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長野パルセイロ・レディースのホーム、南長野でINAC神戸レオネッサは昨年の悪夢を払拭できるか。(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
力強いプレーを持ち味とするINACの高瀬愛実(開幕戦)(写真:アフロスポーツ)

なでしこリーグは、5/3(水)に、第6節が行われた。 今節の注目カード、AC長野パルセイロ・レディースとINAC神戸レオネッサの一戦は、1-1の引き分けとなった。

長野パルセイロ・レディースのホーム、南長野でINAC神戸レオネッサは昨年の悪夢を払拭できるか。(1)

以下、試合後の監督・選手コメント。

【監督・選手コメント】

本田美登里監督(長野)

ーー今日の試合にはどのようなプランで臨んだのでしょうか?

前節の日テレ(・ベレーザ)戦と比べても、さらにスピードとパワーアップしたのがINACだと選手に伝えていました。日テレ戦のような入り方をしていたら前半15分までに失点すると思っていたので、とにかく15分は相手のパワーとスピードに慣れようと伝えました。その通りに、(失点するまでの)41分間はやってくれたと思います。

ーー今シーズン、取り組んでいるサイド攻撃についてはいかがでしたか?

クロスの質や、ゴール前に入るところはまだまだです。(クロスに対して)中に入る選手が泊と横山だけだと身長的にも低いですし、そこに齊藤あたりが絡んでこられると良いのですが、まだまだ全体的に役不足かなという感じがあります。

ーー終盤、横山(久美)選手のドリブル突破からのシュートで会場が沸いた場面はどのようにご覧になりましたか?

今日、4,200人の皆さんはあのシーンを見に来てくださったと思います。前半は相手も良い守備をしていたので(同じような形の攻撃が)できなかったのですが、相手も残り15分間で点を取りに来た分、お互いにバランスが崩れた状態でした。(ボランチの)國澤がど真ん中でボールを受ける分、プレッシャーも大きくて(前の試合は)ミスパスもあったのですが、「ミスしても良いから、勇気を持ってボールを横山に入れてほしい」と話していました。日テレ戦よりも國澤から横山に入るボールが多かったことも、そのチャンスにつながったと思います。

ーー昨年に比べると、強豪チーム相手にも球際で競り勝つ場面が多くなったように感じますが、手応えはいかがですか?

下手くそなチームなので、球際は上手い、下手は関係なく気持ちの部分も大きいですし、それぐらいはやってほしいなと思っています。ただ、今シーズンは腰が引けずにやれるようになったと思います。

ーーチームとして、今後をどのように戦おうと考えていらっしゃいますか?

横山が(移籍して)いなくなることもありますが、今シーズンやろうとしている、ブロックを作って守ること、打ち合いではなくて確実に(勝ちに)いくというところは、これからも継続していきます。良い守備から良い攻撃をするというところは、トップの男子と同じような形を目指しています。

DF 坂本理保(長野/キャプテン)

ーー試合を振り返っていかがですか?

昨年に比べると、「1-1」とか「1-0」という、1点、2点差のサッカーらしいスコアになってきたことは、自分たちが勢いだけではなくて、しっかり組み立ててサッカーをしていることや、守備も良くなってきた手応えが結果に表れていると思います。

ーー横山選手の移籍についてはどのように感じていますか?

チームにとっては痛いですが、横山自身、ここ(長野)では背負っているものが大きいことは本人も自覚していると思います。なでしこジャパンでもあれだけできるということは、自分たちにとっても誇らしいことですし、他のチームでも成長できると思います。一人の選手として尊敬していますし、海外でプレーして、もっともっと成長して帰ってきてほしいですね。

DF 木下栞(長野)

ーーこの試合は、センターバックとしてどのようなことを意識していましたか?

