PS5の供給量増と「転売屋爆死」の時期いつ? スイッチどこまで伸びるか 2021年ゲーム業界展望
昨年11月に発売された家庭用ゲーム機「プレイステーション5(PS5)」の高額転売がニュースになったり、「あつまれ どうぶつの森」は空前のヒットを飛ばすなど、ゲーム業界の昨年の話題は盛りだくさんでした。そこで今年のゲーム業界の展望と、注目されるであろうソフトを紹介します。
◇PS5 望まれる日本の供給量増
“本命”の話題は、今年もPS5でしょう。売れているのは「ニンテンドースイッチ」でしょうが、多くのコアゲーマーたちはPS5を入手できず、切望しているからです。
ゲーム雑誌「ファミ通」を発行するKADOKAWA Game Linkageによると、昨年12月20日までの時点でのPS5(デジタルエディションを含む)の推定の累計販売数は約24万台です。6年前のPS4の販売状況から初期需要(すぐ新型ゲーム機を欲しくなる超コアユーザーによるもの)を50万台弱と推測した場合、まだ半分にも届いていません。初年度の世界出荷計画数が「760万台以上」もあるのに、日本市場の供給がここまで絞られるとは驚きました。
一部のファンからは、高額転売にさらされたことも含めて「SIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)の責任」という声もあり、それも一つの見方でしょう。一方で世界的ヒット商品の需要を満たすのは至難で、「世界同時期発売」が決まった段階からこの品不足は予想できたことと言えます。そもそも世界同時期発売ゆえに、どのユーザーにも入手のチャンスはあったのも確かですし、PS4と同じように、日本の発売時期を遅らせていても批判されたでしょう。
さて今後ですが「PS5のアジア向けの出荷が増える」という情報も出ているようですが、ここから日本などへの出荷は増える可能性は高いと言えます。そして、供給が増えて需要が満たされると転売の値が崩れるわけで、「転売屋爆死」の時期は確実に迫っています。ある意味、そこも含めて注目なのかもしれませんね。
◇スイッチの好調どこまで USJの新エリアも重要
“対抗”の話題は、ニンテンドースイッチの好調な販売がどこまで続くかです。スイッチの国内推定販売数は約1700万台(ニンテンドースイッチライトを含む)で、携帯ゲーム機として「1人1台」を狙えるため伸びしろがあるにせよピークになりつつあるのは確かです。そしてビジネスの目で見ると、ピークを過ぎた後に来る「下り坂」が気になります。
今年度(2020年4月~2021年3月)計画している世界出荷数の2400万台が示す通り今の“大勝利”は確定しているので、来年度(2021年4月~2022年3月)の売れ行きがどうかです。特に昨年は新型コロナウイルスの感染拡大対策として、「巣ごもり需要」があったわけです。今年も同様の期待ができるのは確かですが、同レベルの「追い風」を織り込むべきではありません。そしてスイッチは絶頂期ゆえに、商品寿命をできるだけ延ばすこと、多彩なソフトをしっかり出していくことがカギになります。
そしてゲームではありませんが、2月にUSJでオープンする新エリア「スーパー・ニンテンドー・ワールド」も重要です。「うちの子が勉強しないのはゲームのせい」と親の仇(かたき)にされてきたゲームのイメージを変え、かつ幅広い消費者へのアプローチが期待できるからです。任天堂の客層は子供を持つファミリーも入るので、「親の支持」はおろそかにできません。
◇PS4ゲーム「鬼滅の刃」に注目
ソフトでは、現段階の最有力タイトルは「モンスターハンターライズ」(スイッチ、3月発売)になります。「モンスターハンター:ワールド」(PS4、PC)が1600万本を出荷する大ヒットになっただけに、世界でどれだけ売れるかも含めて注目です。
そして社会的現象となった「鬼滅の刃」ですが、PS4用ゲームとして発売予定の「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚」(2021年発売)も注目から外せません。発売元のアニプレックスは、ソニー・ミュージック傘下なので、スイッチ版を期待するのはさすがに厳しいところでしょう。PS5は、PS4用ソフトと基本的に互換性がありますので、同作の発売が迫るとPS5にライトユーザーが増える可能性もあります。
発売時期が決まってないのですが、2019年に発表された「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」の続編(スイッチ)も出れば人気になるでしょう。「ゼルダの伝説」シリーズは、日本以上に海外でも人気の作品ですから、かなりのセールが期待できます。
同じく発売時期ははっきりしませんが、2020年4月に発売されて世界で500万本を出荷した「ファイナルファンタジー7リメイク」(PS4)の続編は、正式発表も含めて待ち望む人は多いのではないでしょうか。
個人的には「ファミコン探偵倶楽部」のリメークに期待しています。当初は2020年発売予定でしたが2021年に延期されました。ファミコン(のディスクシステム)を遊んだ世代には突き刺さるのはもちろん、同作を知らない若い世代にも新鮮だと思うのですよね。
各社とも最大商戦期になる2021年の年末を中心に、現時点で未発表のものを含めて期待のソフトを出してくるはずです。
世界で16兆円を超えるゲーム市場のメインがスマホゲームなのは動きませんが、家庭用ゲーム機も近年巻き返して、存在感を見せています。アップルやグーグル、アマゾンのクラウドゲームという、将来的な脅威もありますが、今年も多くのファンを楽しませることになりそうです。