家庭で金銭教育?冬休みに親子で株式投資を始めよう!
お子さんがいらっしゃるご家庭では、子どもたちが冬休みに入ったことでしょう。コロナウイルスの変異株の心配もあり、外出を控えて子どもたちが時間とエネルギーを持て余しているご家庭が多いのではないでしょうか。今回は、冬休みに家族で取り組める金銭教育についてお伝えします。
■金銭教育、金融教育って何なの?
タイトルにはあえて「金銭教育」と書きましたが、金融業界では「金融教育」と呼ばれています。金融だと必要以上に難しく感じられるかもしれず、敷居を高くしないよう金銭という表現にしました。今回は、金銭教育と金融教育は同じ意味だと考えて、読み進めてください。
まず、そもそも金融教育とは何か、というところから。金融広報委員会によると、金融教育とは「お金や金融の様々なはたらきを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育」と記されています。
投資はイコール金融教育ではありませんが、今回のテーマである株式投資を行うことで、投資行為が生活と金融を結びつける媒介になります。しかし、座学で金融について学習しても、興味がなければ大人でも子供でも楽しく学ぶことはできません。ですから楽しみながら、生活と金融を学ぶツールとして株式投資を行う、と考えるといいでしょう。
■金銭教育のチャンスは長期休暇にあり!
小学生高学年、中学生、高校生の年代であれば、自宅での金銭教育を実践できるでしょう。取り組みを簡単に説明すると
・投資について学ぶ
・投資先を調べる
・投資先を決定する
・投資したと仮定して値動きを記録したり、実際に売買する
となります。
子供が小学生、中学生くらいだと親も一緒に取り組む必要がありそうです。子供だけでは買うまでに至らないと思いますので、年末年始やお盆休みに親子で取り組むことをおすすめします。
■投資について学ぶには何から学ぶべき?
投資について何を学べばいいのでしょうか。今回は株式投資とはどのようなものかを理解すればいいと思います。株式投資の方法はとても簡単です。何らかの根拠で選んだ会社の株式を買うだけです。価格が上がれば含み益、価格が下がれば含み損となります。買った株式を売るまでは、損益は確定しないというのがミソです。
(1)値上がり益と値下がり損
価格が一時的に上がっても売ったときに、価格が下がっていれば損失が確定します。買った直後に価格が下がっても、売ったときに価格が上がっていれば利益が確保されます。安く買って高く売ることができれば、投資における利益を出すことができます。反対に、結果的に高く買って安く売ることになれば、損失を出すことになります。
株式投資に限らず、複数の株式への投資を可能にする投資信託も、投資した価格より上がったか、下がったか。絶対額としていくら儲かったか、損したかの他に、投資額に対して何%儲かったか、損したか。絶対額と割合で評価することができます。
(2)配当金と株主優待
株式を保有していると、年に数回現金を手にする機会があります。それが配当金です。上場企業が決算を終えて利益が確定すると、利益の一部を株主である投資家に還元します。東京証券取引所のデータによると、2021年11月の東証第一部企業の加重平均株式平均利回りは1.87%です。
10,000円投資すると額面で187円受け取ることができます。所得税と住民税を約20%控除されますので、手取りは150円です。
投資した株式の価格が上下して頻繁に売買を行わなければ、毎年手取りで1.5%前後の配当金が受け取れる可能性があります。1年で1.5%、10年で15%ですから、預貯金にお金を預けている人に比べて資産を増やせる可能性があります。
ただし、配当金を受け取っても株式の価格が下がっていればトータルで損する場合もあります。反対に価格が上がっていれば、配当金に加えて値上がり益を受け取れる可能性もあります。
他にも株主優待といって、長期間株式を保有して欲しいと考える企業が投資の特典としてクーポン券、割引券、食料品などを付与する場合もあります。よく利用するお店が上場企業であれば、株主優待を目的に投資するのは投資の一歩目として取り組みやすいはずです。
■株式投資の流れ、買ったつもりでもOK!
