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男女別でも大きな違いを見せる喫煙率の実情を都道府県別にさぐる(2023年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
喫煙率は男女でどのような差異が生じているのか。地域別に区分した上で確認(写真:イメージマート)

健康意識の高まりなどを受け、喫煙をする人は減少中との話がある。その喫煙をする人の割合は地域によって違いがあるのだろうか。男女別の動向を、厚生労働省が2023年7月に発表した「国民生活基礎調査の概況」(※)から確認する。

次に示すのは、「男女別」の都道府県別喫煙率。これは喫煙状況について20歳以上の人に「毎日吸っている」「時々吸う日がある」「以前は吸っていたが1か月以上吸っていない」「吸わない」「不詳」のいずれかに該当するかを尋ね、そのうち「毎日吸っている」「時々吸う日がある」を喫煙者と判定し、全体に占める比率を算出したものである。例えば女性・大阪府の値は8.6%と出ているので、大阪府に住む成人女性の喫煙率は8.6%という次第。男女で横軸の区分が異なっているので要注意。

↑ 喫煙率(男性、都道府県別)(2022年)
↑ 喫煙率(男性、都道府県別)(2022年)

↑ 喫煙率(女性、都道府県別)(2022年)
↑ 喫煙率(女性、都道府県別)(2022年)

全般的に男性の方が女性よりも喫煙率は高い。その傾向はすべての都道府県で変わらない。他方、都道府県別の並びは男女で揃えてあるのでパッと見で把握できるが、男性の喫煙率は地域による差がさほど出ないのに対し、女性では地域別の差異が結構大きな形で出ているのが分かる(無論、%ポイントの差では男性の方が大きいが、全体に占める比率では見た目で判断できる)。

例えば全体では喫煙率トップの福島県(33.2%)だが、女性に限れば北海道よりは低い。しかし男性ではトップについている。

男女差の動向を別の切り口から見たのが次のグラフ。男性喫煙率が女性喫煙率より高いのはすべての都道府県で共通なので、男性の喫煙率が女性の何倍かを算出し、その値をグラフにまとめたもの。この値が高い方が、男女の喫煙率の差が(比率的に)大きい。%ポイントでの差ではないことに注意。

↑ 喫煙率(男性の喫煙率は女性の何倍か、都道府県別)(2022年)
↑ 喫煙率(男性の喫煙率は女性の何倍か、都道府県別)(2022年)

北海道や東京都、大阪府などでは倍率が2倍台にとどまっており、男女の差がさほど大きくはないことが分かる。似たような傾向は岩手県、茨城県、埼玉県、神奈川県、沖縄県でも確認できる(3倍未満)。女性のみの喫煙率を見直すと、他地域よりは高めの値が出ていることが多い。

女性の喫煙率が他地域より高い値が出る都道府県に関して、それを後押しする特定の社会現象や地域環境、法的制限の類は確認できない。東京都と大阪府だけなら「企業が集約している」「女性の社会進出が進んでいるため、それとともに喫煙率が上昇しうる」との仮説も成り立つが、他に該当する地域も合わせると、その仮説も的は外れているように見える。

ともあれ、男性の喫煙率が女性よりも高いのは全国共通に違いないが、その差異は地域によって千差万別、中には女性が男性の半分程度の喫煙率にまで達しているところもあることには、留意をしておくべきだろう。

■関連記事:

【喫煙率14.4%…アメリカ合衆国の喫煙状況(CDC版)(最新)】

【毎日吸う人も1日1箱足らずが上限…年齢階層別喫煙動向(JT発表)(最新)】

※国民生活基礎調査

今調査は全国の世帯および世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2022年6月2日に世帯票・健康票・介護票、同年7月14日に所得票・貯蓄票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収の上集計が可能なデータは世帯票・健康票が20万3819世帯分、所得票・貯蓄票が1万9140世帯分、介護票が5499世帯分。今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2022年分)は大規模調査に該当する年であり、世帯票・健康票・介護票・所得票・貯蓄票すべての調査が実施されている。

また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分、2020年は新型コロナウイルス流行の影響で全体のデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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