IBJ(日本結婚相談所連盟)の独占禁止法違反疑惑の問題点を解説します
婚活サービス事業大手で東証プライム上場企業の「IBJ」は、23日に独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会の立ち入り検査をうけました。他社の取引を妨害した疑いがあります。
どのよう点が独占禁止法違反と思われたのか解説したいと思います。
結婚相談所連盟は会員データを共有するプラットフォーム
結婚相談所の仕組みを解説します。結婚したくて結婚相談所を利用している会員は自分のプロフィールを結婚相談所用のプラットフォーム上に掲載します。結婚相談所間で会員のデータはネットワークでつながっており共有できるようになっております。
この会員データのネットワークを運営しているのがIBJのような結婚相談所連盟です。
売りたい不動産を登録できるプラットフォーム『レインズ』と似ているかもしれません。
レインズと異なる点は2点あります。
- 結婚相談所連盟が日本に約10ほど存在するという点。IBJはその1社です。
- 結婚相談所は加盟金を払ってプラットフォームを利用し会員を集め結婚相談所運営をやっているという点。
会員のため複数の結婚相談所連盟に加盟する結婚相談所もある
結婚相談所連盟毎に特徴があり、会員数が多いエリア、会員の年齢層、ルールや仕組みなどが異なります。地方の結婚相談所や古い結婚相談所は複数の結婚相談所連盟に加盟していることがあります。
なぜかというと、地方は結婚相談所連盟1社では会員が少なく会員の活動が余り捗らないためです。
結婚相談所連盟の仕組みはあまり知られていないため、複数の結婚相談所連盟に加盟しているからといってそういう結婚相談所を探して会員が入会することはあまりありません。加盟金負担も増えます。
複数の連盟に加盟するのは、結婚相談所が会員が結婚しやすくするために結婚相談所オーナーの善意で選んでいることが多いようです。
IBJは単独加盟店を優遇してきた
報道によると、2016年ごろからIBJは複数の連盟に加盟している結婚相談所より、単独加盟店を優遇してきました。
加盟店がIBJ本部に払う月会費も複数の加盟の結婚相談所は約倍です。
結婚相談所を探している会員はIBJに問い合わせて、近くの条件にあう結婚相談所を紹介してもらうことができる仕組みもありますが、IBJ経由では単独加盟の結婚相談所しか紹介されません。
最近では、複数の連盟に加盟している結婚相談所に対し、他の連盟を脱会しないと直営店の会員に申し込みしてもお見合いを潰すと脅していた疑いがあります。
IBJ直営店は3つあります。IBJ全体のお見合いのうち直営店会員が絡む割合は4~6割程度かなと思います。
会員を人質に取られて加盟店を従わせていたIBJ
結婚相談所を利用している会員は気になる異性に申し込みをします。相手が断るか、回答期限切れでお見合い不成立でお断りになるのが一般的です。
ところが、IBJの仕組みでは管理者がお見合い申込通知が届かないようにしたりすることができるようになっていたのです。こういう設計上、IBJ直営店が意図的に会員に申し込みがあったことを伝えず断ることはできてしまいます。
なお、会員側はどういう経緯で断られたのかは分からないようになっています。
管理者がお見合いを断れる仕組みの会員目線のメリットもあります。特定の人から何度も申し込みがきて会員が怖い思いをすることを防いだり、あまりの年上の人から申込がきて会員ががっかりして活動が停滞するのを防ぐこともできます。
結婚相談所の中には、IBJから会員を守るためにせっかく加盟金を払って加盟していた他連盟を脱会したところもあるようです。
よくある質問「IBJの結婚相談所は乗り換えた方がいいの?」
今、IBJ加盟の結婚相談所で活動している方から「結婚相談所を乗り換えた方がいいの?」という問い合わせをいただきます。
乗り換えなくても大丈夫ですよ。
IBJだけに加盟している結婚相談所の場合、今回の騒動は関係ありません。
また複数連盟に加盟している結婚相談所であってもこれからお見合いを潰すことはないでしょう。
IBJじゃなくてもお見合いはそんなに簡単に成立しません。だいたいの方が自分より人気がある人に申し込みしちゃうため、アラサー女性が10人に申し込みして1件、アラサー男性が15人に申し込みをして1件成立するかどうかぐらいの確率です。
「いっぱい申込したのに断られたのはIBJの結婚相談所を使っていたからだ」と思う方がいたら申し訳ありませんが、それは違うかなと思います。
不透明感が多かった業界が変わるきっかけになって欲しいと思います。