる宇宙の限界
人類の科学技術が発展し、この宇宙の速度の上限である光速に非常に近い速度で移動できる無人探査機が開発されたとしたら、どれくらい遠くまでいけるのでしょうか。
亜光速移動が実現した場合、人間の寿命程度の期間では地球から100光年程度の距離の領域であれば探査できそうです。
シリウスやアークトゥルスなど近所の有名な恒星系に直接向かうことができます。
しかし、銀河間の移動となると話は変わってきます。
例えば太陽系が所属している天の川銀河と非常に近所にある巨大銀河である、アンドロメダ銀河との距離は、250万光年もあると言われています。
つまりほぼ光速で移動できる探査機でも、アンドロメダ銀河に行くのに最低でも250万年はかかってしまう計算です。
このように途方もない時間がかかることから、亜光速移動を実現する技術ができたとしても、隣の銀河まで無人探査機を送り込むのは難しそうです。
空間をワープするような全く新しい技術が発明されない限り、現実的ではないでしょう。
ワープ技術のようなものが発明されれば、無人どころか、有人での遠方の宇宙の直接探査も可能になるかもしれません。
●観測可能な限界
では直接探査機を送るのではなく、地球から望遠鏡を使って遠くの天体を見る場合、どこまで遠くの宇宙を観測できるのでしょうか?
実は宇宙には観測できる限界があります。
宇宙は光の速度を超えるほどの速度で膨張しているため、宇宙誕生の瞬間から今までの138億年間でそこからの光が地球に届いていない、現在の地球からは観測不可能な領域が存在しています。
現在の地球で観測できる光の中でも古い光ほど長い年月をかけ遥か遠い宇宙から地球にやってきているので、宇宙最古の光をもしも地球から観測できれば、それが放たれた場所が現在の地球から観測できる宇宙の果てになります。
そして実際に宇宙最古の光は、1964年に観測することに成功していて、「宇宙マイクロ波背景放射」という名前が付けられています!
これは宇宙誕生後わずか38万年後に放たれた光であることが知られています。
この現在の地球から観測できる最古の光を放った宇宙空間は、宇宙の膨張と共にどんどん地球から離れて行って、現在は実に465億光年も彼方に位置していると考えられています。
つまり光で観測可能な宇宙の果ては、現在は地球を中心とした半径465億光年の球面ということになるんですね!
地球から観測できる全ての天体はこの球内に存在することになります。
目で見えている世界の向こう側に、観測できない領域があり、宇宙の広大さは想像を絶するものがあります。
観測できる宇宙の外側にさらに大きな宇宙が広がっているのかもしれません。
しかしそのような領域を人類が観測することは、理論上不可能といえます。
そんな中でも宇宙は本当はどれくらい広いのか、いつかその謎が解明される日が来るといいですね。
今回の関連で、「宇宙の果て」について以下の動画より詳細に解説しているので、併せてご覧ください!