INACもベレーザと同じで出入り(ポジションチェンジ)があるチームですが、前回、大敗(2016年10月8日第16節 ●0-5)した時にマンツーマンで守備をしてスペースを空けてしまったので、この試合ではしっかりゾーンで守ることを意識しました。(攻撃陣が)先制してくれた分、守備陣としてはゼロに抑えたかったという気持ちが大きいですが、負けなかったことをプラスに捉えて次の試合につなげていきたいです。

ーーINACのポジションチェンジに対して、中盤ではどのようなことに気をつけていましたか?

(センターバックの)自分と坂本(理保)と、(ダブルボランチの)國澤(志乃)と齊藤(あかね)の4枚が動きすぎないようにして、中盤のスペースを空けないように考えながらプレーしていました。

ーー今シーズンは守備のやり方も昨シーズンとは違いますが、その中で、個人的にはどのような面を成長させていきたいですか?

去年は、自分のところで裏(へのパス)一本でやられるシーンが何回かあったので、そこは絶対にやらせないことを今シーズンは意識しています。裏の(スペースの)ケアと、足元でボールを奪うところをしっかりと使い分けていきたいですし、 スピードがない分、常に予測を大切にしているので、引き続き高めていきたいと思っています。

ーー横山選手の移籍の話を聞いて、どのように感じましたか?

いなくなってしまうことは大きいですが、代表で(横山選手が)いない試合も何回かありました。(長野の)チームの良さは、みんなで頑張って戦えるところなので、一人ひとりが自覚を持ってやれば、抜けてしまう穴はしっかり埋められるのではないかな、と思います。

FW 泊志穂(長野)

ーー試合を振り返って、いかがですか?

INACはパワーとスピードがあって、嫌な相手というイメージだったのですが、(試合開始から)15分間でしっかり守って慣れようと試合前に(監督から)言われていたことはできたと思います。(INACは)あまり、ボールにガツガツくる感じではなくて、(長野の)縦パスが入った時に下がってくれていたので、ボールを持てる時間があったのですが、その時間帯に追加点を獲れていたら(結果は)違ったと思います。

ーーファーストディフェンダーとして、どのような意識で守備をしていますか?

後ろのラインが下がってしまった中で私たち(FW)が行ってしまうと間延びしてしまうので、後ろの(選手の)指示を聞きながら(プレッシャーをかけに)いくことを意識しています。相手のボランチが中盤まで下りて来る時は、私たち(FW)がそのスペースを閉めて、ボールを(中盤に)入れさせないように意識しています。

ーー横山選手の移籍の話を聞いて、どのように感じましたか?

(湯郷から)移籍して来てからずっと久美と(2トップを)組んでいて、阿吽の呼吸もあって活かしてもらえるパートナーだったので、(抜けてしまうことに)不安もありますし、もっと自分ができることを増やさなければいけないという危機感もあります。久美がいなくなったから弱くなったと言われないように、久美がいる間にもっと自分ができることを増やして個人としても力をつけたいですし、みんなで久美の穴を埋められるようにしたいです。久美には向こう(ドイツ)で頑張ってきてほしいですね。

ーー具体的に、個人と、チームとして、どのようなことが必要になると思いますか?

(今までは)久美に頼っていた部分があるので、一人ひとりがより自覚を持つことが大切だと思いますし、私はもっとゴールを目指さなければいけないと思います。久美のような決定力が求められると思いますし、さらに自分が力をつけたいという気持ちが強くなりました。

ーー今シーズンの目標を教えてください。

今シーズンは10得点することを目標にしているので、もっとゴールに向かうプレーを増やして、(パスを受けて)振り向いた時にパスコースを探すのではなくて、自分でシュートをするという選択肢を使えるようになりたいです。

MF 國澤志乃(長野)

ーー試合を振り返って、中盤のバランスはいかがでしたか?

中盤まで(ポジションが)落ちてきた増矢選手に対して、自分と齊藤(あかね)でもっとコースを切れたら良かったのですが、前半はそこで前を向かれてドリブルで運ばれる場面もあったので、後半はさらに意識して中盤を閉じていこうと話していました。(中のスペースを閉める分、)自分たちが下がってしまい、パスを回される場面は多かったのですが、崩されても最後の最後で体を張って止められたと思います。

ーー上位との連戦を引き分けたことについてはいかがですか?

