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台風1号崩れの本州の雨と来週末まで連続する沖縄の雨

饒村曜気象予報士
日本列島の前線の雲と朝鮮半島北部の上空寒気に対応する雲(5月18日15時00分)

台風1号から変わった熱帯低気圧

 令和2年(2020年)5月12日にフィリピンの東海上で発生した台風1号は、西進してフィリピンに上陸後、進路を北に変え、フィリピンを縦断しました。

 そして、5月17日3時に台湾の南海上で温帯低気圧に変わり、沖縄本島付近を通過しました。

 中心付近の最大風速が、少し弱まり、毎秒17.2メートル未満になったので台風から熱帯低気圧への変化ですが、南から暖かくて湿った空気が流入している状況は変わりがありません。

 このため、西日本に停滞していた前線が活発化し、5月18日は九州南部を中心に100~200ミリの大雨が降りました(図1、タイトル画像参照)。

図1 アメダスによる24時間降水量(5月18日)
図1 アメダスによる24時間降水量(5月18日)

 台風1号から変わった熱帯低気圧は、北上を続け、前線と一体化して温帯低気圧に変わり、19日9時には東海~関東地方にかなり接近する見込みです(図2)。

図2 雨と風の分布予報(5月19日9時の予報)
図2 雨と風の分布予報(5月19日9時の予報)

 このため、東海~関東、東北地方は大雨となり、沿岸部は強い南風が吹く予報となっており、注意が必要です。

 5月19日の予想降水量をみると、東北地方の太平洋側から近畿地方南部までまとまった雨が降り、特に房総半島から紀伊半島にかけては、所により100ミリ以上となる見込みです(図3)。

図3 24時間予想降水量(5月19日)
図3 24時間予想降水量(5月19日)

寒気南下で大気不安定

 台風1号から熱帯低気圧をへて変わった温帯低気圧は、東進して日本の東海上に去り、低気圧を伴った前線が沖縄付近まで南下する見込みです(図4)。

図4 予想天気図(5月20日9時の予想)
図4 予想天気図(5月20日9時の予想)

 低気圧の通過後は、高気圧に覆われて晴れることが多いのですが、今回は、上空に強い寒気が入ってきます。

 図4で日本海や関東地方沿岸にある低気圧は、上空に強い寒気が入っていることに対応する低気圧です。

 このため、東日本から東北地方は大気が不安定となり、雨が降りやすくなります。

 東京の16日先までの天気予報を見ると、今週末まで傘マーク(雨)か黒雲マーク(雨が降る可能性がある曇り)の日が続きます(図5)。

図5 東京の16日先までの天気予報
図5 東京の16日先までの天気予報

 来週以降は、お日様マーク(晴れ)や白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)の日が多くなります。

 東北から関東などの予報は、このような傾向が見られます。

 雨の主体は、前線が南下している沖縄地方に移ります。

那覇は雨の予報が連続

 鹿児島県奄美地方は5月10日、沖縄地方は5月11日に梅雨入りをしましたが、梅雨前線が一時的に北上するなどで、梅雨入り後、連日雨が続いていたわけではありません。

 しかし、今週の後半以降は傘マーク(雨)の日が10日も連続します(図6)。

図6 那覇の16日先までの天気予報
図6 那覇の16日先までの天気予報

 南西諸島は本格的な梅雨となります。

 奄美・沖縄地方では、気象情報に注意し、土砂災害等に警戒してください。

 また、奄美・沖縄地方に限らず、全国どこでも晴れて気温が上がったら熱中症の心配がでてきます。

 

 新型コロナウィルスとの闘いの中では、例年以上に気象情報に注意し、早めに、そして慎重な行動が求められています。

タイトル画像、図1、図2、図3、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図4の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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