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餌をすぐに食べ終えてしまい後悔する柴犬がネットで話題に… どう対策すればいいの?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:アフロ)

生後9カ月の柴犬(こむぎくん)が、ドッグフードをもらったけれど、すぐに食べてしまって後悔する姿がかわいいと、話題になっています。

再生可能が、112万回以上(3月23日現在で)です。なんとも微笑ましい動画ですね。このような食いしん坊で早食いのワンちゃんに対して、飼い主はどのように対処すればいいのか、考えてみましょう。

早く食べ過ぎて後悔?

早く食べ過ぎて後悔?ワンちゃん空の容器ガリガリ・・・(2021年3月12日)

上記の話題の動画を詳しく見ていきましょう。

こむぎくんは、餌をきれいに食べ終わって、空の餌入れを咬んでいます。その餌入れは、突起があるので早食い防止用のものです。飼い主は、こむぎくんにゆっくり食べてもらうつもりで、そのような餌入れを購入したのでしょう。

それでも、こむぎくんは、一気に食べてしまって餌入れに執着があるようで、ガリガリしています。そこには、咬んだ歯型がついています。こむぎくんは、フードがないのは、わかっているけれど、名残りおしいのでしょうね。

別の日のようすでは、「空になった餌入れに絶望して」ヘソ天になり、なんともいえない少し甘えたような悲しい鳴き声を出しています。飼い主さんによりますと、こむぎくんは、「早食い」な上に「食いしん坊」だということです。

この動画から、わかることは、以下です。

□こむぎくんを叩いりたする人はいない(敵がいると、犬はこのようなヘソ天で無防備な格好をしない)

□こむぎくんは、甘え坊さん(安全な環境なのでヘソ天で、要求をしている)

□こむぎくんは食欲旺盛で元気そう

□こむぎくんは、飼い主に大切にされていて、一般的な餌入れではなく、早食い防止用の餌入れを購入してもらっている

□飼い主によく話しかけてもらっているので、こむぎくんも鳴いて自分の感情を伝えている(あまり話しかけない飼い主だと、犬もコミュニケーションしようとしない)

たまらずオヤツをあげてしまっていいの?

写真:nozomin/イメージマート

こんなかわいい動作を愛犬がすれば、飼い主はたまらずオヤツを与えてしまいがちですね。でも、それでいいのでしょうか?

犬は知的な動物です。飼い主にオヤツをねだると与えてくれるということを、犬はわかっています。それで、飼い主の気持ちに犬は、訴えます。

それが積み重なることで以下のようなことが起こります。

□肥満になる可能性がある

1回オヤツを与えたからといってすぐに肥満になるわけではないですが、積み重ねで肥満になります。たとえば、家族が多い場合だと、ひとりが少しと思ってオヤツを与えると、それがトータルで多くなりますね。その一口が肥満のもとです。かわいいからこそ、気をつけてあげましょうね。

□わがままになる可能性がある

自分が要求すれば、餌が出てくることがわかると、要求がエスカレートしていきます。聞き分けのない犬になってしまうこともあります。犬は群れ社会の動物なので、ちゃんと教えると理解します。NGなことをちゃんと教えましょう。

早食い防止の対策

ついついオヤツをあげたくなりますが、以下のような早食い防止対策があります。

□ドッグフードをふやかす

ドライフードをふやかしてあげると胃の中で満腹感があるので、空腹感は減らすことができます。その上、胃拡張を防ぐこともできます。

□早食い防止の餌入れにする

こむぎくんも早食い防止用の餌入れですが、もう少し突起がたくさんある食べにくいものにしましょう。そうすると、食べるのに時間がかかり、早食いが防止できます。

□餌は少量頻回

多量に1回しかあげないと空腹感がより強いですが、同じ量を分けてあげるといいですね。

たとえば、2回の食事を4回にしてみると、血糖値がある程度保てるので、空腹感が防げます。

□オヤツを野菜などの繊維質の多いものにする

野菜ばかりを与えると栄養失調になる子もいますので、オヤツだけをブロッコリーなどに変更して、繊維質を取らせておくと腹持ちがいいですね。

□多頭飼育の場合は、1匹ずつの食事にする

写真:アフロ

多頭飼育の場合は、他の子に取られると思って、急いで食べる傾向があります。そのため、早食いをする子は、1匹ずつ部屋に連れて行きゆっくりとした環境で食事にしてあげてくださいね。

まとめ

写真:nozomin/イメージマート

犬は基本的に肉食なので、草食動物のように、よく噛むことはしないです。そのため、こむぎくんは、特別早食いというわけではないですね。

最近では、のどを詰めないようにドッグフードが小粒化しているので、余計に噛まない傾向にあります。

犬も毎日、空腹でストレスがあるとよくないので、上記のような工夫をしてあげてください。比較的に柴犬のような中型、不妊去勢手術をしている子にこのような傾向が強くなります。

毎日の食事は、犬も待っています。その子の様子を観察して、適切な回数やフードの種類にしてあげてください。悩んでいる飼い主は、かかりつけの獣医師にも相談してみてください。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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