Yahoo!ニュース

楽天・由規が419日ぶりに神宮“凱旋”! 登板時には粋な演出も…

菊田康彦フリーランスライター
神宮球場のスコアボードにも、419日ぶりに「由規」の文字が復活(筆者撮影)

 昨シーズン限りで東京ヤクルトスワローズを戦力外となり、今シーズンは東北楽天ゴールデンイーグルスで育成選手としてプレーしている由規(29歳)が、7月19日に神宮球場で行われたイースタン・リーグのヤクルト戦に救援登板。昨年までのホームグラウンドで、古巣を相手に1イニングを無失点に抑え、試合を締めくくった。

“復活”以来の出囃子だった「ワンオク」の曲が…

 この試合、楽天は今月8日に読売ジャイアンツからトレードで移籍してきたばかりの和田恋、そして2015年のドラフト1位のオコエ瑠偉による2本のホームランなどで、9回表を終わって8対3とリード。するとその裏、楽天の3番手として由規がマウンドに上がる。

 バックに流れるのは人気ロックバンド、「ワンオク」ことONE OK ROCK(ワンオクロック)の『C.h.a.o.s.m.y.t.h』(カオスミス)。2016年7月に由規が約5年ぶりに神宮のマウンドに帰ってきて以来、出囃子(登場曲)として使ってきた曲である。

 もちろん、普通ならビジター投手の登板時に出囃子が流れることはない。ユニフォームは変わったとはいえ、昨年5月26日の横浜DeNAベイスターズ戦以来、419日ぶりに神宮に“凱旋”した由規に対する、粋な演出だった。

試合後はつば九郎と旧交を温めるシーンも

 由規は、昨年までチームメイトだった六番・三輪正義、七番・大村孟に連打を浴びるも、後続を打ち取ってゲームセット。やはり昨年まではヤクルトのユニフォームを着ていた三木肇二軍監督の下、現在のチームメイトたちと勝利の喜びを分かち合った。「つば九郎全面プロデュース」と銘打って開催されたこの試合には、ヤクルトのマスコットであるつば九郎も参戦しており、試合終了後は楽天のミーティングが終わるのを待って由規と旧交を温める一幕もあった。

 仙台育英高時代に甲子園大会史上最速の155キロをマークし、高校生ドラフト1巡目で入団したヤクルトでは、2010年に当時のNPB日本人最速記録となる161キロを叩き出した由規。右肩のクリーニング手術などで一軍のマウンドから5年近く遠ざかった後、2016年7月には支配下登録に返り咲いて1786日ぶりの白星を挙げたものの、昨年は右肩痛が再発してヤクルトから戦力外通告を受けていた。

 生まれ故郷の仙台を本拠地とする楽天の育成選手として再出発した今シーズンは、リハビリを経て5月半ばに実戦復帰し、ここまでイースタン・リーグで5試合に登板して1勝0敗1セーブ。6月21日に行われた社会人・きらやか銀行との練習試合では打ち込まれたものの、イースタンでは9イニング無失点が続いている。シーズン中の支配下登録期限は7月31日と定められており、今後の動向が注目される。

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

菊田康彦の最近の記事