筆者が株式投資に目覚めたのは、バブル末期の1988年。新聞の株式欄を見て、ある株を買ったことにしました。単元株といって、企業の株式はまとまったロットで購入する必要があります。30数年前は単元株数が1,000株でしたので、1,000株分=30万円を買ったつもりになりました。その後、その株式は短期間で2倍の60万円になりました。株式投資は面白いと投資に目覚めた原体験です。
いま我が家では、中学一年生の子供が株式投資を始めています。きっかけは同級生が株式投資しているという話を聞いたこと。ネット証券に口座を開設し、10万円を入金しました。
まず、興味付けのために株主優待に関するムック本やガイド本を購入し、夏休みに読ませました。自分の好きな会社や聞いたことのある会社が掲載されていて、どんな優待があるのか興味を持ったようです。
次に投資先の調べ方は、会社四季報業界地図や日経業界地図など、各業界の今後の景気をわかりやすく説明してくれる本を書店で購入したり図書館で借りて読みます。書籍を入手したら興味のある業界を10程度リストアップしました。さらにそれぞれの業界の中から、興味をもった企業を1社ずつ選びます。
業界の分析や個別株式の分析は、資産運用が本職のファンドマネージャーの業務と同じです。違うのは、自分のお金であることと、運用実績の評価は自分で行うことです。
株式を購入することで業界の趨勢、会社の情報、価格の変動、配当金の受け取りなど、投資を通じて学ぶ機会が増えると考えます。金銭教育の一環だからこそ、投資信託ではなく株式投資を体験するのです。
■投資による金銭教育なら100円からできる端株(はかぶ)投資
我が家の株式投資では、端株といって単元株(現在は100株)に満たない株式を購入することにしました。
端株の特徴は、1株単位で売買ができるところ。日本では全部で3821(2021年12月24日現在)の企業が上場しています。そのなかで最も高い株価の会社はSMC株式会社の77,170円です。株価が1万円以上の会社はたったの55社ですので、予算が1万円あれば上場企業の98%の株式を購入することができるのです。
ヤフーファイナンスの単元株価格上位ランキングを見ると、株価100円以下の企業が50社以上、300円以下の企業が300社以上、500円以下の企業が600社以上あります。予算1万円であっても、端株であれば銘柄を分散させた投資ができます。自分専用の投資信託を作ることもできるのです。息子の場合アメリカの株式も購入しており、日本とアメリカの企業に地域も分散して投資しています。
端株の投資については、証券会社によって、上場企業によって売買できない場合もあります。我が家の場合は、端株の売買が可能な証券会社を検索し口座を開設しました。せっかく口座開設したのに端株の取り扱いがなかったということの無いようにしましょう。また、端株は通常の株式のように即座に売買できない可能性がありますので、注意点として覚えておきましょう。今回は、株式投資自体が学習機会となるため、頻繁な売買や即時の売買などは念頭に入れておりません。
また、端株の場合は、株主優待を受ける権利が発生しないことが多いので、株主優待を目的に株式投資を検討される場合は、何株でどのような権利を得られるのか、権利を得られる日にちはいつなのか確認しておくと良いでしょう。
先日、はじめての配当金が数円~十数円支払われました。株価についてはほったらかしでも、配当金という目に見える形でお金を受け取ることができるのは、自ら稼ぐことのできない子供にとって嬉しい出来事のようでした。今年の年末年始は、予算を追加し日本株、アメリカ株を追加で購入しようかと考えています。
なお、我が家の投資状況は予算10万円が2021年12月24日時点で101,582円ですが、それ以前は投資元本を割ったりと、上がったり下がったりしています。個別株の価格変動は投資信託よりも大きくなる場合がありますので、含み損が発生しても心穏やかでいられるような金額で投資を始めると良さそうです。
実際に、株式投資を始めたことで、日常生活での買い物を通じてお金を支払い、どのように企業の売上として循環するか興味を示すようになりました。今後、投資先を増やすことでいろいろな業界に触れることは、将来の就職活動にも役立つでしょう。
付随して、投資の世界では30銘柄程度に投資することで、分散の効果がでリスクが低下するとされていますから、投資する銘柄を増やしていくことで自然と分散投資を実践することにもつながっていくのです。
証券口座の開設には時間がかかります。この冬休みには、買ったつもりで価格変動を楽しんでみてはいかがでしょうか。お年玉を貰える人は、株式投資に取り組むのも一案です。