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ゴツい脚の井上尚弥 デカい肩のフルトン 階級UPによる肉体の進化と体格差の影響は

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
写真提供全て FUKUDA NAOKI

25日、東京・有明アリーナでWBC、WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチが行われ、王者のスティーブン・フルトン(29=米国)と同級1位井上尚弥(30=大橋)が対戦する。

試合に先立って行われた前日計量では、両者の体格差が話題となった。

計量の様子

まず王者フルトンが計量し、55.3kgで一発クリア。

以前から階級アップを望んでおり、減量苦が心配されていたが、見事な体を作り上げてきた。

がっしりした上半身と細い脚は、ボクサーとして理想的な体型だ。

続いて井上尚弥が計量し、こちらも55.2kgで一発合格。

バンタム級の時より減量が楽になった分、表情からも余裕が感じられた。

肉体も全体的に進化しており、胸まわりの筋肉も一回り大きくなっていた。

特に驚いたのは下半身だ。もともと井上はパンチや踏み込みの土台となるハムストリングスが非常に発達していたが、より強化されていた。

走り込みやフィジカルトレーニングで、バンタム級時代よりさらに脚力がアップしたのは間違いないだろう。

体格の違い

計量後のフェイスオフでは、睨み合い一触即発の雰囲気が漂っていた。

向かい合うと顕著になるのは両者の体格差だ。

数字では、井上が身長165cm(リーチ171cm)、一方フルトンは身長169cm(リーチ179cm)となる。

身長差はあまりないが、180cm近いフルトンのリーチは脅威だ。

さらに後ろに重心を置くスタイルのため、想像以上に遠く感じられるだろう。

パンチを当てるためには、リスクをとってでも間合いを詰める必要がある。

井上の踏み込みがどこまで通じるかが焦点となるだろう。

当日の仕上がりが鍵

ボクサーは、計量終了から試合までのたった30時間で別人のように変貌する。

水分補給するだけで2〜3キロほど増え、さらに食事をとることで、10キロほど増やす選手もいる。

体重を増やすとパワーや耐久力はアップするが、反面スピードやスタミナが落ちる。

そのため、必ずしも体重を増やした方が良いとは限らない。両者の戦略やスタイルによって選択は異なるだろう。

階級を上げたばかりの井上と、階級を上げたいフルトンでは、当日の体重に差が出るのは必然だ。

おそらく試合当日には、3キロほどの差が出るだろう。

フルトンはアメリカでも評価が高くスーパーバンタム級の最強王者と言われている。

この階級がベストと言われている井上が、最強王者相手にどの様なパフォーマンスを見せてくれるのか楽しみだ。

試合の模様は、25日16時から映像配信サービスLeminoで独占生配信される。

日本ボクシング界の歴史を塗り替える、世紀の一戦に注目したい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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