今さら聞けない5分でわかるマルチ商法とネットワークビジネスの闇。高額な特定利益に飛びつく人達
皆さんはマルチ商法、ネットワークビジネス、マルチレベルマーケティング、組織販売ビジネス、リレーションビジネス、連鎖販売取引。これらがすべて同義語であるのをご存じでしょうか?
マルチ商法より最近はネットワークビジネスの方が聞こえがよく、その言い回しで使われている場合が多いですが、すべて仕組みは同じです。(ねずみ講との違いは後半お伝えします)
マルチ商法・ネットワークビジネスは違法ではないのになぜアムウェイは取引停止命令なのか
マルチ商法で有名どころと言いえばアムウェイですね。
消費庁は、先日(2022年10月13日「日本アムウェイ」に対して一部業務6カ月の取引停止命令を出し、さらには再発防止を講じることを求める行政処分を出しました。
これはマルチ商法は違法ではないけれど違法と紙一重であるということを改めて示した処分なのです。
今回は目隠し商法という名前や販売目的を名乗らない悪質な会員と勧誘が増えたことでの執行でした。
紹介料、特定利益に飛びつく人達
連鎖販売取引とは何か?
この手法はある販売組織の商品を会員Aが友人や知人Bなどに販売します。
今度は購入した側の人その友人知人Bが会員となりさらに知り合いCなどに商品を販売して会員としてつなげていく販売方法です。ここで特徴的なのは商品で得る利益よりも購入者を組織に加入させ、会員を増やすことで発生する紹介の報酬、特定利益などの方が高額な収入につながる場合が多いと言われている事。
元の紹介者の下に付き配当がもらえる形になり、Cが売り上げるとBへそしてAへと特定利益が上につながり組織の形と配当はピラミッド式になっています。この販売方法自体は連鎖販売販売法という法律がありそれを違反することがなければ違法ではないのです。
ちなみにこれらのマルチ商法、ネットワークビジネスでの特徴的な誘い文句がこちら
〇新しいビジネスだから早い方が得だ(早いものが勝つ)
〇一人二人紹介すればすぐに元が取れる(そして良質な商品だから相手にも喜ばれる)
〇最初だけ紹介すればあとは何もしなくても働かないで不労所得が入ってくる
などなど代表的なセリフです。特にピラミッド上の人たちがタワマンのパーティールームなどでセレブの生活を見せることでさらに下の人たちに憧れを抱かせ会員の拡大を促します。会員になり人を紹介すればあとは自由な生活ができるように見せかけるのはよくあるやり方です。
明らかに怪しいですよね。この連鎖販売取引は違法ではないとはいえかなりグレーゾーンの部分は多いのです。
マルチ商法・ネットワークビジネスのどこが違法と紙一重なのか
まず連鎖販売取引法についてですが読むのが大変な方は下の枠は飛ばしていただいても後程わかりやすく説明しているので大丈夫です。
連鎖販売取引法の一部概要
連鎖販売取引をしようとするときは、その勧誘に先立つて、その相手方に対し、統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者の氏名又は名称(勧誘者又は一般連鎖販売業者にあつては、その連鎖販売業に係る統括者の氏名又は名称を含む。)、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨及び当該勧誘に係る商品又は役務の種類を明らかにしなければならない。
実際に成功すればどれぐらい儲かるのか
ちなみに・・・自分が早めにビジネスを始めてどんどん下からお金が入ってくるかと言うと
1人目を1代目とすると28代目で日本の総人口を超える計算になると言われていますのでそう簡単に儲かるはずがありません。
私の実体験になりますが、知り合いの紹介でマルチ商法のビジネスを運営している組織の数人と話を聞いたことがあります。
私が話をした組織ではその時に運営しているマルチビジネスがある程度頭打ちになると、組織ごと(上のメンバー達)が移動してまた名前と商品を変えて本人たちの実名は出ないように新しいマルチの会社を立ち上げていました。(その準備中に話を聞きました)
ちなみにマルチ商法の会員の人が熱く語る「海外の凄い人が絡んでいる凄い商品(サプリや化粧品など)」について、彼らは成分など、どうでもよく、いかにもそれらしいうんちくを付けてどう安く手に入れ、どうボトルを高級そうに見せ表現するかだけに神経をそそいでいました。
もちろん販売中のサプリなんて飲んでいませんでしたよ。いかにも有名な○○グループの創始者の右腕、副社長が始めたビジネス。サイエンスの○○賞を受賞した博士が開発したサプリ。すごくいいものだから人に勧めてもいい。誘って会員を増やしてい。話に聞いてパンフレットを読んだだけであなたその商品の成分を売る相手に保証できますか?
全てが悪質ではない
ただ一つ勘違いしないでいただきたいのは上記は私が一部組織から聞いた話であり、マルチ商法ビジネスのいうて、すべての商品が悪いというわけではありません。特に大手などは長年、実際に会員が使用して商品の使い心地や性能も併せて会員を増やし、つないできたマルチ商法もあるかとは思います。マルチ商法は(悪質な)とカッコで上に付くものも多々ありますが、販売方法を連鎖販売取引で勧めてるだけで自社の製品に自信を持っている企業もあるということは追記しておきます。
また商品についてではなく主に違法行為とされるのは今回のアムウェイのような目隠し商法という販売方法等です。
会員(販売側)の認知のゆがみ、ずるさと無知
ではもう少し具体的にマルチ商法、ネットワークビジネスを行う際に何が違法で何が合法かわかりやすく表現してみましょう。実際にもし、商品の質が良いとしても一番問題視されているのは売り方の目隠し違法部分です。
これは本人が組織の会員になり誰かに商品を売ろうとした場合の例を挙げてみましょう。
無理に買わせるつもりもなくても頭の隅にその商品の話をしようと考えていた場合
「久しぶりだね元気にしている?ご飯でも行かない?」はいこちらアウトです。
販売目的が少しでもあり何も言わず会うのは違法です。
ではどうすれば大丈夫か?
