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CDの方が売れているのは日本以外はドイツとフランス、オーストリアぐらい…主要国の音楽売上状況を探る

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 音楽への興味関心は国境をこえて

音楽を好むのは世界共通のお話。当然音楽市場も世界各国で形成されている。主要国の音楽市場の概要を、日本レコード協会の報告書「日本のレコード産業2015」から確認していく。

世界全体の音楽売上は日本同様に漸減すると共に、パッケージ(CDやカセットテープなど)の売上は額面・比率共に低下し、有料音楽配信(デジタルデータ)が拡大の一途を遂げている。

↑ 世界音楽売上金額推移(卸売価格ベース、米億ドル)
↑ 世界音楽売上金額推移(卸売価格ベース、米億ドル)

その売り上げについて国別の規模を記したのが次のグラフ。卸売価格(実際の売上ではない)ベースによる順位付けでは、トップがアメリカ合衆国、第2位は日本。この2国が断トツで他国を抜きんでており、世界全体の約半数を占める。

↑ 2014年世界音楽売上トップ20(米億ドル、卸売価格ベース、円は2014年平均レート105.87円で換算)
↑ 2014年世界音楽売上トップ20(米億ドル、卸売価格ベース、円は2014年平均レート105.87円で換算)

日米に続くのはドイツ、そしてイギリス。それぞれ14億ドル前後。その後ろにはフランス、オーストラリア、カナダが並んでいる。日本の市場の大きさが再確認できる。

一方、各国の市場もその中身、具体的にはパッケージや有料音楽配信などの構成には大きな違いを見せる(こちらは卸売価格では無く収入=売上ベース)。

↑ 2014年世界音楽売上トップ20における項目別シェア(収入ベース)
↑ 2014年世界音楽売上トップ20における項目別シェア(収入ベース)

最上位陣の日米でも、その構成比には大きな違いがある。パッケージ販売は日本が78%もあるのに対し、アメリカは26%でしかない。一方有料音楽配信は日本が17%でしかなく、アメリカは過半数の71%に達している。いかにアメリカで有料音楽配信が進んでいるかが分かる。なお半数超えを示しているのはアメリカ以外にはオーストラリア、カナダ、韓国、スウェーデン、メキシコ、ノルウェー、中国、インドに及んでおり、デジタル音源の浸透ぶりもうかがえる。

日本ではパッケージソフトの売上が漸減し、有料音楽配信は従来型携帯電話からスマートフォンへの移行に伴い、この数年で急速に売り上げを落としている(直近2014年ではいくぶん持ち直したが)。今後は現在(今資料では)17%でしかない有料音楽配信全体のシェアも、じわりと、そして確実に漸増していくに違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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