Qアノン関係のツイートは今どのくらい投稿されているか
不適切投稿への対応
日経新聞で不適切投稿、日本では対策不備 SNS巡りメタ内部文書という記事が出ました.
Qアノンなどの陰謀論を支持する方たちがソーシャルメディアで投稿を禁止されたり対策されている状況について,日本ではその対応が十分ではないのではないかという記事になっています.
その中に,
と書いてあります.
自分で協力しておいて何なんですが,一日1000件もQアノン関係のツイートあったっけ!?と思って調べなおしてみました.
こちら3行にまとめられてしまった記事への補足という意味合いも含んでいます.
この記事の結論
・Qアノン関連ツイートが盛り上がったのは大統領選挙と議会占拠事件の時
・Qアノン関係のツイートは確かに一日1000件くらいはある
・そのうちQアノン信奉者によるものと思われるツイートは62%くらい
Qアノン関係のツイート分析
データとしては,「#Qアノン, Qアノン, QArmyJapan, QmapJapan, #Qアノン, ディープステート, 深層国家, 新世界秩序」のいずれかを含むツイートを2020年1月1日から2021年11月16日まで収集したものを使っています.
173,252アカウントによる880,730ツイートが分析対象です.まず,一日ごとのツイート数を見てみましょう.
ツイートを見ると,2020年5月,11月,2021年1月にツイート数が増加していることが分かります.2020年11月は大統領選挙,2021年1月は議会占拠事件のときですね.そのころに話題になったということで納得感のある結果です.
2021年についてのみ見ると,確かにツイート数は1000くらいであることが分かります.2021年6月1日から11月16日までの平均を取ると一日当たり1075件ということで,1日1000件くらいQアノン関係のツイートがあるというのは間違っていませんでした.
良かった,間違った情報を流してしまったかと思ってドキドキしてたけど,そんなことなかった.
というわけで,正しい情報をお送りしていたので良かったなあと終わりにしても良いのですが,気になるのはこの中でどのくらいのアカウントがQアノンを信奉しているのかという所です.日経新聞の記事の書き方だと,一日1000件そういったツイートがあるようにも読めますが,
ということなので,ツイッター社はちゃんと対策していると主張しているわけです.日経新聞の記事では1000件のうちどのくらいがQアノン系で,どの程度がQアノンを否定したりする系のツイートなのかには言及していないので,もし反Qアノン系ツイートがほとんどだった場合はミスリーディングな書き方だということになります.
もしQアノン支持者のツイートが全然なければ「日経新聞もうちょっと突っ込んだ記事にしてよ」ということになるし,Qアノン支持者のツイートが多ければ「ツイッター社取り締まり不十分なんじゃないの?」ということになり,どんな結果になってもどっちかから嫌がられそうですが,気になったら調べるしかないですよね.
根性マイニング
Qアノン関連のツイートの中身がどのようなものなのかを見てみましょう.ただし,ある程度落ち着いている時期のツイートだけを対象としたいため,2021年6月1日以降のデータを対象としました.これらのツイートから100ツイートをランダムに抽出し,それを目で見る根性マイニングの手法を分類手法として採用しました.
その結果がこちらです.
Qアノンとあるものが,Qアノンを支持する内容のツイートであり,揶揄はQアノンの存在を否定するような内容です.Qアノン関連報道は,Qアノンに関係する報道や情報です.無関係・不明はQアノンを話題の一つとして使っていたり,内容が判断できないものを含んだものです.
今回マイニングを行ったツイートのうち,62%がQアノン系のツイートでした.ということは,1000件の62%なので620件くらい,ちょっと控えめに見積もって一日600件程度はQアノン支持派のツイートまたはリツイートであると推定できそうです.個人的には思ったより多かった気がします.
いずれにせよ,日経新聞に一日1000くらいのツイートがあると掲載されたことについては,ミスリーディングな部分もあるものの,そこまで大きく間違っているとは言えないという結果になったという所でしょうか.
結論
というわけで,Qアノン関連の投稿が現在どのくらいあるのかという所を確認したところ,現在でもツイートがそれなりの数あることが分かりました.
しかし実際のところ目で見ても結構判断に悩むようなツイートも多く存在しています.また,「〇〇はディープステートの陰謀だ」というだけで凍結の対象になるかと言われると,それはさすがにやりすぎでしょう.これらを自動的に処理するのは難しいだろうなという気はします.特にグローバルに対応しているのであれば,日本特有の問題などへの対応は難しいでしょうから,限界があるのは致し方がないのかもしれません.GAFAがアメリカ企業である以上,日本に限らずアメリカ以外の国への対応は遅れがちなのでしょうが,必要な対策は進めていただきたいなと思いますが.
ちなみに,ツイッター社の名誉のために書いておくと,今回分析した2020年1月から2021年11月までで拡散された回数が多かったアカウントの上位20アカウントを確認したところ2件のアカウントは凍結済みでしたので,全く放置しているわけではないようです.
さて,今回も根性マイニングを行ってみましたが,根性マイニングの結果に不安がある方はツイートIDであればご提供できますので,ご連絡ください.是非ご自身でも根性マイニングやっていただければと思います(トテモツライ).