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藤井叡王連覇か、出口六段初戴冠か――第7期叡王戦五番勝負展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
これから夏までタイトル防衛戦が続く藤井聡太叡王(筆者撮影)

 藤井聡太叡王(19)=竜王・王位・王将・棋聖に出口若武六段(26)が挑戦する第7期叡王戦(不二家主催)五番勝負は4月28日第1局が東京都千代田区「江戸総鎮守 神田明神」で行われる。

 10代で次々とビッグタイトルを獲得し棋界の第一人者となった藤井叡王にとって、自分より後にプロ入りした棋士とのタイトル戦番勝負は初となる。データを基に勝敗と展開を予想してみた。

<第7期叡王戦五番勝負日程>

第1局 4月28日 東京都千代田区「江戸総鎮守 神田明神」

第2局 5月15日 愛知県名古屋市「名古屋東急ホテル」

第3局 5月24日 千葉県柏市「柏の葉カンファレンスセンター」

第4局 6月12日 愛知県名古屋市「か茂免」

第5局 6月19日 京都府京都市「全国天満宮総本社 北野天満宮」

藤井叡王優位も絶好調出口六段に勢い

<藤井叡王の最近10局>

12月2日 順位戦B級1組

対近藤誠也七段 ○

1月9、10日 ALSOK杯王将戦七番勝負第1局

対渡辺明名人 ○

1月13日 順位戦B級1組

対千田翔太七段 ●

1月16日 朝日杯将棋オープン戦本戦

対船江恒平六段 ○

1月16日 朝日杯将棋オープン戦本戦

対永瀬拓矢王座 ●

1月22、23日 ALSOK杯王将戦七番勝負第2局

対渡辺名人 ○

1月29、30日 ALSOK杯王将戦七番勝負第3局

対渡辺名人 ○

2月3日 順位戦B級1組

対阿久津主税八段 ○

2月11、12日 ALSOK杯王将戦七番勝負第4局

対渡辺名人 ○

3月9日 順位戦B級1組

対佐々木勇気七段 ○

<出口六段の最近10局>

3月8日 順位戦C級1組

対金井恒太六段 ○

3月12日 叡王戦本戦

対斎藤慎太郎八段 ○

3月15日 竜王戦6組

対大平武洋六段 ○

3月22日 ALSOK杯王将戦1次予選

対西川和宏六段 ○

3月26日 叡王戦本戦準決勝

対佐藤天彦九段 ○

3月29日 王座戦2次予選

対斎藤八段 ○

4月2日 叡王戦挑戦者決定戦

対服部慎一郎四段 ○

4月7日 竜王戦6組

対斎藤明日斗五段 ●

4月14日 棋王戦コナミグループ杯予選

対村山慈明七段 ○

4月22日 ALSOK杯王将戦1次予選

対浦野真彦八段 ○

 藤井叡王の直近10局は8勝2敗と順調。ただし、タイトルを数多く保持することにより予選を戦う機会が減り、3月上旬から1カ月半以上も対局がつかなかった。もちろん研究会等の練習対局でコンディションは整えているはずだが、若干の不安を感じる。

 対照的に出口六段はこの2カ月ほどの間に10局をこなし調整十分のうえ直近9勝1敗と絶好調だ。下馬評では藤井叡王有利の声が多いが、出口六段はベストの状態に仕上がっており五番勝負でも好内容が期待される。

相掛かりと角換わり中心の戦いか

 直接対決は過去5戦して藤井叡王の4勝1敗。最初の2局は2018年10月の第49期新人王戦決勝三番勝負。このときは藤井七段-出口三段の肩書で対決し、連勝で藤井新人王が誕生した。

 直近の対局は2020年3月の棋王戦予選で出口四段(当時)が初勝利を挙げている。

 戦型は両者とも居飛車党なので相掛かりと角換わりを中心とした相居飛車のシリーズになると予想される。

 総合的に藤井叡王優位は間違いないが、出口六段が序盤で先行する展開になれば、予想外の混戦になる可能性もあるだろう。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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