Yahoo!ニュース

史上最強望遠鏡「ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡」が始動!フルカラー画像初公開

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「遂にJWST初のフルカラー最新画像が公開される」というテーマで動画をお送りしていきます。

去年2021年12月25日には、あのハッブル宇宙望遠鏡の後継機とされる「ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」の打ち上げが成功し、その後望遠鏡の展開作業を終えながら、現在では観測地点となる目標地点に到着しました。

Credit:NASA's Goddard Space Flight Center
Credit:NASA's Goddard Space Flight Center

ハッブル宇宙望遠鏡は高度約570kmを周回し、そこから宇宙を観測していたのに対し、JWSTは太陽-地球系の「ラグランジュ点2(L2)」というところから観測を行います。

ここは地球から150万kmほど離れた場所です。

●これまでの活動と公開された画像

これまでJWSTは目標地点L2にて、本格的な観測までに必要な様々な調整作業を行ってきました。

その過程でJWSTはいくつかの実写映像を地球に送ってきています。

まずはJWSTのこれまでの調整活動を、送られてきた画像を交えながら振り返っていきましょう。

Credit:NASA
Credit:NASA

今年2022年の2月11日、JWSTが初めて撮影した実写画像が公開され話題になりました。

その実際の画像がこちらになります。

ぱっと見故障かと思うような、よくわからない画像になっています。

Credit:NASA
Credit:NASA

実はJWSTの主鏡は18枚の六角形の鏡で構成されており、それら全てが独立して動く構造です。

それらの鏡それぞれで反射された観測対象からの光が、1枚の副鏡に集められ、その後観測機器へと送られます。

JWSTはこのような構造のため、18枚の鏡全てを連動させて1枚の鏡として機能させるためには、それぞれの位置調整を正確に行う必要があります。

先ほどの画像の18個の光源は全て、「HD 84406」という1つの恒星からの光です。

Credit: NASA/STScI
Credit: NASA/STScI

その後2月18日には、18枚の鏡の位置と、さらに副鏡も調整された結果、バラバラだった18個の点が綺麗な六角形に統一された画像が公開されました。

その後、それぞれの鏡からやってきた光が観測機器の1点に集中するよう鏡の調節が行われ、このようにより詳細な天体の姿が画像中心のたった1点に映し出されるようになりました。

こちらの画像は2月25日に公開されています。

Credit: NASA/STScI
Credit: NASA/STScI

そしてその後JWSTはより精密な調整段階を終え、3月17日にはJWSTの観測機器の一つであり、近赤外線波長で撮影を行う「NIRCam」によるこちらの画像が公開されました。

多くの調整段階をクリアしたJWSTの性能は凄まじく、この時点でも背後の銀河が鮮明に映し出されるほど高精度な画像が得られています。

Credit: NASA/STScI
Credit: NASA/STScI

そしてJWSTがこれまで行ってきた鏡の調整が完了した段階で撮影された画像がこちらです。

JWSTに搭載されているいくつかの観測機器ごとに撮影された画像が掲載されていますが、機器ごとに捉える光の波長が異なっています。

観測の対象となったのは、天の川銀河の隣にある矮小銀河、「大マゼラン雲」の一部です。この領域からの光を正確に一点に集め、全ての機器で狭い範囲に密集した数十万個の星々が映し出されています。

鏡の調整が済んだJWSTのチームはその後数か月にわたって観測機器の調整を含む全ての調整段階を終え、遂に宇宙望遠鏡としての本格的な運用を開始しました。

●最初のフルカラー画像公開!

Credits:NASA, ESA, CSA, STScI
Credits:NASA, ESA, CSA, STScI

日本時間7月12日午前6時、アメリカのバイデン大統領によって、JWSTの性能をフルに生かして撮影された最初のフルカラー画像が公開されました。

大統領が出てくるところに、この望遠鏡への期待度の高さが伺えますね。

この画像は観測機器のうち、「NIRCam」によって撮影されています。

この画像の中心には、地球から46億光年彼方にある、「SMACS 0723」と呼ばれる銀河団があります。

その銀河団の強大な重力によって背後の天体が歪んで見える、「重力レンズ効果」も鮮明に見て取れます。

そして僕がした上記のツイートは、今回JWSTが公開した最新画像(左)と、同じ領域をハッブル宇宙望遠鏡で撮影した画像(右)の比較です。

画像の解像度に圧倒的な差があることがわかります。

しかもこの画像を得るまでに光を集めた時間は、ハッブルは2週間かかったのに対し、なんとJWSTはたったの12時間半しかかかっていないとのことです。

ここまでの性能の差があるとは、本当に驚きですね。

今回紹介した画像は、最初に一挙公開される画像集のうち、1枚に過ぎません。

日本時間の7/12の23時半に残りの画像も公開される予定なので、今からとても楽しみです。

残りの画像についても明日まとめてYouTubeで動画解説します。

https://webbtelescope.org/contents/media/images/2022/038/01G7JGTH21B5GN9VCYAHBXKSD1
https://web.wwtassets.org/specials/2022/jwst-smacs/#
https://blogs.nasa.gov/webb/2022/04/28/nasas-webb-in-full-focus-ready-for-instrument-commissioning/
https://jwst.nasa.gov/content/observatory/instruments/

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

宇宙ヤバイchキャベチの最近の記事