手を洗った「つもり」の日本人 コロナ対策で国連「世界水の日に手洗いを」
正しく手を洗えれば死者は約半分に
3月22日は国連が定める「世界水の日」。世界中の人々がきれいな水を使えることの重要性を考える日とされている。だが、新型コロナウイルスが拡散するなか、国連が緊急メッセージを発表した。
通常の『世界水の日』は人々が会合を開き、水と衛生の世界的な危機にどう取り組むかを議論する日です。
しかし、新型コロナウイルスの発生により、私たちの『世界水の日』の計画を変更する必要があります。
手や指の衛生は、COVID-19および他の多くの感染症の拡散を抑えるために不可欠です。『世界水の日』(もちろんその他の日にも)に、水と石けん、あるいはアルコールなどをつかって、定期的に手を洗うことを忘れないでください。
開発途上国では、手洗いの習慣のない国や地域がある。その結果、感染症の広がりにつながる。感染症によって下痢になり、命を落とす子どもは年間150万人にのぼる。
手洗いは手指の汚れ、菌、ウイルスを除去する行為で、感染症の感染や食中毒予防に大きな効果がある。手洗いは生活に身近でシンプルな行為だが健康に大きく関係する。予防や衛生的な生活のために、手洗いの大切さを啓蒙したり、手洗いの習慣を身につけてもらうことは、水と衛生分野の取り組みとして、とても重要なことだ。
手洗いは「持続可能な開発目標(SDGs)」のアジェンダの1つにもなっている。開発途上国では、正しく手を洗えれば、下痢による死を約半分に、肺炎による死を約3分の1減らすことができるといわれる。
部分を意識しないでなんとなく全体を洗う「つもり洗い」が多い
では、手洗いは開発途上国だけの問題なのだろうか。私たちはきちんと手を洗っているのだろうか。
2018年3月、アンファー株式会社(東京都千代田区)が「手洗いに関する意識調査」を行っている。
'''プレスリリース「男女 300 名による「手洗いに関する意識調査結果」(アンファー株式会社)'''
・調査対象:20歳~59歳の男女300名【男性:100名(子供なし) 女性:48名(子供なし)、女性:252名(子供あり)】
・調査期間:2018年3月6日~8日
・調査方法:インターネット調査
調査の結果、手洗いを「毎日必ず」と回答した人は70.75%、一方、「毎日やりたいができないこともある」は11.0%。手洗いのタイミングは「帰宅時」「トイレ後」「料理前」「ゴミに触った後」などが多いが、「食事前」は少なかった。
この数字を見ると、手洗いができている人が多いように思えるが、毎日手洗いを実践できている8割の中で、直近1年間に感染症(かぜ・感染性胃腸炎・インフルエンザ)にかかったことがあると回答した人は約7割いた。
さらに、手の洗い方を以下のように細分化して、どのように洗っているかを尋ねた。
0. 部分を意識しない、なんとなく全体
1. 手の腹
2. 手のひら
3. 手の甲
4. 手の背
5. 指の間(側面)
6. 股(付け根)
7. 親指と親指の付け根
8. 指先
9. 手首(内側、側面、外側)
すると「0. 部分を意識しない、なんとなく全体」と回答した人が、20 代女性で64%、30代男性で48%、30代女性で36%という結果になった。調査では、こうした手洗いのことを「つもり洗い」としている。手を洗っているにも関わらず、感染症に罹患する人の数が多いのは「つもり洗い」と関係がありそうだ。
出勤直後の手洗い「毎日は行わなかった44.4%」「まったく行わなかった18.3%」
出勤直後の手洗いについての調査もある。
ユナイテッド・ヘルスコミュニケーション株式会社(東京都中央区)は、2020年2月、混雑した電車で通勤する人が、出勤直後に手洗い、もしくは手指消毒をおこなったかどうかを聞いた。
・調査対象:混雑した電車で通勤する関東4都県(東京、千葉、埼玉、神奈川)在住の人1311名
・有効回答数:744名
・2020年2月17日(月)~同2月21日(金)
その結果、調査機関の5日間、手洗いもしくは手指消毒を「毎日行った人は55.6%」「毎日は行わなかった44.4%」「まったく行わなかった18.3%」だった。
手を洗っていない人も多いし、手を洗っているつもりでも正しく洗えていない「つもり洗い」も多い。「世界水の日」を機会に、きちんとした手洗いの習慣を身につけたいものだ。
アンファー株式会社「子どもの健康管理」'''調査で「手洗い徹底県No.1 」に輝いた島根県では、同県感染症情報センターなどのWEBサイトで「手洗いの方法'''」を啓発していて参考になる。