手応えもありますが、2試合とも先制して勝ちきれなかった悔しさの方が大きいです。今回の失点の場面も崩されてはいたのですが、今後は防げる失点だと思います。

ーー4,000人を超える観客の前でのプレーしたことについてはいかがですか?

今回も、前回の試合と同じで体はしんどかったのですが、お客さんの拍手が聞こえましたし、最後まで自分たちが走りきる上で、皆さんの応援が原動力になっていました。

MF 野口彩佳(長野)

ーーご自身が絡んだ得点シーン(記録上はINACのオウンゴール)を振り返って、いかがですか?

(相手の)オウンゴールという形だったのですが、古巣なので、気持ちの入り方もやっぱり違いました。先制点を獲れて良かったです。 得点も狙っていたのですが、追加点を決めきれなかったのは悔しいですね。 まだ、スピードやタイミングで相手を外しきれていない部分が多いと感じています。

ーー今シーズン加入して、試合に出続ける中で、自分のどのような良さを試合で出せるようになったと感じますか?

簡単に(ボールを)叩(はた)いてスペースに走るという形が多いですね。INACでプレーしていた時よりも選手同士の距離が遠いので、味方の位置をしっかり見ながら良いスペースを見つけることを意識するようにしています。

ーー守備面はいかがですか?

守備は課題が多いです。(自陣に)引いた時のアプローチの強さや、どこのコースを切るかということは、サイドバックの選手も代わる中で、まだ後ろの選手とのコミュニケーションが足りないと感じています。

ーーベレーザとINACの上位2チームに引き分けたことについてはいかがですか?

2試合とも先制していたので、我慢すれば勝ちきれた試合だと思いますし、本当にもったいないと思います。負けなかったことは良い方向に捉えたいです。

ーー今後、どのような目標を掲げてプレーしていきたいですか?

まずはコンスタントに試合に絡めるようにしながら得点も狙っていきたいですし、チームにとってプラスになるようなハードワークをしていきたいです。

MF 高瀬愛実(INAC/キャプテン)

ーー90分間を振り返って、いかがですか?

入りは悪くなかったと思うのですが、予期せぬ形で失点してしまって、そこから焦って裏(のスペースを狙う形)ばかりになってしまったのはもったいなかったです。周りのチームの結果も気になりますけれど、今は自分たちのことに集中して、優勝するためにも1試合1試合やらなければいけない、という意識が強いので、今日の試合で引き分けてしまったことは本当にもったいないと感じています。

ーー今シーズンは、得点に絡む場面よりも、ゲームを作る場面が多いと感じますが、いかがですか?

そうですね。できればゴールに絡みたいとはずっと思っているのですが、右(サイドハーフ)では、FWをやっている時よりもボールを動かすことを大事にする時間が多くなりました。

ーー遠目からシュートを狙う場面もありましたね。

シュート範囲の広さは今までの自分の良さだったと思うので、それがなくなってしまうのはもったいないと思っています。もっとガツガツ(積極的に)いってシュートを決めたいと、最近、強く感じています。

ーー攻撃面の課題はどのようなことだと感じますか?

バイタルエリアまで運べましたが、そこからゴールまでのアイデアやシュートの力強さは課題です。ただ、個人的には、自分がこの個性の強いチームの中で何ができるかを考えたら、アイデアや技術でもない、やはり力強さだなと、ここ数試合の中で感じています。積極的にシュートを打つようにしていますが、ゴールが獲れないことは課題ですね。

FW 増矢理花(INAC)

ーー前線で、どのような変化をつけようと意識してプレーしていましたか?

バイタルエリアが空くから狙おうということは、試合前から話していました。そこでターンをして、起点になって攻撃のバリエーションを出せたらよかったのですが、バイタルエリアでボールを受けても、なかなか良い攻撃に繋がらなかったですね。

ーーゴールへの意識はいかがですか?

