26連勝を飾ったWBAスーパーライト級王者
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/soichihayashisr/00205935/top_image.jpeg?exp=10800)
先月末日に行われたWBA正規スーパーライト級タイトルマッチは、チャンピオンのマリオ・バリオスが、9位の挑戦者ライアン・カールを6ラウンドKOで下して初防衛に成功した。
バリオスは1995年5月18日、サンアントニオ生まれの25歳。2019年9月28日に世界王者となって以来のファイトである。故郷のファンの前で、是が非でもKO勝ちを飾りたかったであろう。
18勝(12KO)2敗の挑戦者(28)も同じテキサス州の出身であったが、住まいのあるヒューストンと会場のサンアントニオは、320キロ強離れていた。よって、カールにとって敵地のリングだった。
![Photo:Esther Lin/SHOWTIME](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/soichihayashisr/00205935/image01.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
カールは初回から細かくジャブを放つが、チャンピオンが軽くいなす。そして、随所にボディブローを決め、カールにダメージを与えていった。
手数は挑戦者が上回るが、頑強さとバランスの良さ、そしてパンチ力で王者が優っていた。
2回以降、挑戦者はひたすら前進し、手を出し続ける。トランクスのベルトラインにCOWBOYと縫い込んでいたが、気持ちの強さを見せた。スピードもパワーもチャンピオンに分があったが、カールは乱打戦に持ち込み、活路を見出そうとする。その気迫に、チャンピオンもやや押されていった。
![Photo:Esther Lin/SHOWTIME](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/soichihayashisr/00205935/image04.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
第6ラウンド19秒、バリオスの右を浴びたカールが腰から崩れ落ちる。挑戦者がダウンを喫するのは、デビュー以来3度目のことだった。
勢いづき、ラッシュをかけるチャンピオンの攻撃をクリンチで凌ぎ、大振りの右フックをヒットしたカールだが、もつれた際に偶然頭が当たり、額が割れる。
以降、フラフラの状態になり、最後は前のめりにキャンバスに沈んだ。
同ラウンド2分23秒でKO勝ちしたバリオスは、戦績を26戦全勝17KOとした。
![Photo:Esther Lin/SHOWTIME](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/soichihayashisr/00205935/image02.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
5ラウンドまでの採点は、49-46、49-46、48-47でチャンピオン優勢であった。
勝利を収めた後、チャンピオンは語った。
「今夜のファイトを、サンアントニオに来てくれたファンの皆に捧げたい。世界チャンプとなって初の試合だったので、楽しんでほしかった。序盤はカールの動きを観察しながら、我慢してどう攻撃するかを狙っていた。12ラウンドフルに戦う気持ちもあったが、自分の我慢がKOシーンに結び付いたと思う。コーナーの指示もよく聞こえたし、ホームでいい仕事が出来たね」
![Photo:Esther Lin/SHOWTIME](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/soichihayashisr/00205935/image03.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
敗者は次のように振り返った。
「接戦で、いい試合だったと感じています。いいパンチをもらってしまいました…。重いヘッドバッドもね。かなり出血しましたが、体は大丈夫です。
私は惨めな敗者ではありません。死に物狂いで戦いました。マリオの勝利を称えたいです」
カールの言葉には、知性と潔さを感じた。
ようやく社会にボクシングが戻って来た。何とか人類全体で、新型コロナウィルスをKOしたいものだ。