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【オートバイのあれこれ】200km/h出る50cc!? 幻のゼロハンレーサー!

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。

今日は「200km/h出る50cc!? 幻のゼロハンレーサー!」をテーマにお話ししようと思います。

ヤマハはかつて、50ccのグランプリレーサーを開発していたことを知っているでしょうか。

その名も『RF302』。

▲当時開催されていたWGPの50ccクラスへの参戦へ向け作られたRF302
▲当時開催されていたWGPの50ccクラスへの参戦へ向け作られたRF302

RF302は、ヤマハが1969年シーズンからWGP(世界グランプリ)の50ccクラスへ投入することを目標に開発したマシンです。

ただ、このRF302は結局、一度も実戦でスターティンググリッドに並ぶことはありませんでした。

というのも、’69年からWGPの車両規定が大きく改定されることになり、これを機にヤマハがワークス体制でのGP参戦を取り止めたからです。

RF302自体は’69年からの新レギュレーションに則した仕様となっていましたが、その他のクラス(250ccや350cc等)のマシンが’69年シーズン以降使えなくなることが判明し、ヤマハは’68年シーズンをもってWGPから完全撤退することに決めたのでした。

RF302は準備万端だったにもかかわらず、こうした事情から結局、一度も日の目を見ることなくお蔵入りとなってしまったというわけです。

記事タイトルに入れた「幻の」というワードの意味がご理解いただけたでしょうか。

▲ヤマハ初のGP50マシンとして完成したものの、結局一度も実戦投入されることはなかった
▲ヤマハ初のGP50マシンとして完成したものの、結局一度も実戦投入されることはなかった

私は以前、このRF302の実車を見る機会があったのですが、そのスリムすぎるボディに驚愕してしまいました。

シートの幅が、なんと10~15cmほどしかないのです。

▲RF302のシート。成人男性の手のひらに収まるくらいの幅しかない
▲RF302のシート。成人男性の手のひらに収まるくらいの幅しかない


成人男性は言うまでもなく、女性でもこのシート幅にお尻が収まりきることはないはずです。

燃料タンクやタイヤも同様で、特にタイヤは「ママチャリ用のタイヤ」と言われても違和感が無いくらいの細さとなっていました。

50ccの単気筒エンジンは小さくフレームも狭く作れるので、空気抵抗削減のために極限まで車体のコンパクト化を図った結果、こういう車体になったのでしょう。

▲ホイールもかなり細く、サイズだけで言えば自転車用のタイヤも装着できそうに思えてしまう
▲ホイールもかなり細く、サイズだけで言えば自転車用のタイヤも装着できそうに思えてしまう

ちなみにRF302のパワーは17psで、トップスピードは170km/h以上とのこと。

いくらレーシングマシンとはいえ、50ccのエンジンで200km/h近いスピードが出るとは…恐ろしいですね。

車体もかなり軽いでしょうから、RF302で170km/hも出すと、一般ライダーのウデだと操りきれずにどこかへ飛んでいってしまいそうな気がします。

その華奢な佇まいに加え、今から半世紀以上も前の時代に170km/hもの速度で走れる50ccのバイクがあったという事実に、ビックリしきりの私なのでした。

画像引用元:ヤマハ発動機

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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