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雨の音が怖い!聴覚過敏のあるお子さんと試してほしい3つの対処法

保育士ごんちゃん保育士/チャイルドカウンセラー

こんにちは!保育士ごんちゃんです。

現在、保育士として地域の公民館や療育教室で親子遊び講座をしたり、地域の保健師さんと一緒に子育て講座にまわったりするような働き方をしながら、子育てに関する情報発信をしています。

先日、私が放送しているVoicyのおたよりフォームにこんなご相談をいただきました。

しゃーごんさん、初めまして。知人に勧められたvoicyでしゃーごんさんを見つけて、すっかりファンになりました。
優しいお声と話し方に癒されるだけでなく、専門性に裏付けされた内容で納得することが多く、悩み多き子育ての心の指針とさせていただいています。
そんなしゃーごんさんに相談したいことがあり、おたよりさせていただきました。我が家には5歳の娘がいるのですが、昨夜雨音が気になって夜中に起きてしまい、その後しばらく寝付けないようでした。今までも、雨音や風の音が「こわい」と言って寝かしつけに時間がかかることはありましたが、夜中に起きてしまう程のことはありませんでした。娘は、HSCと言う程ではないかも知れませんが、少し繊細な子のように思います。そんな娘に対して、こういう時にどのような心持ちでどのように接したらいいか、また雨音や風の音が気にならなくなるコツなどもありましたら、教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

今回はこちらの内容について一緒にできることを考えていきたいと思います。

▼聴覚過敏はHSCのお子さんに現れる特徴のひとつ

HSCとはHighly Sensitive Childの頭文字をとった概念で、ひといちばい敏感で繊細な子どものことをいいます。

このHSCという概念はアメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン氏が提唱したものです。アーロン氏はHSCについて記した著書『ひといちばい敏感な子』の中で、HSCかどうかを知るための、23のチェックリストを示しています。

(下記の関連記事でチェックリストが確認できます。)

<関連記事/しゃーごんダイアリー>
HSCを知っていますか?〜ひといちばい敏感な子ども〜

このチェックリストの中には「静かに遊ぶのを好む」や「うるさい場所を嫌がる」といった項目があり、HSCの子どもは音に対して敏感な傾向があることが分かります。

また、HSCに共通する4つの特徴「D.O.E.S」にも、「過剰に刺激を受けやすい」という特徴があげられています。

【D】深く処理する
Depth of processing

【O】過剰に刺激を受けやすい
being easily Overstimulated

【E】感情の反応が強く、特に共感力が高い
being both Emotionally reactive generally and having high Empathy in particular

【S】ささいな刺激を察知する
being aware of Subtle Stimuli

このように、HSCの子どもの特徴には音に対して敏感な「聴覚過敏」が現れることがあります。

ちなみに私自身もHSP(Highly Sensitive Person)の気質を持つと自覚していて、音に対しては少し敏感なところがあります。

例えば爆竹や花火などの大きい音や、人の大声や罵声、パチンコ店やゲームセンターなどのうるさい環境は苦手ですし、大きい音でなくても静かな部屋に響く時計の秒針などが気になってしまいます。

▼親はどんな気持ちで接すればいいか

今回のご相談者さんは、お子さんがHSCであるかどうか確信はないけれど、少し繊細な子であるように感じるとおっしゃっています。

もし親御さんが同じように聴覚過敏であれば、その音の感じ方などを理解できるかもしれませんが、そうでない場合は「なぜそんなに怖がるのか」と理解できない場面もあるかもしれません。

そのため、子どもが感じている怖いという気持ちに寄り添いながら「怖いんだね。でも大丈夫だよ。」と気持ちを受け止めながら、安心感を与えるように関わっていただけると子どもは徐々に不安感が薄れていくと思います。

夜中に子どもが何らかの原因で起きてしまうと、親はどうしても寝不足になったり細切れの睡眠になりがちなのでストレスが溜まる場合もあると思います。

親自身に余裕がないと、子どもに優しくできないこともありますよね。ただ、特に幼い子どもにとっては不安な環境でその気持ちを見せられるのが親であり、いてくれることで安心できる存在です。

だからできる限り子どもに寄り添うつもりで、周りの手を借りながら子どもに優しく温かく接していけるといいと思います。

▼試してほしい3つのこと

夜の雨を怖がっているお子さんと一緒に試していただきたいことを3つご紹介します。

(1)音に対して物理的な対策をする

夜に子どもが雨の音を怖がった時、できる対策として「音を遮断して聞こえにくくする方法」「音を他の心地いい音でかき消して気にならなくする方法」の2つがあります。

1つ目の「音を遮断して聞こえにくくする方法」では、耳栓やイヤーマフなどを使って音を遮断します。耳から入ってくる音を物理的に減らすことで、聴覚過敏の子どもが安心感を得られる場合があります。

