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今年のノーヒッターと同じ日に多く起きている、もう一つの快記録

宇根夏樹ベースボール・ライター
ヨエニス・セスペデス(ニューヨーク・メッツ)Aug 21, 2015(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

マイク・ファイヤーズ(ヒューストン・アストロズ)が今シーズン5人目のノーヒッターを達成した。ヨエニス・セスペデス(ニューヨーク・メッツ)は今シーズン8人目の1試合3本塁打を放った。ファイヤーズのノーヒッターとセスペデスの3本塁打は別の試合ながら、どちらも同じ8月21日の出来事だった。

ESPNによれば、ノーヒッターと1試合3本塁打が同じ日に発生したのは、メジャーリーグ史上7度目だという。そのうち3度は今シーズンで、6月9日はクリス・ヘストン(サンフランシスコ・ジャイアンツ)がノーヒッター、ジョーイ・ボトー(シンシナティ・レッズ)が1試合3本塁打、7月25日はコール・ハメルズ(当時フィラデルフィア・フィリーズ/現テキサス・レンジャーズ)がノーヒッター、アレックス・ロドリゲス(ニューヨーク・ヤンキース)が1試合3本塁打を記録した。

また、ESPNは7月26日に、このコンビネーション(同じ日のノーヒッターと1試合3本塁打)が1シーズンに2度起きたのは史上初、と記している。ということは、1シーズン3度も初めてだ。もちろん、同じ日のノーヒッターと1試合3本塁打は、単なる偶然に過ぎない。それでも、ここまで同じ日に重なって起きると、不思議な巡り合わせを感じずにはいられない。まさか、その日のバランスを保つ摂理が働き、ある試合で投手がノーヒッターを演じる代わりに、別の試合で打者が本塁打を打ちまくるわけではないだろうが。

ちなみに、過去に起きた同じ日のノーヒッターと1試合3本塁打は、最初が1963年5月17日のドン・ノッテバードボブ・アリソン、2度目が1969年8月13日のジム・パーマーロベルト・クレメンテ、3度目が1970年7月3日のクライド・ライトマイク・ラム、そして4度目は2001年4月4日の野茂英雄カルロス・デルガドだ。これらのデータは、野茂とデルガドが記録した当時、イライアス・スポーツ・ビューローが発表している。パーマーとクレメンテは後に殿堂入りし、ライトとラムはこの後、時期こそ重なっていないものの、日本でプレーした。

これまでの7度のコンビネーションは、すべて別の試合だった。けれども、いつの日か、ノーヒッターと1試合3本塁打が同じ試合で起きるかもしれない。さらに言えば、チームメイトではなく、1人の投手が同じ試合で両方をやってのけることも、可能性としてはゼロではない。

現時点でその候補を挙げるとすれば、まだノーヒッターも1試合3本塁打も記録したことはないが、マディソン・バンガーナー(ジャイアンツ)を措いて他にいないだろう。ここ2年の完封はポストシーズンを含めて5度(8月22日時点)。これは全投手のなかで最も多く、昨年8月には8回を迎えるまでパーフェクト、今年5月は7回を迎えるまでノーヒットを続けた。打席に立っても、昨シーズンの4本塁打と今シーズンの5本塁打は、どちらも投手では最多。バンガーナーの他には、ここ2シーズンで計4本塁打の投手すらいない。加えて、ジャイアンツではここ4年続けて、ノーヒッターが達成されている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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