お正月飾りを自分で作ってみた! 松や南天にこめられた意味やお正月に使う色は?【26日から飾ろう!】
クリスマスも終わり、あっという間にお正月モードです。12月26日からは、街もお店の装飾も、一瞬でお正月飾りに変ります。筆者の自宅も今朝、お正月飾りを玄関にかけたところです。
ちなみにこのお正月飾りは、筆者が自分で作りました! お正月飾りに使われる植物には縁起をかついだ習わしがあることをご存知ですか?
今回は、元テレビ局芸能記者で現・フリー記者のコティマムが、一般社団法人JFTDが運営する『JFTD学園日本フラワーカレッジ』の“お正月飾り作り”に参加。学生さんと一緒に実際にお正月飾りを作りながら、お正月に向けた風習や植物にこめられた意味を教わりました。お正月飾りを選ぶ際の参考にしてくださいね。(取材・文=コティマム)
お正月ってどんな風習? しめ縄に飾られるユズリハやダイダイの意味は?
一般社団法人JFTDは、日本国内で生花の通信配達を目的として設立された法人です。1984年には生花通信配達システムを『花キューピット』と名づけました。1991年に花き業界の未来を担うフローリストの後継者育成を目指し、『JFTD学園日本フラワーカレッジ』を開校。2021年に創立30周年を迎え、現在までに約1600人が卒業しています。
今回筆者は、『JFTD学園日本フラワーカレッジ』の授業に伺い、約40人の学生さんと一緒にお正月飾りを作りました。
実際にお正月飾りを制作する前に、お正月を迎える準備の流れや、飾りに使われている植物にこめられた縁起の意味などを学びます。もともとお正月というのは、「お正月で全員が1歳年をとる」ことから、「総出でお祝いする」という風習です。
天の上にいる“年神様”(新しい年を司り、一年の福徳や幸せをもたらす神様)が、それぞれの家の幸せのために降りてくるため、年神様をお迎えするために部屋を片付け清掃し、「我が家はここですよ」とお迎えするのです。12月中旬頃からお正月を迎えるまでの流れは、以下のようになります。
◎お正月までの流れ◎
12月13日:事始め(大掃除、煤払い)
12月21日頃:冬至 ※年によって違う
12月17日:歳の市
12月25日:年神様に備える餅つきが始まる
12月26日:正月飾りの準備
(26、27、28、30日に飾る)
12月29日:苦立て、二十苦
(この日は神様を迎えるためのことはしない。門松やお正月飾りを飾らない)
12月31日:大晦日
(一夜飾りになるためお正月飾りはこの日に飾らない)
ちょうど今日12月26日は、お正月飾りを準備したり飾ったりするのに適しています。新しい年を迎えるため、門松やお正月用のアドリース、小さめのアレンジメントに、正月らしい水引や羽子板、羽根、獅子、だるまなどのオーナメントをつけるのもいいとされています。
お正月飾りは地域によって形も違います。お米を作った“稲わら”で作る地域もあれば、昆布や干し柿、イセエビなどを飾る地域もあるそうです。また、由緒あるところでは鏡餅も大きいとのこと。しめ飾りに使われる縁起物にも、それぞれ意味があります。
・ユズリハ:子孫繁栄
・ダイダイ(橙):家庭隆盛
・注連縄(しめ縄):神様が宿る印
・ウラジロ(裏代):清廉潔白、不老長寿
・紙垂(しで):真聖な場所を示す
・藁(わら):不浄を祓う
しめ縄は人間の吐く息がかからないように(不浄なものがかからないように)、高い位置に飾ります。しめ縄は通常太い方を右向き、神様から見て左にくるようにします。
松や南天、水引など縁起の良いものをひとつにまとめたお正月飾り【実際に作ってみた!】
筆者も実際にしめ縄を使ってお正月飾りを作ってみました。使用した材料は下記になります。
◎お正月飾り 材料◎
・若松 1本(生花)
・南天の実 1本(生花)
・光水引(金、銀) 各15本
・ちりめん春ピック 2本
(ワイヤーに飾りの玉がついているもの)
・椿の造花 2本
・ワイヤー
使用している松は“正月花材”のひとつで、縁起ものとされています。常緑樹で緑色を一年中楽しめるため、永遠や長寿の象徴とされています。若松、五葉松、根引き松、三光松、寿松などさまざまな種類があり、形の違いやデザインで使い分けます。
根引き松は根がついたままの姿をしていることから、「地に足がつくように」「成長し続けるように」という意味もあり、月の始めの日(子の日)に根っこを引いた松を飾ることで無病息災を願うともされています(今回は若松を使っています)。
一般的に“正月花材”といわれるものには、松・竹・梅、千両、万両、南天などがあります。千両、万両、南天は、見た目は同じ赤い小さな実ですが、それぞれ実の付き方が違います。
◎花材が持つ意味◎
・松:永遠や長寿の象徴
・竹:生命の象徴、未来への希望(成長が早く真っ直ぐ伸びる)、
子孫繁栄(成長の速さ)
・梅:病気を退き長寿を願う(冬の間に他の花よりも早く咲き、生命力がある)
・千両:子孫繁栄、商売繁盛(一本の枝からたくさんの実がなる)
・万両:お金が増える、商売繁盛(葉の下に2つセットで垂れ下がるように実が付く)
・南天:難を転ずる、厄災を除く(幹の先端に房状に実が付く)
またお正月の色には赤、白、金、銀、緑などが用いられ、それぞれに意味があります。
・赤:太陽、火
・白:高潔、無垢
(神様を迎えるためのもの)
・金、銀:金銀財宝、光、絹、商売繁盛
・緑:常緑樹、松の葉 平和
こうした縁起や意味をふまえた材料や色がお正月飾りに使われます。筆者も講師の方に手伝っていただきながら、早速作ってみました。
まず、どの位置に何を置くかをイメージしながら、準備していきます。そして金と銀の水引を円状にしていくのですが……。
この時点ですでに難しい! 細い水引を束状にしてしならせ、丸い形を作っていきます。
次はしめ縄のサイズに合うように松の枝を切り落とします。
ちょうどいい長さになったら、松自体をワイヤーでまとめていきます。葉がチクチクしますが、広がらないようにワイヤーで巻いて留めていきます。
同じくワイヤーでまとめた南天を、しめ縄の中心と松の部分にさし込みながらワイヤーで撒いて行きます。
ワイヤーをつけた紅い椿をしめ縄にさし込み、取れないように接着剤で補強していきます。
白い椿も同じようにワイヤーをつけ、飾ります。こちらも取れないように接着剤でくっつけます。
円状にした金銀の水引も、しめ縄の下部にワイヤーで巻き付けて留めていきます。
ワイヤーは巻いていると硬くなるため、ペンチでまわして固定していきます。
なんとなく完成形が見えてきました! 水引の長さをそろえて切り、下部にちりめん春ピックをさして完成です。
金銀、赤白、緑、ピンクと、とても品のある、豪華で優美なお正月飾りが出来上がりました! 筆者は超不器用なので講師の方に助けていただきましたが、学生さんはテキパキと素敵なお正月飾りを作り上げていました。
お正月飾りの材料のしめ縄、飾り物、枝、葉、実物は花店で購入することができます。飾り物やワイヤーは資材屋で見つけることができるため、自分で作ってみるのも楽しいですよ。植物や色が表す縁起や意味を感じながら、お正月の準備を進めてみてはいかがでしょうか。
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※今回の記事は、主催者に掲載の許可をいただいた上で公開しています。