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「黒子のバスケ」脅迫犯の手紙を公開します。

篠田博之月刊『創』編集長

昨夜来、「黒子のバスケ」脅迫犯の手紙について書いていることが大きな波紋を投げている。特にきょうアップした2通目の手紙の内容は、私は警察が知っていて発表していないのだと思っていたのだが、そうでなかったらしい。ヤフーニュースで流れて警視庁の捜査員が飛んできた。

確かにそう思って読んでみると、この手紙の内容は実に意味深だ。セブンイレブンは15日に全国の店舗から問題の菓子を撤去し、ひとつひとつチェックしたのだが、全国店舗からの回収が実は徹底していないらしい。犯人が店舗に置いた毒入り菓子が、確認されないままになっており、犯人はそれに苛立ってこの手紙を送ってきたようなのだ。

幸い、警察の求めに応じて今夜、犯人の手紙のコピーを渡したので、その後、犯人が明らかにした店舗について捜査が行われたはずだ。警察は、犯人が本当のことを言っているかも疑っており、確かに今は犯人と警察の心理戦だから、情報については疑ってみる必要がある。ただ、ここで気になるのは、犯人の手紙に書かれたある種のリアリティだ。そして、現局面において、この情報は公表されなければならないと考える。

ヤフーニュースを見て、マスコミ各社からも問い合わせの電話が相次いだ。店頭に毒入り菓子が置かれたという社会的事件だから、それに関する情報は、『創』だけで独占するといったケチな考えを持たず、他のマスコミにも、そして社会に対して公開されるべきだと考える。

そこで、ここで犯人からの幾つかの手紙を公開することにした。ひとつは新聞社に送られたと思われる手紙のコピー、もうひとつは私あての手紙だ。犯人からは他にも幾つかの文書が送られてきているが、膨大な量になるし、いま公開すべきものに限定する。新聞社宛の手紙には、毒入り菓子を具体的にどんな状態で置いたかが具体的に書かれているので意味があると考えた。両方の手紙とも、店舗名はもちろん伏せたし、そのほかも社会的影響を考えて一部を伏せることにした。

これらが、犯人が捜査かく乱のために書いた偽情報である可能性もゼロではないが、本当に毒物などが店舗に置かれたのだとしたら、一刻も早く見つけ出してほしいと思う。犯人自身も一般市民に危害を加えぬよう考えてはいるようだが、一歩間違えて思わぬ事態を引き起こすことだけは避けてほしい。

事態は急展開している。犯人からの手紙は今後も逐一紹介していくつもりだ。

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月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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