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NASAが計画中のエウロパ着陸ミッション、生命の兆候を見つけるため表面を掘り進めるエウロパ・ランダー

エウロパ・ランダーのイメージ図 出典:Wikipedia

2024年10月11日、NASAはエウロパを探査するため周回機「エウロパ・クリッパー」を木星へ打ち上げました。本記事では、次のミッションとしてエウロパ表面を探査する「エウロパ・ランダー計画」をご紹介します。

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■エウロパ表面を10cm掘り、生命の兆候を検出する

エウロパ・ランダーのイメージ図 出典:NASA
エウロパ・ランダーのイメージ図 出典:NASA

まず、今回打ち上げたエウロパ・クリッパーは、エウロパ表面で着陸するべき地点の選定に使えるような、地形のデータを取得することも目的の一つです。そして、エウロパ・クリッパーの次には、エウロパ・ランダーという着陸ミッションが計画されています。

エウロパには、凍った地殻の下に塩分を含んだ液体の海が存在すると考えられており、もしその海に生命が存在すれば、バイオシグネチャーと呼ばれる生命の痕跡が地表に到達する可能性があります。

エウロパの地表物質から生命の痕跡が検出されるかどうかを調査するために、探査機はエウロパに着陸し、地表から約10cmの深さからサンプルを採取することが計画されています。これは、木星周辺の宇宙空間に存在する有害な放射線から、地下の海の物質の複雑な化学反応を保護できる深さとして設定されました。

■エウロパの氷を掘り進めるための装置開発は進む

エウロパ周回機と着陸機で構成されるエウロパ・ランダー 出典:Wikipedia / NASA
エウロパ周回機と着陸機で構成されるエウロパ・ランダー 出典:Wikipedia / NASA

氷の“殻”を破って掘り進めるためのドリルの開発が進められています。ブルックリンに拠点を置く宇宙関連企業Honeybee Roboticsは、プルトニウムを動力源とする回転式のドリルヘッド付き探査機を開発しています。

その他にも、NASAのグレン研究センターは、レーザーを用いてエウロパ表面の氷を溶かしていくことも検討されているようです。課題も多くあり、動力供給システムを搭載しなければならないし、存在しているかもしれない生命体に放射能漏れによるダメージを与えることなくサンプルを採取しなければなりません。そして、データをエウロパの表面と地球にいる科学者たちにどのように送信するのか、解決しなければならない問題は山積みですが、エウロパ内部探査が成功する日が待ち遠しいですね。

■エウロパでは生命に必要な成分も見つかっている!?

エウロパの内部構造のイメージ図 出典:Wikipedia
エウロパの内部構造のイメージ図 出典:Wikipedia

ガリレオ衛星であるエウロパの表面は、氷の地面に覆われていて線のような地面の割れ目が見えます。木星からの潮汐力からの影響で、内部は暖かいと考えられているんですね。エウロパは地下に海水が広がっていると予想され、地球外生命体がいる可能性が高いと言われています。

そして、エウロパでは生命にとって不可欠な炭素や塩も見つかっています。今までは隕石がエウロパに衝突することで炭素が持ち込まれたという説がありましたが、どうやらエウロパの内部に広がっている海からもたらされた可能性が高いとのことです。

さらに、NASAの木星探査機「ジュノー」の観測データを分析したところ、木星の衛星「エウロパ」で1日に1000トンの酸素が生成されている可能性があると判明しました。地球では植物が光合成することにより酸素が生成されています。一方エウロパでは、宇宙から飛来した荷電粒子が表面の氷にぶつかることで、酸素と水素に分解されているとのことです。

今後のエウロパ探査計画で、もしかしたら宇宙生命体のタコが表面を歩いていたりすることも想像したりすると、夢が広がりますね。

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