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BリーグMIP受賞者、田渡凌が意識する「何か特別なこと」、「何か違うこと」とは…

青木崇Basketball Writer
2017年に入団以来の司令塔として奮闘し続ける田渡 写真提供:B.LEAGUE

 アメリカで取材していた頃、Something special(何か特別なこと)やSomething different(何か違うこと)という言葉をよく耳にしていた。これらのフレーズはコーチや選手のコメントから知ることになったのだが、人間ならば必ず持っているものという認識を個人的に持っている。

 横浜ビー・コルセアーズの田渡凌は今季、ネットフリックスのリアリティ番組「テラスハウス」への出演、新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛を迫られる状況下で「エアロビチャレンジ」というSNS動画で強烈なインパクトを残すなど、自身とBリーグの知名度アップに成功。5月8日に発表されたBリーグの表彰でMIP(最も印象的だった選手)に選ばれたことは、Something specialとSomething differentを成し遂げた好例と言っていいだろう。

 東洋大京北高校卒業後、アメリカに留学した経験を持ち、英語を理解できる田渡にこんな質問をしてみた。「常にSomething specialとSomething differentを意識してオンコートでもオフコートでも過ごしていますか?」

 彼はこのように返答した。

「もちろんです。競技者として常に唯一無二の存在になることを意識していますし、おっしゃたようにSomething specialとSomething differentということでは、他の人と同じことをしていても正直つまらないので、常にそれを意識してオンコートでもオフコートでも過ごしています。オンコートでは他の人よりも練習してみたりとか、いろいろな知識をつけてトレーニングに取り組んでみたりとかいうのもそうですし、オフコートではアメリカに行ってきていろいろなアスリートがどのような取り組みをしているかを見て、実際に自分で活動してみたりしています」

2019−20シーズンにオフコートでの注目度が一気に上昇した田渡 写真提供:B.LEAGUE
2019−20シーズンにオフコートでの注目度が一気に上昇した田渡 写真提供:B.LEAGUE

 2019−20シーズンはオフコートで注目度を上げた田渡だが、プロアスリートとしての責任感、バスケットボールに対する真摯な姿勢を持っていることへの疑問符はない。ただし、横浜に入団してから3シーズン、個人としてもチームとしてもフラストレーションを感じる結果に終わっている。新型コロナウイルスの影響でいつ開幕できるのかわからない状況とはいえ、質の高いプレーを続けることによってオンコートでの存在感をよりアピールしたいところ。勝利を喜ぶビーコル・ブースターの姿が頑張るモチベーションになるという田渡は、次のシーズンに向けて目指していることについての質問に対し、次のように語った。

「60試合あるかないかわからないのですが、最高のパフォーマンスを出せるようにコンディショニングもそうですし、メンタルの部分もしっかり準備することです。身体も心もできていないとパフォーマンスが上がってこないので、常に100%の力を出せるようにしっかり整えてやることが自分の目指すところです」

 田渡にとってオンコートでのSomething specialとSomething differentは、一体どんなことになるのか? 個人的な思いを言わせてもらえれば、Something specialについてはBリーグ創設以来横浜が達成できていないチャンピオンシップ進出、Something differentはチームが飛躍する原動力になることという気がしている。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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