インターネットで子ども用の耳栓やイヤーマフを調べると、様々な商品を見つけることができます。選び方の注意点としては、必ず子ども用に規格されたものを使うということです。

もしも自作の詰め物などで耳に何かを入れてしまうと、もしその詰め物が小さかった場合に耳につまる可能性があり危険です。また、大人用のイヤーマフだとサイズが大きすぎてフィットしなかったり、硬すぎるものだと逆に不快感がある場合もあります。

そして2つ目の「音を他の心地いい音でかき消して気にならなくする方法」では、子どもが嫌がる雨の音が気にならないくらいの音量で子どもが安心するような音を流します。

例えば、赤ちゃんの寝かしつけに有効な音とされているホワイトノイズや、子どもが日頃から聞いていて好きな落ち着ける音楽(オルゴールの曲など)です。

ホワイトノイズなどの「ザーッ」という音は、低月齢のお子さんであるほど有効です。理由はその音が母親の胎内で聞いていた音に似ているので、安心するからです。

しかし、子どもが成長するにつれてそれはただの雑音になっていくので、5歳のお子さんだと有効でない可能性もあります。その場合は、好きな音楽やゆったりと安心できるような音楽で落ち着けるものがあればそちらをおすすめします。

音を聞こえなくするか、別の音楽でまぎらわすか、どちらの方が安心感があるかはお子さんによってもそれぞれなので、2つの方法を試してみてどちらか有効であれば取り入れていただきたいです。

(2)日中に雨の音を聞いて理解を深めておく

雨が天井に打ちつける音は、暗くて静かな夜に聞くと見えないし響くので怖く感じてしまいますが、昼の明るい時間であれば怖さが薄れます。

そのため、日中に雨の音を子どもと一緒に感じて「これは雨の音なんだ」と理解を深めることもオススメです。

まさにいま梅雨の時期で激しい雨が降ることも多いので、日中に家の中にいて雨が降ったと思ったら、寝室にいって静かにして雨の音を感じてみてください。

外で雨が降っている様子を目で確認して、その音を耳で聞いて「いつも夜聞こえている音は、この雨の音なんだよ。だから怖くないよ。」と繰り返し伝えてみてください。

特に乳幼児期の子どもは、目で見て触れて聞いて…と、五感をフルに使って物事を捉えることによって最大限の学びにつながります。

家の中だと夜のように雨が響かなくて、あまり音が聞こえないという場合は、車の中で雨の音を聞くとよく聞こえます。

親にとっては少し手間かもしれませんが、その五感を使って学ぶ経験を積むことでいつしか子どもにとっての納得となり、不安感が薄れていきます。

(3)雨に関するたのしいお話に触れる

こちらも寝るまでの時間にできる方法です。雨に関する絵本を読みきかせたり、雨に関するエピソードのアニメを見たりして、子どもが持つ雨に対するポジティブなイメージを強めていきます

インターネットで「絵本 雨の話」やYouTubeで「雨の話 アニメ」などと検索すると、色々なものが見つかります。

今の時期は書店や図書館で、雨の絵本の特集をしていることもあるので、親子で足を運んでみるのもオススメです。

一度親が見てみて子どもが好きそうだなと思うものがあれば、一緒に読んだり見たりする時間を取ってみてください。その時に親が「雨の日も楽しいね」などポジティブな声かけをしていくとよいでしょう。

もし即効性がないとしても、親子のコミュニケーションの時間に雨のことをポジティブな印象で捉える経験が積み重なれば、子どもにとって「雨=怖い」というイメージが薄れていきます。

▼聴覚過敏とうまく付き合っていこう

聴覚過敏のあるお子さんを子育て中の親は、これからお子さんが成長していくにつれて、集団生活で起こる色々な音などとの付き合い方を工夫しなければいけないことがあるかもしれません。

大人でも耳栓をうまく使って生活している方はいますよね。少しでも生活しやすくなるように、親子で物理的な対策をしながら精神的なケアをいけば大丈夫です。

今回のお話が少しでも参考になれば嬉しく思います。

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また次回の記事でお会いしましょう!最後まで読んでくださりありがとうございました。

保育士/チャイルドカウンセラー

専門は保育、幼児教育、家庭教育。九州大学教育学部卒。2019年2月に女の子、2021年11月に男の子を出産した2児の母。HSP(Highly Sensitive Person)の気質を持ち、人生で2度のうつ病を経験。現在はがんばりすぎるのをやめて「無理せず自分らしく」がモットー。育児のお役立ち情報やライフハック、子どもと楽しく過ごすための遊び心などを発信。

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