韓国代表が今大会の参加32か国&GS全48試合で唯一達成した「あること」
3日のカタールW杯グループステージ最終節で奇跡的なベスト16進出を決めた韓国代表。
そのなかでも、母国ポルトガルと対戦したパウロ・ベント監督の存在が韓国で再度注目を集めている。
3日のテレビ中継では前節での退場処分のため、スタンドから試合を見る姿が映し出された。
試合前日には「VIP席で観戦」と報じられていたが、中継を観る限りでは一般席に近いと思われる場所で試合を観覧。開始前にはそわそわしたか、椅子の背もたれに座っているしぐさを後ろの座席の観客から注意される絵がデカデカと抜かれていた。
また韓国オンラインメディア「news1」はなんとベントの真ん前に座っていたという韓国のYouTuberの証言を伝えた。
「ポルトガル語でずっと悪口を言っていた」
「それは僕もたまたま知っている単語で、かなり大きい声で叫び続けていた」
「それでもお父さん(冗談で言っている)の近くで試合を観られた経験は最高」
「今、このスタジアムは02年を凌ぐ雰囲気になっている」
いっぽうでそのリーダーシップを再評価する声も。じつはガーナ戦後の「最後のコーナーキックの前に試合終了」への強烈な抗議は、その前に審判に食いかかっていたDFキム・ヨンクォンを守るべく、自分がより大きな怒りを表して見せたものだった、と韓国複数メディアが報じている。
そのパウロ・ベント率いる韓国代表が、今大会を通じてある点で唯一の存在となった。韓国複数メディアが報じている。なかなか意味深なデータだ。
外国人監督が率いてグループリーグを突破した唯一の国。
アジア勢の大躍進など、これまでにない傾向も見られる大会にあって、この点もなかなか珍しいポイントだ。なんと韓国以外で外国人監督を迎え入れた他の8カ国はすべてグループリーグ敗退を喫したのだ。
ベルギー(ロベルト・マルティネス=スペイン)
サウジアラビア(アルベ・ルナール=アルゼンチン)
メキシコ(ヘラルド・マルティーノ=アルゼンチン)
カタール(フェリックス・サンチェス=スペイン)
エクアドル(グスタボ・アルファロ=アルゼンチン)
カナダ(ジョン・ハードソン=イングランド)
イラン(カルロス・ケイロス=ポルトガル)
コスタリカ(ルイス・フェルナンド・サンチェス=コロンビア)
言い換えるならば、ノックアウトステージ進出国のほとんどが日本のように「自国監督」が率いたチーム、ということだ。
外国人監督を招聘するメリットは「国内監督は違った観点から成長を促してもらう」あるいは「コーチングスタッフも丸々連れてきてもらえる」といった点にあると言える。日韓においては「こんなスゴい人が来ています」という点を世間一般層にアピールする、という点もあるか。
しかし、そんなことよりも今や世界中に戦術の情報は普及しており、新しい観点よりも「自国語でコミュニケーションできる」点のほうがメリットが大きい、という証になるだろうか。
そういったなかで今大会で「唯一生き残った外国人監督」たるパウロ・ベント。彼はまた歴代韓国代表監督としても「史上初」を達成している。
「前回大会後、解任されることなく4年間を一人で務め上げた初めての監督」
そうなのだ。韓国はこれまで全てのW杯準備期間で監督がコロコロと交代してきた。2014年から18年までの間は、代行を含め実に5度の交代劇があった。これをお家事情と見るか、はたまた「更迭により変化を起こせる勇気」と見るか。
パウロ・ベントの今回の4年以上の在任期間は同国歴代最長でもある。
2018年ロシアW杯は国内監督シン・テヨン氏で「グループリーグでドイツ撃破」という一応の結果を残した後、大韓サッカー協会側は「次の時代は外国人に任せる」と宣言したが人選が難航した。協会関係者が欧州を訪れ、交渉に当たったが「会ってももらえなかった大物監督」すらいたという。
結果、ロシアW杯での敗退後2か月を経て選任された監督は「2012年EUROベスト4」の実績はあるものの、じつのところ第3志望以下だったとも言われる。「欧州メインストリームに戻る野心に賭ける」(当時の大韓サッカー協会監督専任責任者)しかなかったのだ。
それでもこれだけの結果を残した点は大したものか。