確定申告しなくて大丈夫? 2023年、節税漏れや申告漏れに注意すべき人とは
今年も確定申告が始まりました。申告すれば節税になるのに気が付いていなかったり、自分は関係ないと思ったりしていませんか?
確定申告は、会社員の場合、通常は、給与収入が2000万円を超える、医療費控除など年末調整ではできない所得控除をしたい、住宅ローン控除の1年目などに行います。ただし、これら以外でも、2023年は確定申告をした方がいい人や、申告時に注意が必要な人もいます。
2022年にiDeCoに加入した人は注意
2022年に確定拠出年金の制度改正が行われました。
・5月から、加入年齢が、企業型は70歳まで、個人型(以降はiDeCoと記載)は65歳までと長くなりました。
・10月から、会社員が企業型とiDeCoを併用しやすくなりました。企業型の規約に関わらずiDeCoに入れるようになったのです。
そのためか2022年にiDeCoに加入した会社員は、特に10月以降は前年よりも増えています(国民年金基金連合会「iDeCoの加入等の概況」より)。
iDeCoには、①掛金を全額所得控除することで現役時代の所得税・住民税を節税できる、②運用収益が非課税、③受取時も税制優遇がある、という3つのメリットがありますが、①のメリットは掛金を所得控除する申告をしないと得られません。
初回掛金の払込み時期によっては確定申告が必要
会社員の場合は勤務先の年末調整でできますが、その際には掛金を払い込んだ証明書(小規模企業共済等掛金払込証明書、以後は証明書と記載、発行は国民年金基金連合会)を添付する必要があります。ところが、この証明書の発行スケジュールは次のようになっています。
・掛金の払込み実績が9月までにあれば、9月までの払込み実績と10月から12月の払込み予定額を記載して10月末に発行
・初回掛金の払込み実績が、その年の10月から12月までにある場合は、その年の払込み実績と12月までの払い込み予定額を記載して11月末から翌年1月末までに発行
(上記はいずれも掛金を毎月定額にした場合)
つまり、10月以降の払込み実績の場合は、勤務先の年末調整に間に合わないケースがでてきます。今年に入ってから証明書を受け取った人もいることでしょう。その場合は、自分で確定申告をしないと、①の掛金を所得控除することによる節税ができません。
また、企業型とiDeCoの両方に加入している人は、企業型は自分で申告する必要がないため、うっかりiDeCoの申告を忘れてしまうケースもあるようです。iDeCoは年末調整または確定申告での申告が必要です。年末調整で申告を忘れた場合も確定申告をすれば節税になります。
購入した住宅の契約が2021年9月または11月までの人は注意
住宅ローンを利用して住宅を購入した人は、条件を満たせば住宅ローン控除が適用になり、所得税を節税できます(所得税だけでは控除額を引ききれなかった場合は住民税からも控除できます)。
税額控除(控除額の税金を還付)のため、効果が大きいのが住宅ローン控除です。
1年目は確定申告を行い、会社員なら2年目以降は年末調整で手続きできます。つまり、住宅を買って2022年末までに入居した人は、2023年に確定申告が必要です。
住宅ローン控除は、税制改正により2022年の入居から限度額と控除率が変更になりました。特に、控除率は年末残高の1%(2021年末までの入居が対象)から0.7%(2022年から2025年までの入居が対象)に下がりました。ただし、次の人は改正前の住宅ローン控除が適用され、控除率は1%です。
・2022年の入居であっても、消費税率10%の住宅で、新築の注文住宅なら2021年9月までに契約、分譲住宅や中古住宅なら2021年11月までに契約した場合
経済対策としてコロナ特例が延長され、「(特例)特別特例取得」に該当するからです。
改正前の控除率の方が1%と高いので、住宅ローン残高が同じなら還付される税金も多くなり(ただし上限あり)有利です。住宅ローン控除をする人は契約時期を確認しましょう。
副業収入の申告漏れに注意
副業をする人が増えているようです。ちゃんと申告しないと、本来の税金よりも高くなるペナルティを受けるかもしれないのが、副業収入がある人です。
会社員が本業の給与所得以外に収入があった場合、申告が必要になる境界線は20万円。
業務委託などの副業収入から経費を差引後の所得が年間で20万円を超えるなら確定申告が必要です。ベビーシッターや家庭教師による所得、原稿料や講演料など。こういった所得は、以前は区分があいまいでしたが、所得税通達により雑所得の中の「業務」に区分されることになりました。業務にかかる雑所得として確定申告を行います。
ネットオークションやフリーマーケットなどを利用した個人間取引であっても、自分が生活に使っていたものではなく、利益を目的として取引をした場合は、業務にかかる雑所得にあたり、収入から経費を差し引いた後の所得が20万円を超えているならやはり確定申告が必要です。
雑所得は、「公的年金等」、「業務」、「その他」に区分され、暗号資産の取引による利益は「その他」に該当します。利益が1年間で20万円を超えたら確定申告が必要になります。
一方、競馬等のギャンブルの利益は、雑所得ではなく一時所得です。他の一時所得(生命保険の満期金など)と合わせて年間で50万円を超えたら確定申告が必要です。
中には、副業収入を給与でもらうケースもあるでしょう。2か所以上から給与をもらったなら、副業の給与は年末調整されていないはずです。その給与が20万円以上、または給与以外のほかの所得と合計すると20万円以上になるなら、やはり確定申告が必要です。
申告漏れが発覚してペナルティを受けることがないよう、自分は確定申告しなくても大丈夫なのか、今一度、確認を。