Yahoo!ニュース

「終わった男」が年末の格闘技イベントで日本へ〜記者会見での言葉

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Esther Lin/Fanmio

 現地時間2024年11月26日、ライアン・ガルシアと日本キックボクシング界の有名選手であるアンポルキヤが、カリフォルニア州ビバリーヒルズで顔を合わせた。ガルシアとアンポのエキシビションは、12月30日(月)21時(米国東部時間では18時)から、FANMIOのPPVで放映される。両者はイベント発表記者会見に出席したのである。 

 米メディアに配布された資料には、「このイベントはRIZINとFANMIOの共同主催。日本は年末の格闘技イベントにおいて誇らしい歴史を持ち、毎年大晦日に大規模な興行が行われる。今回は、FANMIOがアメリカ最大のボクシングスターの1人、ガルシアとともにこの伝統的な催しを世界中の視聴者に届けることになった。称賛されてきた伝統にさらなる価値を加える。

 魅力的かつ、対照的なスタイルの両者の激突は153ポンドで行われ、2分×8ラウンド。完全なボクシングルールが採用された」

 と記されていた。

Esther Lin/Fanmio
Esther Lin/Fanmio

 元WBC暫定ライト級チャンピオンのライアン・ガルシアは、今年4月20日のデヴィン・ヘイニー戦で、禁止薬物であるオスタリンの使用が発覚した。その結果、1年間の出場停止処分を受けている。ヘイニー戦ではリミットをオーバーしてリングに上がり、相手より重い体を武器として相手を倒すという姑息な手段を平然と選ぶ人間だ。もはや、ボクサーとして見るべきものがあるとは思えないガルシアだが、SNSのフォロワー数や人気の面で、まだ利用価値があるとされている。

Esther Lin/Fanmio
Esther Lin/Fanmio

 そのガルシアがアンポについて話した。

 「マニー・パッキャオをノックアウトしようとしたヤツの姿が癪に障った。だから今、私はヤツにレッスンをし、ボクシングを教えなければならない。彼はある程度の大きさがあるな。こちらは、今とても興奮している。が、俺はヤツに現実を受け止めさせ、ノックアウトするよ。この少年を徹底的に叩きのめすぜ。

 ヤツはマニー・パッキャオというレジェンドに対して、何かを示そうとした。若いね。それが俺に怒りを覚えさせたんだ。だから、俺はスピードとパワーを備えた全盛期のボクサーがいかなるものかを見せるためにここにいる。

Esther Lin/Fanmio
Esther Lin/Fanmio

 ヤツのエネルギーは、間違いなく俺を目覚めさせてくれる。お祭りを楽しむ準備はできていたが、今は絶対にヤツをノックアウトしてやろうと心に決めているんだ。俺はパウンド・フォー・パウンドのチャンピオンを痛めつけたが、ヤツはそのレベルにない。凄惨な試合になるよ。ヤツは良い選手じゃない。ただ大きいだけだ。世界中の人々の前で叩きのめしてやる。これはハリウッドで行われる物語ではなく、事実なんだ。<王>が誰なのか分かるだろうよ」

Esther Lin/Fanmio
Esther Lin/Fanmio

 ボクサーとして出場停止中に“ボクシングルール”のファイトをして金を稼ぐーーー相変わらずその挙動に疑問の目が向けられるガルシア。繰り返すが、もう「終わった男」なのだ。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事