門松は”竹の向き”で意味が変わる? よーく見るとハの字と逆ハの字がある!【松や竹が表す意味も解説】
お正月、いかがお過ごしですか? 初詣や新春初売りなどに出かけたり、新年の特番を見ながらお雑煮やお節料理を食べたり。普段とは違うおめでたい空気に包まれていますね。
この時期は、神社やお店、商業施設など、いろいろな場所で門松が飾られています。さて、この門松、使用されている松や竹には縁起をかつぐ意味があます。また、竹の向きによっても意味が違うのをご存知でしたか? 今回は、門松に使用されている植物や、並べ方向きの意味について、元テレビ局芸能記者で現フリー記者のコティマムが解説します。(構成・文=コティマム)
正月花材の松や竹、”永遠”や”生命力”の象徴
そもそも門松は、“心霊が寄り付くもの=依り代(よりしろ)”として、「神様が降りてくる目印」として立てられます。お正月は『天の上にいる“年神様”(新しい年を司り、一年の福徳や幸せをもたらす神様)が、それぞれの家の幸せのために降りてくる』ため、部屋を掃除し、年神様をお迎えするための目印として門松を立てるのです。
門松に使われる植物は松や竹などです。どれも”正月花材”として使われています。松は常緑樹で緑色を一年中楽しめるため、永遠や長寿の象徴とされています。若松、五葉松、根引き松、三光松、寿松などさまざまな種類があります。風雪に耐えていっぱい育ち、長く育つと風格が出て荘厳かつ威厳を保つことから、”神様が降りてくる植物”として選ばれます。
また竹は高く長く伸び、しなやかに育つため、生命力や長寿、繁栄、未来への希望などを表します。タケノコもたくさんできるため、子孫繁栄などの意味もあります。
「悪いものを外に出す」か「福を中に呼び込む」か
門松は、竹の長さや向きによって、意味が変わってきます。たとえば上記の写真は、竹の1番長い部分が内側にきています。2番目に長い竹が外側にあることから、下記の写真のように流れが『ハの字』に見えますよね。
この『ハの字』になる並べ方を『内高』といい、”内側から何かを外に出す”という印象を与えます。つまり、内側から「悪いものを出す、悪いものを寄せつけない」「災いを外に出す、災いが入ってくるのを防ぐ」という意味で置かれます。そのため、「家の中から悪いものを出したい、家の中に悪いものを入れない」ということから、多くの一般の家庭などでは『ハの字・内高』で置かれます。
一方、こちらのように、1番背の高い竹が外側にあり、2番目に高い竹と並ぶと矢印が内側に向くのが、『逆ハの字』の『外高』です。
上記の写真のように、1番高い竹が外に向かっている『逆ハの字・外高』は、「外から内に引き込む」という印象を与えます。そのため「福を中に呼び込む」ということで、商業施設などではお客さんを呼び込むために、『逆ハの字・外高』で並べてあるのを目にします。もちろん、2番目と3番目の高さが同じノーマルなものよく見かけます(こちらは1つだけ飾られていることもありますね)。
関西では『寸胴』タイプも 『そぎ』の始まりは徳川家康がきっかけ?
また関西では、竹が斜めに切られていない、水平カットの門松もあります。
これは『寸胴』といい、竹の節が詰まっているように見えることから、お金が貯まりやすいという意味が込められています。2025年は巳年で”金運の年”と言われているので、ぴったりな門松かもしれません。お金を扱う銀行やデパートなどでは、『寸胴』タイプの門松が飾られることがあるようです。
ちなみに、関東でよく見られる斜めに切られたものを『そぎ』といい、この『そぎ』は「江戸時代に徳川家康が始めた」という説があります。徳川家康が静岡の「三方ヶ原の戦い」で負けた武田信玄への復讐(ふくしゅう)と戒めのために、3本の竹(=武)を信玄の首に見立て、竹(武)の頭を斜めにそぎ落としたのが始まりだと言われています。
お正月シーズンに何げなく見ている門松も、よく見ると置き方や由来に意味があったらのですね。街中で門松を見かけたら、向きをチェックしてみてくださいね。
※お正月飾りの植物や色にも、さまざまな意味がこめられています!詳しくはこちらの記事から→お正月飾りを自分で作ってみた! 松や南天にこめられた意味やお正月に使う色は?【26日から飾ろう!】
※大晦日の『晦』についてはこちら:大晦日の『晦』の意味は? 実は『みそじ』の”みそ”と同じだった?
※元旦の『旦』の意味についてはこちら:元旦はなぜ朝を表す?『旦』の意味を知れば納得!