【河内長野市】日野の田んぼで市制70年アート!仕掛人は意外にも、大阪最高の米を作る南花台のお米屋さん
今年は例年以上に暑い気がしますね。とはいえ、河内長野にある田んぼでは、6月ごろに行われた田植えの稲が確実に成長しています。まだまだ青いですが、今から収穫が楽しみです。
そんな田んぼの成長を地域の人々は見守りつつ、ご先祖様を供養するお盆の季節になると夏祭り、盆踊り大会が行われます。この前の日曜日11日には、第21回ご先祖供養盆踊り大会が日野地区で行われました。
私もご縁があり参加させていただきました。盆踊りの櫓の隙間からは月が見えました。こういう場所にいると、ついつい日本の夏の原風景を感じますね。
そんな日野の夏祭りに行く道すがら、ちょうどつまようじの菊水産業さんの工場とカワバタファームさんの間あたりでの田んぼを何気なく眺めていると、ある部分に違和感を感じました。
何やら文字のようなものがある気がしたのです。左側が「7」で右側が「0」です。
もしや「田んぼアート」と思い近づいてみると、確かに「7」の文字と「0」の文字でした!
実はこのたんぼアート、南花台にある西端米穀店の野村祐介さんが手がけたものだということがわかりました。「70」とは河内長野市制70周年を記念したものです。そして米を販売している野村さんご自身が米の栽培もしていると聞きました。
野村さんの栽培したお米は、賞を受賞するほどの素晴らしい品質であると伺いました。とても気になったので、西端米穀店さんに行ってみることにしました。場所は南花台一丁目南にあります。
こちらが西端米穀店さんです。野村さんによれば、野村さんの祖父に当たる人が天野山で創業し、当時河内長野の宅地造成が盛んだったところに目をつけて、南花台やサニータウンにお店を出店したとのこと。
野村さんご自身は北陸の大学を出て、そのまま北陸で2年ほど働いたのち、25歳の時に河内長野に戻って南花台のお店の運営を始めたそうです。
野村さんは店を継いだ時に安いものを大量に仕入れて捌くよりも、こだわりの米を扱った方が他のお店との差別化ができると考えました。
実際に並んでいる米は、全国の米どころで野村さんが実際に産地を訪れて栽培方法を確認し、「コレは」というものを選んで仕入れているものです。ちなみに野村さんは米・食味鑑定士協会の米食味鑑定士(外部リンク)の資格認定を受けています。
野村さんによると、農協で扱うお米の半分の基準の減農薬の米などを仕入れているため、高向保育園などの施設にも卸しているとのこと。
河内長野市内にこだわりの米穀店さんは何軒もありますが、通常、河内長野産のお米は販売していません。理由として、この地域はほとんどが兼業農家のため、生産量が限られているだけでなく、自家消費や知り合いへの配るだけで終わることが多いからとのこと。
例外としては、JA大阪南が経営している「アグリかわちながの」や「あすかてくるで」で手に入ります。
しかし、西端米穀店さんでは野村さんご自身が田んぼで栽培しているから、河内長野日野産の米を扱っているのです。そしてそのお米が10年連続大阪府下産米第一位という、とんでもない記録を持っていたのです。
富田林の東條ほんわか米「ひのちゃん」をはじめ、河内長野を含めた南河内の米といえば「ひのひかり」が多い印象がありますが、野村さん栽培している米の名前は「きぬむすめ」という品種です。
「きぬむすめ」を調べてみると、愛知92号とキヌヒカリの公配によって2006年に誕生した米の品種で、日本の米の代表格コシヒカリ並みの良い食味に加え、作りやすい栽培適性を持っているとのこと。鳥取県では2013年に初めて特Aを獲得し、山口県では2015年から特Aを獲得。いずれも数年取得が続くなど、とてもレベルの高い米の品種だとわかります。
つまり一般的な米穀店では扱っていないだけに、自ら栽培して販売している野村さんは、生産から販売まで一貫して管理しているサプライチェーンを実現しているということになります。それも連続して賞を取るほどの品質の良い米です。
野村さんによれば、米を売るにはその生産過程も知っておかなければと、日野にある親戚の田んぼ2反半(2.5アール=約75.6坪)を借りて自分で米の栽培を始めたとのこと。
さて素晴らしい米を栽培している野村さんですが、ここでなぜか田んぼアートをしています。どういうことでしょうか?
