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「黒子のバスケ」脅迫犯へのメッセージ

篠田博之月刊『創』編集長

「黒子のバスケ」脅迫事件は、完全に膠着状態に陥っている。

犯人から届いた手紙で、毒入り菓子を置いたとされるコンビニは特定されたのだが、そこから問題の菓子は見つかっていないからだ。

考えられることは幾つかある。

第1は、犯人は実際に菓子をその店に置いておらず、警察がどう動くか確かめるために前回の手紙を送った、という可能性だ。実際に動く前に観測気球をあげて警察の出方を確認する、というのは、グリコ・森永事件の犯人もやっていた手法だ。コンビニに菓子を置くとすれば当然監視カメラに映るし、リスクは高い。だから実際にやる前に、やったという声明を出して警察の動きを見る。犯人なら考えそうな筋書だ。

第2に、犯人は実際に菓子を置いたが、予測できない経緯で発見されてないという可能性。これはいろいろなケースが考えられる。セブンイレブンも全国の店舗から菓子を回収して点検しているから、1個1個全て完璧に点検ができていない怖れは十分にある。そして、最悪の想定は、その菓子が既に消費者の手に渡ってしまったという可能性だってある。

第3に、実は菓子は見つかっているのだが、警察が発表していない、という可能性だ。情報戦だから警察も全て情報を公開しているわけではないからだ。

このブログは、事件を追っているマスコミ関係者も見ているし、警察も見ている。そして犯人もたぶん見ていると思われる。

そこで提案したい。現在の膠着状態が続くのは誰にとってもよいことではない。だから第3通目の手紙を発信して、次の展開へ行ってほしい。

最初の手紙は10月15日着、次の手紙が23日に届いた。どうも犯人は週末に行動しているらしい。休み明けに手紙が届くからだ。2通目の手紙が水曜日に届いたのは、たぶん消印が宝塚だったことと関係があると思われる。1通目は埼玉だった。そして菓子を置いたとされる店舗も首都圏だ。犯人は首都圏に住んでいる可能性が高いのだが、2通目の手紙の消印が関西だったのは、捜査のかく乱を狙ったのではないかと思われる。

その意味で言うと、28日か29日頃、次の手紙が届く可能性がある。

『創』12月号の締切の関係もある。この土日に犯人が第3通を投函していることを祈ることにしよう。

このブログが契機になって、犯人像についてネットで議論百出だ。グリコ・森永事件とか『創』に手紙を送るというのは、どう考えても昭和の世代ではないかという声も多い。だから、いったい犯人は何を目的として脅迫を行っているのか、改めて説明してほしい。

次の手紙を待っている。頼んだで。

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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