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盤上の序盤作戦では豊島将之竜王、盤外のおやつでは藤井聡太挑戦者が新手を披露 竜王戦第2局1日目終了

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 10月22日。京都府京都市・総本山仁和寺において第34期竜王戦七番勝負第2局▲豊島将之竜王(31歳)-△藤井聡太挑戦者(19歳)戦、1日目の対局がおこなわれました。

 豊島竜王先手で、戦型は相掛かり。豊島竜王は角を中段に上がる新構想を見せました。

 午前のおやつは、豊島竜王は定番のフルーツ盛り合わせ。対して藤井挑戦者はくま最中(もなか)という新手を選んでいます。

 王位戦第1局のぴよりん。叡王戦第5局のコロコロしばちゃん。竜王戦第1局の紫芋モンブラン。そして本局のくま最中と、話題になりそうなスイーツを選ぶのも藤井流です。

 食事やおやつに関しては、どちらかといえば豊島竜王は「定跡派」。藤井挑戦者は自身が述べているように「力戦派」と見られています。

 盤上では、藤井挑戦者は相手の中段の角にプレッシャーをかけながら、攻めの銀を押し上げていきます。

 32手目、藤井挑戦者が7筋の歩を突き上げたところで12時30分、1時間の昼食休憩に入りました。手番の豊島竜王はその前後もずっと考え続けます。

 33手目。豊島竜王は1時間51分の長考で、左端9筋から突っかけていきました。対して藤井挑戦者は7筋の歩を取り込みながら、相手の角を二段目に押し込めます。

 42手目。藤井挑戦者は相手の動きを逆用する形で、9筋に歩を垂らします。これはかなり的確と思われる攻め。どう応じても豊島竜王の側は味のわるい形となります。1日目の進行は、どちらかといえば後手番の藤井挑戦者がうまくペースをつかみつつあるのかもしれません。

 18時。立会人の淡路仁茂九段が声をかけます。

淡路「それでは封じ手の時刻となりましたので、豊島竜王は次の一手を封じ手にしてください」

豊島「封じます」

 豊島竜王はすぐに応じて、43手目を封じ手としました。

 明日2日目は朝9時に封じ手が開封され、対局が再開されます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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