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好試合でも不満爆発!C・ロナウドの不出場で裏切り者コールまで起きたユベントス対チームKリーグの舞台裏

金明昱スポーツライター
韓国サッカーファンの期待とは裏腹に試合に出場しなかったC・ロナウド(筆者撮影)

 約6万5000人の大観衆の歓声で、26日のソウルワールドカップ競技場は熱気に包まれていた。

 チームKリーグ対ユベントスの親善試合に集まった観客のお目当ては、やはりクリスティアーノ・ロナウド。

 スタジアムの電光掲示板にロナウドの姿が写るたびに歓声が起こっていたほどだ。

 だが、あいにくのベンチスタートで、ファンを落胆させていたが、元クロアチア代表のFWマリオ・マンジュキッチや元アルゼンチン代表のFWイグアインなどがスタメン入り。

 一方のチームKリーグは、ロシアW杯で正GKのチョ・ヒョヌ(大邱FC)やキム・ボギョン(蔚山現代)、イ・ドング(全北現代)などが名を連ねた。

 試合はチームKリーグが2-1で前半を折り返すと、後半にも追加点を加えて3-1に。だが、ユベントスが立て続けに2点を決めて3-3で引き分けた。

 試合はともに力を出し合った結果で、見る側にとっては、高い技術とスピード感ある試合で、満足できる試合だった。

C・ロナウドは最後までピッチに姿見せず

 だが、C・ロナウドが最後まで出場しなかったことに、試合観戦に訪れたファンは不満を爆発させた。

「ローナウド!ローナウド!」の掛け声もむなしく、ウォーミングアップする姿も見せず、最後までピッチに登場することはなかった。

 それに対して「背信!(ペシン)」を連呼する観客。ロナウドが出場すると思っていたファンからすれば、裏切られたという気持ちが強かったのだろう。ブーイングも飛びかい、不満を爆発させていた。

 確かに筆者も、途中からでもロナウドが出場すると思っていた。

 というのも、この試合が決まってからは「ロナウドが必ず出場する」というニュースが韓国に出回っていたからに他ならない。

 試合終了後、韓国プロサッカー連盟関係者は「今回大会を主催した会社『ザフェスタ』と連盟は『C・ロナウドが45分、試合に出場する』という内容を記した契約書を交わしたことは確認している」と話していた。

 そして、肝心のロナウドは共同取材エリアに姿を現しても、記者の質問に耳も貸さず、無言でバスに乗り込んだ。

 試合終了後の記者会見で、ユベントスのマウリツィオ・サッリ監督はロナウドが出場しなかった理由について「ロナウドの筋肉の状態がよくなく、プレーしないほうがいいと判断した」と語っていたが、たぶんそうではない。

 今回の過密日程にロナウド自身が納得しておらず、どうしてもコンディション調整を優先しなければならなかったのかもしれない。

ファンイベントもゴタゴタ、試合開始遅延

 ユベントスの選手たちは当初、15時からソウル市内のホテルでのファンイベントに参加する予定だったが、飛行機の到着が2時間遅れてしまい、開催自体が危ぶまれていた。

 筆者もこのイベント取材にいっていたが、選手が現れたのは17時ごろ。抽選で選ばれた約200人が、ユベントスで活躍したパベル・ネドベドやGKブッフォンなどとサインや写真撮影をしていたが、当初参加予定だったロナウドは「コンディション調整を優先したい」とのことで、姿を見せなかった。

 その理由を主催者側から聞かされたファンは「えー!」と落胆の声を漏らしていた。

 しかし、ユベントス選手たちの立場を考えれば、致し方ない部分もあるかもしれない。

 到着後すぐにファンイベントに参加し、その足でスタジアムに向かって試合をこなすというのは、どう考えても過酷なスケジュールだ。

 ただ、今回の親善試合に関して、契約書を交わしていたというなら話は別だ。

 十分なファンイベントが開催できず、案の定、試合開始時間は20時の予定から50分も遅れ、そして最後はC・ロナウドが出場しなかった。

主催者と連盟の説明はどうなる?

 筆者もこの一日で、かなり振り回されてしまったが、不測の事態に備えていない主催者側の不手際が、ユベントス、ファン、Kリーグの選手たちに迷惑をかけてしまった感は否めない。

 試合終了後、主催者側に今回の経緯について説明を求めたが、立場は最後まで表明することはなかった。

 韓国プロサッカー連盟は「今回の事態を重く受け止めている。27日にファンの方々への謝罪を含めたリリースを出します」と説明していたが、どのように事態が収拾するのか見守りたい。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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