Yahoo!ニュース

料金は決め手にならない! 「ソロ温泉」の宿選びで重視すべき3つのこと

高橋一喜温泉ライター/編集者

ひと口に「温泉宿」といっても、その特徴はそれぞれ異なる。また、昔ながらの湯治宿からラグジュアリーな高級旅館まで、料金もピンキリである。

ソロ温泉(=ひとりでの温泉旅)に出かける際、多くの人にとっていちばん悩ましい問題が「どの宿に泊まるか」ではないだろうか。

そこで、「ソロ温泉では何を重視して宿を決めるか」をテーマにお伝えしたい。

温泉宿を決める際の3つのポイント

筆者が「ソロ温泉」で出かける場所を決める際に重視していることは、次の3つである。

①温泉の質がよいか
②静かな環境であるか
③居心地がよいか

①温泉の質は、ソロ温泉ではきわめて重要である。ソロ温泉は入浴が中心の旅なので、温泉の質によって満足度が大きく左右される。

具体的にいえば、湯の鮮度が高い温泉が好ましい。つまり、循環ろ過によって個性を失った温泉ではなく、源泉かけ流しでいきいきとした湯を堪能したいからだ。

ストレスなく温泉でリラックスできるかどうかは、ソロ温泉のコンセプトに照らし合わせると、決して軽視できない。

人が多すぎると落ち着かない

②静かな環境も、ソロ温泉には必要不可欠である。

ソロ温泉は、日常の忙しない日々から距離を置き、「空白の時間」を得ることが目的である。仕事はもちろん、SNSや人間関係を一時的に断ち、ひたすら温泉でゆっくりすることにより、心身のリフレッシュを図るのだ。

それゆえに、観光客が多い有名温泉地や家族やカップルでにぎわう大型旅館・ホテルは、ソロ温泉には向かない。まわりに人が多いと、非日常感にどっぷりつかることが難しくなる。また、楽しそうに過ごしている人たちに囲まれていると、孤独を感じてしまう恐れもある。

したがって、観光客は少ないけれど、昔ながらの湯治場の雰囲気を残す温泉地、あるいは中・小規模の温泉宿がソロ温泉には適している。

実家のような居心地のよさ

③居心地のよさも重視するポイントである。だが、これについては判断が難しい。①源泉の質と、②静かな環境は、インターネットの情報などから大方見当がつく。

だが、居心地のよさは、人によって印象が異なるし、実際に宿泊してみないとわからない部分が多い。

いわゆるハイクラスに分類される人気宿にひとりで宿泊したときのこと。宿泊料金は2万円台。温泉の質や環境、設備、料理も申し分なかったが、宿泊客は若いカップルが多く、至るところで写メのシャッター音が聞こえるなど、どこかフワフワと落ち着かない雰囲気があった。

反対に、1泊2食付きで1万円を切る小さな宿に泊まったときは、田舎の実家に帰ってきたような居心地の良さを感じた。

建物は古く、トイレは共用だが、温泉の質がすばらしく、女将さん手づくりの料理は豪華さはないけれど、地元の食材を活かしたもので、記憶に残る味だった。

また、接客の距離感もちょうどよく、過度な干渉はしないけれど、こちらの要望や質問には的確に応えてくれる。ストレスを感じることなく、温泉に集中できた。

もちろん、高級旅館のほうが居心地がいいという人もいれば、筆者のように少々鄙びた宿のほうが居心地がいいという人もいる。その点は、人それぞれの好みが大きく影響するので正解はない。高いお金を払ったからといって、必ずしも高い満足度を得られるとはかぎらないのだ。

大切なのは、自分にとって、どんな傾向の宿が心地よく感じられるか、を把握することだ。自分の好みの傾向がつかめれば、ソロ温泉の宿を探すときに、ぐっと選択肢を絞りやすくなる。

あとは、実際に足を運び、「居心地のよさ」を確認するほかない。お気に入りの温泉が見つかったら、定宿にしてもいいだろう。思いつきでふらっとソロ温泉に出かけたくなったとき、定宿があると心強い。

「料金」は絶対的なモノサシにならない

このように、ソロ温泉の行き先については、「料金」は目安にはなるが、絶対的なモノサシにはならない。また、一人で訪ねて心地よい宿と、誰かといっしょに訪ねて心地よい宿は異なる。

自分にとって「一人で心地よい」のはどんな環境か? 温泉地を訪ねながら、試行錯誤するプロセスもソロ温泉の愉しみのひとつかもしれない。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『スーパーJチャンネル』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

高橋一喜の最近の記事