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【日本の準同盟・5か国】有事のときには助けてくれる?その背景や歴史とは

原田ゆきひろ歴史・文化ライター

もし自国が、攻撃を受けてしまったとき、

とてつもない災害に、見舞われてしまったとき。

『必ず助けに行きますよ』・・そんな約束を結び合う、同盟。

日本は言うまでもなく、アメリカとその条約を結んでいます。

しかし現在わが国には、明確に“同盟”とまで宣言をしていないものの

それに近い“準同盟”とも言える関係を、築いている国家があります。

それは、どのような国々なのでしょうか?

そして、なぜ日本を支援してくれようとするのでしょうか?

その理由や歴史も含めながら、頼もしい準同盟・5か国について、

わかりやすくお話して行きたいと思います。

【日本の準同盟国①】カナダ

日本とカナダは、軍事同盟こそ結んではいませんが、

通称『日加ACSA(アクサ)』と呼ばれる条約を、締結しています。

これは有事や災害のときに、自衛隊とカナダ軍の間で、

互いに施設や物品や労働を、融通し合いましょう・・といった内容になっています。

具体的には水や食料、空港や港の施設、弾薬や燃料、医療品などを

互いに提供し合う内容となっており

双方の連携を、非常に強めるものとなっています。

さて、このようにカナダと日本が結びつく理由は、文化や価値観の親和性といった面もありますが・・

かつて5千円札に載っていた、新渡戸稲造(にとべ・いなぞう)という偉人も、深く関わっています。

第二次世界大戦のまえ、日本とカナダは敵対関係になったばかりか

その後、日本は国際連盟も脱退し、孤立を深めて行くことになります。

そのような情勢下、病気で辛い身をおしてカナダへ渡航。

「政治的な価値観は違えても、国民同士が憎しみを抱いてはならない!」と熱弁。

一時は欧米人・日本人の双方から敵視され、板挟みに苦しみましたが・・

最期のときまで訴え続け、カナダの地で亡くなりました。

・・戦後、カナダは日本の国際復帰を、いち早く支援。

貿易においては最恵国待遇を表明し、世界経済を牽引するグループにも、日本を推薦しました。

バンクーバーには新渡戸稲造記念庭園が作られ、

いまの上皇陛下や、美智子様も訪問されています。

ハード面・ソフト面ともに頼れるパートナーとして、

末永く関係を大切にしたい国の1つです。

【日本の準同盟国②】オーストラリア

単なる政治的なつながりを超え、スポーツに、ワーキングホリデーに、旅行先に。

治安がいい国同士ということもあり、民間人も互いに、親しみを抱く人が多い国です。

また日本からの留学先としても大人気で、姉妹校は500以上と、世界最多。

姉妹都市も100を超え、草の根レベルでも親しい間柄と言えます。

ちなみにオセアニアの地域大国であるオーストラリアは、

中国の海洋進出に、強い警戒感を抱いています。

“同盟”とまでは言わないものの、それに極めて近い

“安全保障対話”通称Quad(クアッド)を、日本と締結。

また前述のACSA(アクサ)も結んでいます。

もともと資源大国であり、互いに貿易も盛んなことから、

先々にかけて頼れる、パートナー国ということができます。

【日本の準同盟国③】インド

かつてインドが植民地支配をされていた頃、

日本は亡命してきた独立運動家をかくまった過去があります。

その親族が、やがてインド独立に大きく貢献。

そうした経緯もあってか、なにかと日本に寄り添ってくれた歴史があります。

戦後の極東軍事裁判では、インド代表が唯一、全員の無罪を主張。

昭和天皇の崩御時には、インド国内でも葬儀を行い、

また原爆の日には黙とうを捧げるなど、心情を汲んでくれる国です。

また経済的には、高速鉄道に新幹線を採用したり、

軍事的にも中国と国境問題を抱える立場上、利害も一致。

オーストラリアと同じくACSA(アクサ)Quad(クアッド)の2つも、締結しています。

なにぶん多民族国家であり、もちろん全ての国民が日本好きではありませんが

2023年には人口が世界一となる見込みで、これから世界の動向を、

大きく左右するのは、間違いありません。

この先も、ぜひ結びつきを強めたい、大国の1つと言えます。

【日本の準同盟国④】フランス

文化や芸術の発信地、また料理などもふくめ、憧れを抱かれる地域大国。

フランス側からも、浮世絵の昔から、今もジブリ作品や鬼滅の刃が大人気など

互いにリスペクトし合う関係を、築いてきました。

フランスといえば、もちろんヨーロッパの本国を思い浮かべるところですが

太平洋から南米に至るまで、多数の海外領土をもっており、その保全を目指し

日本とACSA(アクサ)も結んで、連携しています。

なおNATOのメンバーでもあり、米中2大国の間では、アメリカ寄りの立ち位置ではありますが・・

ただしフランスの第一目的は、全体的な平穏。

強く肩入れするよりは「どっちも、もめごとは起こさないように!」

といったスタンスを、取りがちです。

・・とはいえ、海外領土の現状を乱そうとする国があれば、

強く対処に出るのは、間違いありません。

この点は日本の思惑とも一致し、ヨーロッパ屈指の軍事力を保持することもあり、

手を結び続けて行きたい国の1つです。

【日本の準同盟国⑤】イギリス

かつては日英同盟を結び、ともにロシアに対抗した歴史もある、イギリス。

第二次世界大戦では敵同士となり、険悪な関係になってしまいましたが・・

戦後はたがいに「皇室・王室」が歩み寄ったこともあり、親交が復活。

おなじ島国、おなじ海洋国家、そして伝統をリスペクトし合う仲として、

近年はますます距離が、近づいています。

フランスと同じく、世界中に海外領土もあり、日本と利害も一致。

日本国内では自衛隊・イギリス軍による合同訓練が行われたほか

2021年には空母「クイーン・エリザベス」が、横須賀に寄港するなど、

アメリカに次ぐレベルで、一体化が進められている存在です。

ACSA(アクサ)のほか、次期戦闘機の共同開発でも合意が結ばれており

まさに“新・日英同盟”が復活しつつあるといっても、過言ではありません。

この先もトップレベルに頼れる準同盟国として、

その連携はますます深まって行くことが、予想されます。

以上、日本の準同盟といえる5か国を、かいつまんでご紹介しました。

もちろん国同士の関係は、条約によるものだけでなく、災害時など

良心から助け合える信頼関係こそ、大切です。

そして何よりは“有事”自体が起こることなく、“軍事的な連携”はしたけれども

「実際には発動しないで済みましたね」

そんな風に言える未来が、最も理想的です。

抑止力はもちつつ、しかし出来る限りは、交渉や話し合いで解決され、

世界に今以上の戦火が広がらないことを、願ってやみません。

歴史・文化ライター

■東京都在住■文化・歴史ライター/取材記者■社会福祉士■古今東西のあらゆる人・モノ・コトを読み解き、分かりやすい表現で書き綴る。趣味は環境音や、世界中の音楽データを集めて聴くこと。■著書『アマゾン川が教えてくれた人生を面白く過ごすための10の人生観』

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