主な音楽を聴く機会、YouTubeがトップでテレビが続く(最新)
さまざまな音が紡がれて完成する「音楽」を耳にする機会はどこにでも存在する。それでは音楽を能動的に聴く手段はどのような認識をされているのだろうか。どの手段がもっともよく使われているのだろうか。日本レコード協会が2024年3月に発表した「音楽メディアユーザー実態調査」(※)の最新版の結果を基に、その実状を確認する。
次に示すのは調査対象母集団において主な音楽の聴取手段とされるルート。冒頭で触れた通り日々の生活の中では音楽と接触する場面、機会は多々あるが、今件は回答者が能動的に「音楽を聴きたい」との意思の下で利用する手段であり、無意識のうちに耳に入ってくる機会とは別。先の例なら、テーマソングを聴くために商店街に足を運ぶ人はいないが、音楽が聴きたいためにカーラジオのスイッチを入れる人はいる。
最上位は「YouTube」。58.6%もの人が「音楽を聴きたい時にはYouTubeを使う」と答えている。本来は動画共有のサービスサイトではあるが、今や音楽の取得場としても幅広い認識を集めている。実際、新曲のプロモーションの場としてもYouTubeは大いにその効用を発揮している。
次いで多いのは「テレビ」。25.8%の人が音楽聴取ルートとしてテレビを思い描いている。同じ4マスとしてのAM・FMラジオは第6位で2割足らず。テレビを観ている人、ラジオを聴いている人は自然に音楽も耳に入るが、あくまでも今件は「音楽を聴く目的でスイッチを入れていると自認している人」に限られる。
テレビとほぼ同じ値を示しているのは、「定額制音楽配信全体」。これは「定額制音楽配信サービス」「Amazon Music Prime」のいずれか一つでも該当したものの値を意味する。3割近くもの人が、何らかの定額制音楽配信で音楽を聴いていることになる。その構成要素の1つ「Amazon Music Prime」は単独で第9位、13.3%という高い値を示している。
「定額制音楽配信全体」と同じ値を示しているのは「音楽CD(レンタル、貸与含む)」。これは直接購入したもの以外にレンタルCD、他人から借り受けたものも含んだ値。似たような回答に音楽CDからコピーした楽曲ファイルが第5位に入っているが、これは聴きたい対象の曲は同じで、聴くメディアが異なるだけの話。実質的に機動性の高いスマートフォンや携帯音楽再生プレイヤーで聴くためだけに、音楽CDを購入し、データ化したらCDそのものは押し入れなどにしまうとの使い方をする人も少なくあるまい。
リアルな体験も楽しめるとの観点で注目を集めている「コンサート・ライブなどの生演奏」は16.4%。新型コロナウイルスの流行によりコンサートが中止となる事例は多かったことから、この数年は低い値だったが、2023年では前年比でプラス0.6%ポイントと上昇の動きを見せた。
前年に実施された同様調査の結果との差異を算出したのが次のグラフ。また2023年分の調査で初めて登場した選択肢は(前年比が無いため)除外している。
「TikTok」「TikTok以外のその他SNS」が大きく伸びている。同時に「YouTube」が5.4%ポイントも減っており、音楽聴取手段としてのソーシャルサービス内で対象サービスのシフトが起きている感はある。また、「コンサート・ライブなどの生演奏」「カラオケBOX、カラオケ教室」「音楽関連イベント」のような、実体験型の手段が値を増やしているのも目にとまる。
「定額制音楽配信全体」が前年比で大きく落ちているが、「Amazon Music Prime」の落ち方はそれ以上で、「定額音楽配信(Amazon Music Primeを除く)」は伸びている。定額制音楽配信の中でAmazon Music Prime離れが生じているということなのだろうか。
今件調査がインターネット経由であるのも一因だが、「音楽を聴く」との認識で使っている手段として、すでに物理メディアがデジタルサービスに抜かれている現状は、興味深い話に違いない。
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※音楽メディアユーザー実態調査
直近分は2023年12月に12歳から69歳の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は4500人。2020年度の国勢調査結果をベースにウェイトバックを実施している。また設問の多くは過去半年間を対象に答えてもらっているため、2023年6月から11月時の動向が反映されていることになる。過去の年の調査もほぼ同じ条件で実施されている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。