描きたい場所に米ぬかなどを撒けばその場所だけ栄養が高くなって成長が早くなり、アートのように描けることを知った野村さんは、田んぼアートを昨年から行ないました。しかし当初、アルファベットの部分は上手にできませんでした。
アルファベットが難しいということで、今年はハートマークをする予定でした。ところが市のある方から「市制70年」をお祝いしたいという話を聞いたことから、「70」という文字にしたとのこと。
米作りにあたっては、周りの農家の方々や取り扱っている米産地の人の指導を受けながら試行錯誤を繰り返し、覚えていったとのこと。
今の季節は、米の栽培作業を早朝の涼しい時間帯に行い、暑い時間帯は店で営業しているそうです。
日野地区は、滝畑からの水がそのまま使えるのでとても水質が良く、また天敵の生物を使った害虫駆除を行っているので、ほぼ農薬不使用で栽培しているとのこと。
こうして生産した米をコンクールに出したところ、いきなりよい成績が取れたので、さらに努力を積み重ね、大阪でトップが取れたのだそうです。
動画提供:野村祐介さん
それが気が付けば10年連続の記録を出し続けているのです。
とはいえ、もともとの作付面積が限られているきぬむすめは、幻の米と言っても過言ではありません。その貴重なお米が、河内長野市のふるさと納税の返礼品でも用意されています。
そのため、例年10月ごろに一般販売用に新米が出ると、あっという間に売り切れてしまうとのこと。早ければ年内、遅くても1月頃にはなくなるそうです。
自ら生産しているきぬむすめはすぐに売り切れてしまいますが、野村さんご自身が自分で現地に足を運んで品質を確かめた全国のお米を、常時12~3種類扱っているとのこと。店頭での販売の他、河内長野市内なら配達も行っています。
せっかくなので、野村さんにアドバイスを伺いながら、お米を少し買って帰ることにしました。
私の好みは堅めのご飯なのですが、それをお伝えし、野村さんからおすすめを選んでもらいました。その場でお米を測ってくれます。
西端米穀店さんは玄米で用意されていて、購入時に精米をしてくれます。玄米食の場合なら、玄米と指定すればそのまま詰めていただけます。精米は1キログラム単位です。
野村さんの話では、子ども食費支援の関係で最近初めてのお客様が来店するそうですが、普段はスーパーで販売されている白米しか知らないこともあり、精米の様子を子供が見てとても喜ぶそうです。
こうして詰めて頂いたお米は、高遠伊那(長野県伊那市)で城主に上納していたお米とのこと。殿様が食べるお米ということは、それだけで高級だとわかりますね。
さて、野村さんに今後についてお話を伺いました。きぬむすめについては河内長野の特産品としてなれたらいいなと思っているそうです。もし他の生産者で米のコンクールに出す方がいれば、賞の取り方などアドバイスもできるだろうとのこと。
また今年で野村さんが引退するJC(青年会議所)での活動予定として、河内長野市で11月に小学生を対象にしたドッジボール大会が行われ、さらに2026年にとても大きなイベントが予定されているとのことでした。
ちなみに田んぼアートは8月20日頃が見ごろのピークとのこと。私が見た限り、上の道路の歩道でも見えますし、下の田んぼの傍に降りると、明らかにアートの部分だけ他より成長していて、稲の葉の色も濃く違うのがわかります。
西端米穀店南花台店
住所:大阪府河内長野市南花台1丁目24-7
TEL:0721-63-2233
営業時間:9:00~18:00
定休日:土日
アクセス:南海三日市駅からバス 南花台一丁目南バス停から徒歩1分
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