(ゴールを決めるためには)もっと高い位置でプレーしたいのですが、中盤まで(ポジションが)降りることが結構、あります。しの(大野忍)さんが裏に(相手DFを)引っ張ってくれていて、空いたスペースで(ボールを)受けられるのですが、自分も裏に抜ける場面を増やせるようになればいいなと思います。

ーー守備面はいかがですか?

FWもしっかり、後ろのプレスバックをしたり、セカンドボールを拾ったり、攻撃だけではなくて、もっと守備もやらなければいけないなと思います。 今後は一戦も落とせないと思うので、自分はチームにゴールで貢献したいです。

MF 杉田妃和(INAC)

ーー試合開始時は左サイドハーフで出場しましたが、どのような意識でプレーしていましたか?

ポジションはサイドでも、内側でプレーすることは意識しています。監督からも言われていたのですが、そこから斜めに入って、ゴールに近い場所でプレーすることを意識していました。ただ、なかなか高い位置でボールを受けるシーンを作れなかったことが課題です。

ーー杉田選手がボールを持った際に対峙する選手が引く場面が多かったですが、どのようなことを意識していましたか?

自分でシュートに持っていくことや、うまく(増矢)理花さんとかしの(大野忍)さんが間に入って足下のパスを受けてくれたので、そこをしっかり顔を上げて見てパスを入れられるようにすることは意識していました。

(ゴールを)決められるシーンがいくつもあったし、自分自身、決める自信もあったので、決定力を上げてチャンスをモノにしていかなければいけないと感じますね。

ーー去年に比べて、自分のプレーの変化をどのように感じますか?

自分でやろうと思うプレーは少しずつ形にできるようになってきたのですが、周りとの連携を考えた時に、うまく連携したり、コミュニケーションが取れたプレーをするためにはもっと練習が必要ですね。

狙いは合っていても結果的にパスが合わない場面では、自分が合わせなければいけない部分もあるし、もっと早く(味方を)見ていれば出せるタイミングがあるので。準備のところはもっと質を上げていきたいです。

ーー自分のアイデアに対して、周りが反応してくれるようになった手応えもありますか?

そうですね。分かってもらっているなと思える場面も増えました。前の試合(4/29、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦)も、高瀬選手から「妃和の狙いと(自分の狙いが)合っていたよ」と言ってもらえて、すごく嬉しかったです。

MF 福田ゆい(INAC)

ーー限られた出場時間の中で、どのようなことを意識してプレーしましたか?

前回出場したアルビ(アルビレックス新潟レディース)戦(4/22)でも、負けている場面で、残り10分間で得点に絡めるようなプレーをしてほしい、と監督から言われたにも関わらず、ミスで終わってしまってすごく悔しい思いをしたので、もし今日の試合で出る機会があれば、攻撃に関わって、しっかり勝ちにつなげたいと思っていました。シュートも打ったのですが、質が悪かったです。ディフェンスの面でも守備陣に迷惑をかけてしまったと思うので、次はしっかり、チームに貢献できるようにしたいと思いました。

ーー今シーズン、1部リーグで初めてプレーする中で、手応えも得ているのではないですか?

通用することもあるのですが、レベルが高い分、通用しないことが多いと感じています。もっと自分の質を高めてプレーの幅を広げていけたら、良い選手になれると思います。

ーー目標とする選手や、イメージはありますか?

身近に(杉田)妃和さんとか(中島)依美さんなど、目標とする選手が多くいるので、練習から良いところを盗んでちょっとでも近付いて、チームに必要とされる選手になりたいです。

ーー具体的な目標はありますか?

ゴールはもちろんなのですが、アシストだったり、アシストのアシストだったり、得点に絡むことが自分の持ち味です。出場時間が短くてもそういうシーンを多く出していきたいです。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のWEリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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