日本におけるアメリカ大統領選挙に関するツイートの拡散は偏っている
アメリカ大統領選挙に関する日本のツイート
2020年アメリカ大統領選挙が行われました.
なかなか混迷を極めていて,日本時間2020年11月6日9時現在まだ結果が出ていない状況でこの記事を書いています.
アメリカ大統領選挙そのものについてはさておき,この選挙日本でも各局で大きく取り上げ報道されています.
特に,両候補が選挙結果を受け入れるのかが焦点となっていて,「トランプ氏「法的な手段を講じる」 ホワイトハウスで会見」といったニュースも流れたり,今後の展開が気になります.
クラスタ分析
さて,このアメリカ大統領選挙,日本のツイッターではどのように扱われているのでしょうか.
「トランプ OR バイデン OR 大統領選挙」でツイートを収集し,分析を行いました.
まずは,類似ツイートをクラスタリングしてみましょう.
これを見ると,大きなクラスタが一つできており,それ以外に小さめのクラスタが二つ見つかりました.
では,この中で一番大きなクラスタAはどのようなツイート群でしょうか.
中身を見てみると,
といった感じで,バイデン候補の不正を訴えるツイートや,トランプ大統領を応援するツイート群でした.
次にクラスタBを見てみると,こちらは,
のようにバイデン氏を応援するツイートや,
のようにアメリカ大統領選挙に関連付けて日本の政府を批判するようなツイートでした.
クラスタAとクラスタBを比較してみると,
・クラスタA:
総リツイート数:453,374
総リツイートアカウント数:95,037
・クラスタB:
総リツイート数:20,679
総リツイートアカウント数:12,206
でした.
日本のツイッター上では,トランプ大統領を応援するツイートの方が多く拡散していたようです.
各クラスタの分析
とはいえ,ご存じの通りツイッター上の拡散は一部のアカウントによって広まるものが非常に多いため,数が多いからと安心してはいけません.
そこで,まずどのくらいのアカウントによってこれらのツイートが拡散しているのか確認してみました.
クラスタAのツイートについて,何パーセントの拡散が何パーセントのアカウントによって行われたかを調べてみました.その結果が下図です.
横軸がどのくらいのアカウント,縦軸が何パーセントのツイートが行われているかを示しています.簡単に言えば,拡散数の多い上位6%のアカウント(52回以上)によってツイートの50%が占められていました.要するに,6%の人が半分以上の拡散を担っているということになります.う~む,偏っている.
さらに,もう少し詳細に見るために,クラスタAのツイートを拡散しているアカウントがどのようなアカウントかを調べてみました.政治的な話題ですので,これまでに収集したいわゆる「保守」と「リベラル」アカウントがどのくらい含まれているかを分析しました.
その結果が以下の通り.
およそ70~80%が保守系アカウントによる拡散でした.
トランプ大統領が所属する共和党は保守系の政党ですので,日本の保守系のアカウントが応援するのはある意味当たり前かもしれません.
とはいえ,70~80%くらいが保守系のアカウントによるものということで,シンプルに日本にはトランプ大統領を応援している人が多い,という訳ではなさそうです.
ちなみに,クラスタBについては80~90%がリベラル系のアカウントが中心ですので,バイデン応援ツイートについてもだいぶ政治的に偏りがある拡散のようです.
終わりに
というわけで,アメリカ大統領選挙に関する日本のツイッター上で拡散したツイートを分析すると,大規模に拡散したツイートには政治的に偏ったものが多いということが分かりました.ツイッター上で拡散されているアメリカ大統領選に関する様々なツイート,どのようなアカウントがどのような意図で拡散しているものか分かりませんので,あまり一喜一憂せずに冷静に見ていきたいものですね.
ところで,今回収集したツイートの中で一番拡散したツイートはクラスタCに含まれるこちらのツイートでした.
やっぱ日本のツイッターはこうでなくっちゃ!