A組抜てきの20歳大砲候補、ソフトバンク砂川リチャード。王会長が激熱エール
王会長「期待感を持たせてくれた」
ソフトバンクの王貞治球団会長が未来の大砲へ激熱エールを送った。
30日、ソフトバンクは福岡市東区の筥崎宮で毎年恒例の必勝祈願を行った。首脳陣や選手、スタッフ、球団職員の180名が参列。境内での参拝を終えると、王会長や工藤公康監督がマイクの前に立ち、「今年こそ完全優勝」(王会長)「2020年もファンの皆さんと一緒に勝ち抜きます」(工藤監督)と集まった4,500人のファンの前で力強く挨拶をした。
その後、報道陣の取材に応じた王会長。その中で今春キャンプに育成選手ながらA組に抜てきされた砂川リチャード内野手について話が及ぶと、期待の言葉を次々と並べたのだった。
「A組に入ったのはよかったね。彼がそう決めさせた。こちらが意図的に(A組に)上げたのではない。昨年頑張って、期待感を持たせてくれた。試合でも結果を出してくれた」
沖縄出身の高卒3年目。身長188cm、体重106kgでいかにもスラッガー然とした体躯を誇る。父は軍事施設で働く米国人で、兄(ジョーイ・オブライエン)は地元の高校を卒業後にアメリカの学校に進学して、米大リーグのシアトル・マリナーズからドラフト指名を受けてマイナーリーグでプレーをしている。
育成選手なので当然一軍出場はない。二軍公式戦もプロ1年目は出場ゼロで、2年目だった昨季も8試合しか出場歴がなく、しかも13打数1安打、打率.077と何の実績も残せていない選手だ。
しかし、三軍戦が主である昨季非公式戦では12本塁打を放った。「飛ばす力はチームでトップクラス。飛距離だけなら一軍や」と藤本博史三軍監督も太鼓判を押す。
「中身もしっかりしてくる」
昨秋の宮崎キャンプで王会長の目に留まり、直接指導も受けた。その中で、(秋季キャンプ後に参加する)台湾でのウインターリーグで「3試合に1本塁打」、つまり予定されている18試合の中で6本塁打を打ってこいと“宿題”を与えられたのだ。
結果は17試合で3本塁打。序盤こそノルマのペースで打ちまくったが、後半に失速してしまった。それでも今春キャンプでA組入りを果たしたのは、首脳陣にアピールが届いたことの証だ。
王会長は声を弾ませるようにこう話した。
「今季で3年目かい? もともと体は大きいんだし、中身もしっかりしてくる頃。プロの世界で2年やったのは大きい。高卒だと(3年間は土台を作り)4年目あたりがスタートになるが、1年早くスタートできる。失敗を恐れずに頑張ってほしいね」
工藤監督も「バッティングがいいのはもちろん、グラブさばきが上手くて守備や肩も成長著しい選手。上でプレーをすることで、自信にしてくれれば」と期待を寄せた。
現在は127番の背番号を、開幕までには変えたいところ。それはすなわち、開幕一軍入りを意味することになる。