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7月早々の梅雨前線とダブル高気圧の動向は?大雨と猛暑は表裏一体

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
梅雨前線や太平洋高気圧の予想(ウェザーマップ)

週明けにかけ広く大雨に警戒

雨と雲の予想(ウェザーマップ)
雨と雲の予想(ウェザーマップ)

きのう28日(金)は、静岡県で線状降水帯が発生し、きょう29日(土)明け方にかけて房総半島で集中的な大雨が降るなど、梅雨前線の活発化した地域では、危険な大雨に見舞われました。そして今後も油断ならずの状態で、梅雨の最盛期のステージが続きそうです。

すでに九州では活発な雨雲が発生し、雷を伴った激しい雨の降っている所がありますが、上図のように、あす30日(日)にかけては、西日本から北日本にかけて、大きく雨雲が広がる見込みです。所々で雨脚が強まり、大雨となるおそれがありますので、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫などに、警戒が必要です。

そしてあさって7月1日(月)も梅雨前線に伴う活発な雨雲は西日本から東日本にかけて連なっていますが、2日(火)になると、西日本では次第に北上していき、晴天ゾーンへと移り変わる予想です。これはタイトル画像にあるように、夏の太平洋高気圧が勢力を強め、梅雨前線を北へ押し上げるためです。

ダブル高気圧の動向は?

ダブル高気圧の予想(ウェザーマップ)
ダブル高気圧の予想(ウェザーマップ)

太平洋高気圧と、さらにその上層で強まるチベット高気圧とのいわゆるダブル高気圧の予想をみると、2日(火)は太平洋高気圧が日本の南で強まり、さらにチベット高気圧も本州付近へ張り出すため、西日本では晴天猛暑型の形となり、晴れて、厳しい暑さが到来するでしょう。ただ東日本方面への張り出しは明瞭ではないため、関東などは晴れ間があったり雨が降ったりという不安定な状態が続きそうです。

このダブル高気圧が張り出す状態がしばらく続けば、西日本で梅雨明けも視野に入る状態となりますが、来週の週末6日(土)頃には、勢力が弱まるため、西日本でも梅雨空の戻る所が多くなるかもしれません。ただダブル高気圧の予想にはブレがあり、あまり勢力が衰えず、おおむね夏空が1週間以上続く見通しとなれば、九州や四国などで、梅雨明けが検討される可能性も考えられる状態です。

東日本~東北は不安定な梅雨空が続く

10日間予報(ウェザーマップ)
10日間予報(ウェザーマップ)

最新の10日間を予報をみると、東日本から東北にかけては、ダブル高気圧の勢力が及ばず、晴れ間が出たり、雨が降ったりのかなり不安定な梅雨空が続くでしょう。

ただ雲は多めながらも、関東から東海にかけては、ダブル高気圧がギリギリ張り出す来週中頃に最も晴れ間が広がり、33度以上の厳しい暑さとなりそうです。晴れ具合によっては、内陸を中心に35度以上まで上がる可能性も十分に考えられます。より一層湿気が多くなり、熱中症の危険度はこれまでよりも上昇するため、雨に加え、熱中症にも一段と警戒が必要です。

九州や四国は梅雨明けの可能性も?

10日間予報(ウェザーマップ)
10日間予報(ウェザーマップ)

一方、西日本の10日間予報では、西側ほど、南側ほど、晴れマークが目立つ予報となっています。ダブル高気圧が張り出す2日(火)は次第に晴れ間が広がり、3日(水)から5日(金)頃は夏空と厳しい暑さが到来するでしょう。宮崎では35度以上の猛暑日が予想されていて、晴れ具合によっては、体温並みの猛烈な暑さとなる所があるかもしれません。

なお、先述したとおり、来週の週末頃にはダブル高気圧の勢力が衰えるため、この夏空と厳しい暑さは梅雨の晴れ間、梅雨の中休みの晴天となる可能性が高いと思われますが、あまりダブル高気圧が衰退しなかったり、梅雨前線の影響が小さくなったりと判断されれば、梅雨明けに結びつく可能性も一定程度は考えられる状態です。

逆に、ダブル高気圧の勢力がより衰える方向となれば、来週の後半以降、晴れマークが傘マークに変わってくる可能性もある、微妙な状態といえます。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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