クリスマスプレゼントをシェアする“継承クリスマス”とは? ママ社員が8割を超える企業の取り組み
メリークリスマス! 今日12月25日はクリスマスですね。サンタさんからプレゼントをもらって喜んでいるお子さんもたくさんいると思います。サンタさん以外にも、おじいちゃんやおばあちゃんからプレゼントを受け取った子もいるかもしれません。
とはいえこの物価高。さまざまなものが値上がりしている中で、プレゼントの出費も懐を直撃しますよね。
クリスマスに先駆け、スキンケア・ヘアケア商品を手がける株式会社ランクアップでは、“継承クリスマス”を実施しました。”継承クリスマス”とは一体どんなものなのでしょうか?
今回は、元テレビ局芸能記者で現・フリー記者のコティマムが、ランクアップの”継承クリスマス”を取材。その内容や取り組みについてお聞きしました(取材・文=コティマム)
ブラック企業を経験した女性経営者が立ち上げた子育て世代に優しい会社
ラックアップは、温感クレンジング『マナラホットクレンジングゲル マッサージプラス』など、マナラ化粧品を始めとしたスキンケアやヘアケア商品を手がけています。代表取締役・岩崎裕美子氏は、もともと”ブラック”な働き方をしていた広告代理店出身。長時間労働で「夜中まで働けない人はいらない」という世界で勤務する中で、「仕事は好きだけど、このまま長時間労働ではやっていけない」と感じ、独立。副社長の日高由紀子氏と2人でランクアップを立ち上げました。
長時間労働を経験した岩崎氏と日高氏が描いたのは、「女性が一生活躍できる、長時間労働しなくていい会社」。子どもが急に熱を出した時に1日約2万円のシッター費用を会社が全額負担する『病児シッター使い放題制度』や、子どもの病欠で通常勤務が難しい際に朝5時から22時内で自由に勤務できる『スーパーフレックス制度』、子どもの長期休暇などで預け先がない社員のために子どもを連れての出社が可能な『子連れ出勤制度』など、子育て世代が働きやすい環境を整備してきました。
その他にも、社内資料はパワーポイントではなくワード1枚にまとめるようにし、「作り込む時間」を削減。文章作成はAIを導入し、入力作業や事務作業もシステムを構築。負担の軽減を徹底しています。また社内には毎月残業ランキングがあり、残業が続く場合はアウトソーシングや人材の採用など、改善点を模索して解決策を講じています。岩崎氏は「残業は見過ごすとずっとやってしまうので、一瞬でブラック企業に戻ってしまいます。だから改善すべき点があるなら解決しないといけない」と語ります。
こうした独自の福利厚生や取り組みで、現在約100人の社員のうちママは80人。社員の子どもの数は60人を超えています。育休・産休からの復職率は100%。13年・16年の『東京ライフ・ワーク・バランス認定企業』としても表彰されているのです。
社員同士でクリスマスプレゼントを”継承” 過去最高の物価高にうれしい企画
そんな、子育て世代の働きやすさを整えているランクアップで2023年から行われいるのが、”継承クリスマス”です。子育て世代の社員たちが、もう使わなくったクリスマスプレゼントを持ちより、シェアできるのです。社内の会議室にはクリスマスツリーやバルーンが飾られ、おもちゃや洋服、靴などが机いっぱいにズラリと並べられます。ほとんど乗っていない新品のような自転車や、積み木、ゲーム、車や列車のおもちゃ、お菓子などが並び、子どもたちは好きなものを好きなだけ持って帰れるのです。
さらにおもちゃだけでなく、子ども用の服や靴も”継承”しています。学校などの日程により、60人以上いる子どもたち全員が参加できるわけではないので、子どもを連れて来られなかったママやパパたちも子どものためにおもちゃや服を選んで持ち帰ることができます。
「この時期、小学生は午前中はまだ学校なので、会社には赤ちゃんや幼児しか来られません。そのため午前中が“子どもの部”で、先に子どもたちにおもちゃを選んでもらいます。子どもと一緒に参加できない社員は、午後から自分で子どものおもちゃや服を選んで帰ります。60人以上子どもがいるので全員は会社に来られないので、親が選んで持ち帰ることができます」と、子連れで出社できない社員たちにも配慮している。
岩崎氏によると、これまでも社員の子どもたちが着た洋服などを他の人に渡す“お下がり”はあったそう。「そこから洋服だけでなく、『クリスマスの時期におもちゃをプレゼントできたらいいね』となりました」と、クリスマスプレゼントの継承につながったといいます。
「おもちゃは年齢で遊ぶものが変わるため、どんどん廃棄されます。誰かにあげたくても、男の子用や女の子用だったり、周りにあげる人がいないこともありますよね。会社に持ってくればシェアできて、うれしい発見がある。社員たちも自分の子どもが大きくなって遊ばなくなった時にまた会社に持って来て、次の世代に渡せますし、そのためにきれいに使いたくなります。SDGsとしても、こんないいことはないですよね」(岩崎氏)
買ってもすぐに使わなくなるおもちゃや、サイズアウトしたお洋服。会社に持ち合ってシェアできれば再利用できて、子どもたちも親もハッピーになれますね。
ちなみに、24年10月7日に明治安田生命が発表した「子育てに関するアンケート調査」によると、子育てにかかる費用の月額平均は4万1320円。前年の4万133円から1187円増加となり、調査以来、過去最高値を記録しています。さらに株式会社ファミリーマートが同年10月に実施した「クリスマスに関する意識調査」では、「昨年と比べて、今年のクリスマスで使う金額には物価高の影響があると思うか」という質問に全体の68%が「影響がある」と回答しています。その影響として、「クリスマスプレゼントにかけるお金を節約する」という傾向もあり、クリスマスも節約志向となっているようです。
過去最高の物価高の中で、クリスマスプレゼントをシェアできる”継承クリスマス”。取材を通して、「いろいろな企業で導入されればいいな」と感じたのでした。
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