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祝!政府・観光立国推進閣僚会議がカジノ合法化に関するアクション・プログラムを策定

木曽崇国際カジノ研究所・所長

さて、昨日行なわれた観光立国推進閣僚会議において議決された「観光立国実現に向けたアクション・プログラム(案)」にて、いよいよカジノ合法化とIRの導入に向けた政府の取り組みが決定されました。以下、公表資料より。

観光立国実現に向けたアクション・プログラム(案)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kankorikkoku/dai2/siryou.html

(4)IR

○統合型リゾート(IR)について、IR推進法案の制定の前提となる犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症防止などの観点から問題を生じさせないために必要な制度上の措置の検討を関係府省庁において進める。

カジノの合法化に関しては、何とかその検討を始めさせたい政治側と、何としてでもそれを押し留めたい官僚側の間で激しい綱引きが行なわれていたのが実態。観光立国推進閣僚会議とは別に「カジノ導入に向けた検討が必要」として意見が出されておった政府・産業競争力会議側においては、6月5日に発表された「成長戦略(素案)」からカジノに関連する記述が外されるなど、マイナス方向への動きも活発になっていたので私自身もドキドキしながら見守っておった次第です。

安倍総理は、本アクション・プログラムの策定に際して以下のように発言をしています。

我が国には、素晴らしい自然、文化、歴史、料理など、世界の人々に自信をもって勧められる観光資源があります。これらを活かし、魅力にあふれる観光立国の実現に向け、本日、「アクション・プログラム」をとりまとめました。...

史上初めての訪日外国人旅行者数1000万人を達成し、さらに2000万人を目指していくため、この「アクション・プログラム」を直ちに実行してまいります。我が国の経済成長や地域活性化のため、また、世界中の多くの方に、美しい日本を直接体験していただけるよう、関係閣僚のご協力をよろしくお願いいたします。

出所:http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/actions/201306/11kankorikkoku.html

これより、内閣官房を中心として犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症防止など、主にカジノ合法化とIR導入によって想定される社会コスト対策から各種検討が行なわれることとなります。しっかりとマイナスのお話から論議を始めるというこの方向性も非常に宜しいですね。

ここ数日の個人的な感想をいえば、先のアベノミクス第三弾の発表からカジノが外された時、官僚側の「静かなる」抵抗も見えていただけに、正直どうなることやらと思っていましたよ。。勿論、私の目にはすでに幾つかの問題点が見えてきているのですが、ひとまずは良かった。祝杯を挙げましょう。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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