通算打率.300以上の選手は、全員が首位打者を獲得しているのか――首位打者なしの通算打率トップ10
日本プロ野球には、通算打率.300以上の選手が25人いる(4000打数以上)。正確に言うと、藤村富美男の通算打率は.2999…だが、小数点第4位を四捨五入した通常の表記は.300なので、この記事では25人に含めた。ちなみに、ヒットがあと1本多ければ、それとともに打数が1増えても、藤村の打率は.3000…だった。
この25人のうち、22人は首位打者を獲得している。例えば、現時点で歴代2位に位置する、通算打率.320の青木宣親(東京ヤクルト・スワローズ)は、2005年の打率.344と2007年の打率.346、2010年の打率.358が、セ・リーグ1位だ。
通算打率は.300以上ながら、首位打者のタイトルを一度も手にしていないのは、レオン・リー、アレックス・カブレラ、前田智徳の3人。それぞれの通算打率(と歴代順位)は、レオンが.308(10位)、カブレラが.303(16位)、前田は.302(21位)だ。いずれも、リーグ2位のシーズンはあるものの、1位はなかった。
1980年にレオンがロッテ・オリオンズで打率.340を記録した時、それを上回ったのは、チームメイトの兄、レロン・リーだった(当時の表記は、兄がリー、弟がレオン)。兄の打率は.358。弟に2分近い差をつけた。もっとも、この年のリー兄弟を比べると、打率を除くほとんどのスタッツは、弟が勝る。兄の33本塁打と90打点、出塁率.398とOPS.993に対し、弟は41本塁打と116打点、出塁率.401とOPS1.039だ(出塁率は、現在の「(安打+四球+死球)÷(打数+四球+死球+犠飛)」で計算)。
ちなみに、兄の通算打率.320は歴代1位だが、首位打者はこの1度しかない。また、兄は1977年に34本塁打と109打点で二冠王となっているが、弟は打撃タイトル(首位打者、本塁打王、打点王)とは無縁だった。1980年のパ・リーグには、48本塁打と129打点のチャーリー・マニエルがいた。
カブレラのシーズン打率は、2002年の.336と2006年の.315がリーグ2位。2002年は本塁打王(55本)、2006年は打点王(100打点)を獲得した。前田は、1994年の.321と1998年の.335が2位。両シーズンとも、首位打者との差は3厘なかった。カブレラの打撃タイトルは、この2つ。前田はゼロだ。
レオン、カブレラ、前田をはじめとする、首位打者を獲得していない選手の通算打率トップ10は、以下のとおり。
10人中、城島健司、赤星憲広、川﨑宗則の3人は、首位打者だけでなく、リーグ2位のシーズンもないが、城島と川﨑は3位にランクインしたことがある。また、1990年に横浜大洋ホエールズで打率.323を記録した高木豊は、兄ではないものの、こちらもチームメイトのジム・パチョレックに首位打者を阻まれた。
なお、パチョレックの兄については、こちらで書いた。