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流れ星☆ 単独ライブツアー開幕、「THE SECOND」騒動もネタに。誰もが楽しめる極上の“ベタ”

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/BSフジ

恒例の全国単独ライブツアー開幕

人気お笑いコンビ・流れ星☆の毎年恒例の単独ライブツアーが7月29日地元、岐阜・高山で開幕した。今年のツアータイトルは『我道』。その横浜公演(8月5日横浜市教育会館)を観た。

流れ星☆は2014年から毎年単独ライブツアーを行なっている(2019~21年はコロナ禍で中止)稀有な存在のお笑い芸人だが、ちゅうえいとたきうえ、二人が作り出すお笑いの世界は、老若男女を夢中にさせる魅力がある。横浜公演も家族連れから若いファンまで駆け付け、2時間終始笑いっ放しだった。この日初めて流れ星☆のライブを観る人、とステージから呼びかけると半数以上が手を挙げた。そしてライブの情報をどこでゲットしたのかという問いかけには、ネットはもちろん、二人が直談判し公演のポスターを貼らせてもらった横浜市内の書店と居酒屋の中で、書店で観て知ったと答えたお客さんが1名。果たしてポスター効果はあるのだろうかと自問自答して、まず笑いを取っていた。

「今回はより自分達の人間性が出ているネタが多いと思う」(ちゅうえい)

ツアーは続くのでライブの詳細は書けないが、ちゅうえい曰く「より自分達の人間性が出ているネタが多いと思う」というように、これまで以上に二人の性格や私生活を笑いに落とし込んで、しかもわかりやすく子供達も笑えるようにネタを丁寧に練り上げていた。アドリブを大いに織り交ぜつつ、テンポ、間も絶妙で心地いいリズムができあがっていた。客席を巻き込んで、全員がひとつになる笑いもますます磨きがかかっていた。“ギャグおじさん”としてそのキャラクターで子供達に人気があるちゅうえいと、“ちゅうえいじゃない方”と言われてきたたきうえも、私生活と副業ネタで注目を集め、それぞれの個々の活動も増えてきたが、この単独ライブは、同じ方向を見て笑いを貪欲に獲るという部分では「流れ星☆の基地」(ちゅうえい)的な存在だ。キャラが立った二人がひとつ=流れ星☆になった時、仲悪い芸人の真打ちといわれていてもその破壊力たるや、という熱量の高さだった。

「老若男女からファミリー、お笑い初心者の方まで、誰もが楽しめるアミューズメントパークのようなライブ」(たきうえ)

劇場でお笑いを観たことがない、ましてや単独ライブなんて観た事がない人でも楽しめるような内容になっている。この日もまさに二人が目指す「老若男女からファミリー、お笑い初心者の方まで、誰もが楽しめるアミューズメントパークのようなライブ」(たきうえ)になっていた。ベタ、というのは誉め言葉でもある。流れ星☆のお笑いスタイルはとことんベタなもので勝負する。マニアックなお笑いを追求しようと思えば、どこまでも深く、難易度と偏差値が高いお笑いを練り上げることができるかもしれない。しかしベタものを徹底的にやるのも難しいと思う。芸歴が長いコンビを見ていると、テンポよくボケて、ツッコんでを繰り返すというベタな形が結局万人にウケる。流れ星☆はここにちゅうえいの強烈なギャグが加わる。たきうえは『THE SECOND~漫才トーナメント~』の予選で敗北した時に、そのスタイルの違いを《こっちは娯楽映画撮ってるのに、ニッチなフランス映画に負けた感じ》という表現でツイートし、炎上した。この審査方法を批判したツイートで良くも悪くも流れ星☆と『THE SECOND~漫才トーナメント~』が注目を集めた。

「THE SECOND」は「来年開催されるようであれば出場したい」

しかしその裏では相手の三四郎と、このネタをさらに盛り上がるために楽しんでいた節もある。今回のライブではこの『THE SECOND~漫才トーナメント~』での一連の騒動もしっかりネタに昇華させ、「来年開催されるようであれば出場したい」と早くも同トーナメントへの出場に名乗りを上げた。

今年のツアータイトル「我道」は、二人がまさに我が道を進む、その道が間違っていないかを改めて自身とお客さんに問い、確認する場であるという意味を込めてつけたと思いたい――が、違った。「いつもポスターを撮ってくれるカメラマンさんが考えたタイトル」なんだとか。

今回は初めての茨城公演もあり(8月13日ひたちなか市民文化会館)、本人達も気合が入っている。久々に訪れる群馬(9月18日高崎文化ホール)も緊張しながもご当地ネタを織り込んだ新ネタを披露するのを楽しみにしているようだ。ツアー前のインタビューでちゅうえいが「2人でわちゃわちゃやっている感じが一番自然だと思うので、そこがお客さんに伝わっていると思っています。根っこの部分を楽しんで

もらっているというか、よく言われるのが小学校の休み時間にふざけている様子を、みなさんが観て楽しんでくれているのかなとは思います」と語ってくれたが、まさにそんなライヴを全国各地で披露し、幅広い世代を笑いの渦に巻き込んでいる。

8月13日(日)茨城・ひたちなか市文化会館小ホール

8月19日(土) 北海道・共済ホール

9月15日(金) 愛知・東別院ホール

9月16日(土)大阪・ナレッジシアター

9月18日(月)群馬・高崎市文化会館大ホール

9月23日(土)東京・山野ホール

※台風等により、会場周辺の交通機関に著しく影響がある場合は開催中止の可能性があります。開催に関する情報は主催者HPで確認して下さい。

BSフジ「流れ星☆単独ライブツアー2023 我道」特設サイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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