爆笑問題、西川きよし全国ツアー初日に参戦 吉本110周年を毒舌祝福
創業110周年を迎えた吉本興業の周年記念事業のひとつとなる『西川きよしのコツコツ全国ツアー』(全国8ヶ所11公演)が6月25日に東京・有楽町よみうりホールからスタート。初日にはテンダラー、ジャルジャル、和牛、ミキとベテランから若手まで実力派話芸の吉本芸人が集結し、事務所の枠を超えてタイタンの爆笑問題も参戦。横山やすしさん役の大平サブローと西川きよしの“やすきよ漫才”も飛び出す豪華な2時間は、1000人を超える観客を終始爆笑の渦に巻き込み、人々の気持ちを明るくさせるお笑いのパワーと楽しさを改めて感じさせる心温まる公演になった。
■偉大なベテラン芸人のすごみを感じさせた西川きよし
2時間の公演中、自身の演目とふたつのトークコーナーのほか、オープニングとクロージングの挨拶も含めてステージでしゃべり倒した西川きよし。オープニングで会場中に鳴り響く大きな拍手に迎えられてステージに立つと、60年を超える芸歴のスタート当初となる吉本興業入社時の新喜劇での通行人役エピソードからトークははじまった。
そして、この110周年から新たな未来へ向かう吉本興業の代表としてのメッセージとともに、会社と芸人たちをいじるのも忘れない。さらに、ヘレン夫人との小話など家族ネタでも巧みな話術で自身を道化にしてしっかり観客の笑いを誘う。吉本興業をけん引する大ベテラン芸人のすごみを感じさせる圧巻のトークでスタートから会場を大いに盛り上げた。
続いて登壇した芸人たちは、トークやネタにこの日の主役である西川きよしの小ネタなどをおり混ぜ、それぞれのらしさをにじませてさまざまなエピソードを笑いに昇華。愛を込めて大先輩をいじりながら、この先も続く芸人人生へエールを送った。
■爆笑問題「吉本興業のステージに呼んでもらえて光栄」
爆笑問題は、これまでにも西川きよしと自身のラジオ番組で共演していることや、なんばグランド花月(吉本興業)出演時に入り口から楽家まで挨拶に来られたエピソードを話しながら「吉本興業のステージに立つことはほとんどない。きよし師匠の全国ツアー初日に呼んでいただけで光栄」と喜んだ。
一方、漫才ではいつもの毒舌が炸裂。ネタの時事問題の題材には、かつての吉本興業やいまの吉本芸人たちの社会的および芸能的なトピックにまつわるキーワードが続出。会場をわかせながら、110周年への爆笑節毒舌エールを送った。そんな2人へ西川きよしも「ふだんからの付き合いが事務所の垣根を超えた今回の出演につながりました。うれしいことです」と感謝の言葉を残している。
■ポスト西川きよしはいない
初日公演が終わって西川きよしは「60年芸人を続けてきて、いつの間にかいちばんのベテランになっていました。これからも健康に気をつけてたくさんの人を楽しませたい」と次へ向けて意気込む。さらに、これからツアーで全国を訪れることに触れて「いまの世の中の沈んだ空気や不安を払拭するには笑うのがいちばん。やっぱりお客さんと向き合う舞台はいい。一緒に笑って、この時代の雰囲気を乗り切っていきたい」と力強く語った。長引くコロナで落ち込む各地のふさぎがちな空気を明るく変えていくことが期待される。
公演後の囲み取材でもトークは止まらず、終了後も取材陣に向けて話し続けたかと思うと、宣伝パネルを自身で片付けながらはけていった西川きよし。その語り口からは、いまの社会の幸福とお笑いの未来への発展を心から願う気持ちがにじみ出ている。そんな人柄と年を経ても変わらないお笑いへ向き合う真摯な姿勢が、創業110周年を迎える会社を力強く引っ張ってきた。彼が先頭にいるからこそ、多くの売れっ子芸人たちがその後について行こうと思うのだろう。
本全国ツアー全公演で西川きよしの相方を務める大平サブローは、誰に対しても態度が変わらず、誰からも愛されていじられる人間性や、ボランティアへの参加などお笑い以外のさまざまな活動を挙げ、「ポスト西川きよしはいない。なかなか師匠の跡を継ぐような方は出ない」と断言する。お笑いの才能だけを見れば、西川とキャラクターは異なるが、次の時代の吉本興業を担う突出した人材は浮かばなくもない。しかし、まだまだ第一線を疾走する西川きよしの姿を見ていたいと誰もが思っていることだろう。
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