「久しぶりだね元気にしている?実は今**というグループに加入していて、連鎖販売取引をしているんだけど、商品を紹介して、できれば会員になってもらいたいから久しぶりにご飯でも行かない?」 はいこれならOKです。ぜひこのようにお誘いください。
自分がマルチ勧誘目的で会いたいことを明確に伝えて会う場合は合法
実際に今回のアムウェイの販売取引停止処分も「目隠し商法」社名や目的を言わずにSNSやマッチングアプリなどで勧誘したことなどが特定商取引法違反に当たるとされています。
無理に勧めるつもりもないし、ご飯のついでに話しただけというのは自分の都合のい解釈ですよ。
ちなみに特定商取引法は、事業者による悪質。違法な勧誘行為等を防止して消費者を守る法律になります。対象の中には、契約時の書面交付義務、クーリングオフ制度、一度断られたら二度と勧誘してはならない、また中途解約・返品等のルール等も設けられています。
また近年更に悪質なのが先ほどのマッチングアプリ。こちらはデート商法になり事件にもなりました。出会い系で知り合いそこから仲良くなり契約させるなど、人の気持ちまで利用した悪質な手法です。
またファミレスや食事会に招待して逃げられない雰囲気を作り契約をさせるなどもあります。これも私が実際に聞いた話ですが、ファミレスなどで呼び出した場合、例えば4人席に仲間3人に対象者1人(勧誘される人)。
グループは席順や会話、相槌のタイミングなどいかに契約させ会員に引き込むか、事前に打ち合わせしてシナリオができている場合があります。
これもいくつかありますが実験的な手法。トマトを拭いて汚れを落として見せると拭いた白い布が黄色くなるので「水では取れない汚れや農薬が、口に入れても安全な洗剤で落とせる」など目の前で見せる方法です。ほか会員の真似をして次の勧誘に使われることもありますが、これはただの化学反応。汚れではないのに売っている本人ですら知らずに売るという無知が故の販売方法も結局は手口として広がってしますのです。
マルチ商法については「違法だと知らずに勧誘する」場合や違和感はあるけれど自分の都合のいいように解釈をして「相手も儲かるから良いことをしているんだ」と自分の認知をゆがめて勧誘する。こういった場合が多く見られます。
ねずみ講(違法)とマルチ商法(合法)は何が違うのか
ここでねずみ講ってマルチ商法ですか?という疑問についてお答えします。
シンプルに説明しますと
ねずみ講は金品など形のないものの配当
マルチ商法は商品販売で形あるものを販売
要するに
ねずみ【金品の配当を目的とし違法】(形がないもの)
マルチ【商品販売を目的とするため『連鎖販売取引』となり合法】(商品として形のあるもの)
ただしマルチ商法はその形態がネズミ講とほとんど同じであるにもかかわらずという現実がありますよね。
あの映画でマルチ商法、ネットワークビジネスを勉強してみよう
観るだけでマルチ商法、ネットワークビジネスの仕組み(なぜ闇なのか)を簡単に理解できる映画があります。個人的には本当に学校の参考図書や読書感想文の本にしていただきたいのですが、内容に過激な部分も多く、PG12指定映画・12歳未満の方は、保護者の助言・指導が必要なので現実的には無理ですね。大人は楽しみながら理解できるのでぜひご覧になってみて下さい。
映画「闇金ウシジマくん3」これで悪質な場合のマルチ商法の仕組みが運営側とだまされる側がほぼわかります
この映画はマルチ商法の教科書とも言えます。これを観てマルチのシステムを作る気になった人はブラック経営者の素質はあるのかもしれません。逆にそれでも今から会員になるつもりがある人は・・・・
自分か自分以外か、対価と友人の価値
いかがでしたでししょうか?連鎖販売取引のマーケティング手法は2000年代に入り3兆円を超える市場規模ともいわれおり一概に悪ともいえない部分はあります。しかしその仕組みを利用したグレーゾーンが多いことも確か。コラムを書いていて改めて思ったのですが、もちろん違法はよくない。
でもそれ以上に自分自身に都合のいい解釈と言い訳をしながら
自分の大切な友人や知人を
自分の下に付けて(子分にして)
儲けようとする無責任さ。自分の下、この時点で友達だった人と同じ目線でもありません。
もし友達が儲からなかったら最初から最後まで全額負担するぐらいの覚悟がなければそれは自分の儲けのために友を組織に売ったということになりませんか?
ちなみにマルチ商法の特徴として同じようなモチベーションの人たちがあつまるのでグループ内で仲間や友人ができ楽しめるという特徴もあるようですが、それで満足な方はそこのグループで仲良くしていればいいのかもしれませんね。
ただし自分が人生で積み重ねてきた人間関係、幼馴染、友情、信頼はプライスレスということも今一度お忘れなきように。
人間関係の変化。これこそがマルチ商法、ネットワークビジネスの一番の闇ではないかと改めて感じました。
マルチ商法、ネットワークビジネスの仕組みについてはいかがでしたでしょうか?
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今回もありがとうございました。
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YAHOOクリエイターズプログラム 総合危機管理アドバイザーおりえ